- 塩津丈洋植物研究所 塩津丈洋・久実子
- 2010年、 植物の治療・保全を主とした塩津丈洋植物研究所が設立。
日本の山野草木を、知り・触れ・学び・育てる、体験型のwork shopの開催 ( 盆栽・苔玉 )。植物を生かした display や造園など、人と植物のより良い暮らしを提案している。
冬本番!発泡スチロールで簡易温室を作ってみよう【四季を楽しむ山野鉢】
和の植物の専門家・塩津さんと、身近な植物を育てながら豊かな暮らしをお届けする連載企画です。今回のテーマは「簡易温室作り」。身近にある発泡スチロール箱を使って、植物を寒さから守る簡易温室を作る方法をご紹介します。とても簡単なので、ぜひこの冬に実践してみてくださいね。
目次
今回のテーマは「簡易温室作り」
冷たい北風が吹く、植物たちにとって厳しい季節が到来しました。
植物を枯らしてしまう大きな原因は、「寒風」と「霜」の2つ。植物の越冬の条件として、直接寒風が当たらないこと、枝葉に霜が降りないことが重要なんです。気温が氷点下になっても簡易温室さえあれば、冬の間、寒風と霜から植物をしっかりと守ってくれますよ。
温室を使い始めるのは、本格的な寒さを感じてから
簡易温室で越冬する際、ポイントになるのが「使い始めるタイミング」です。
地域によって寒くなり始める時期が違うので何月とは言えませんが、本格的な冬の訪れを植物に感じさせてから簡易温室に入れなければなりません。なぜなら、冬がくる前に簡易温室に入れてしまうと、植物が季節感を見失ってしまうから。
たとえば、もみじならいつまでたっても紅葉せず、翌年になっても緑色の葉っぱが付いたままの状態になってしまいます。植物を寒さから守るための簡易温室ですが、使うタイミングを誤ると、むしろ植物の育ちが悪くなってしまうんです。
そのため植物に冬の訪れをしっかりと感じさせ、休眠状態に入ってから簡易温室に入れるのが、ベストなタイミング。ぜひ覚えておいてくださいね。
穴を開けるだけ!簡易温室作りの手順
<簡易温室作りに必要なもの>
●発泡スチロール箱 1つ
●ハサミ 1本
<簡易温室作りの手順>
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近所のスーパーや魚屋さんで、発泡スチロール箱をもらってきましょう。植物が頭まですっぽり入るような深さがあるものを選んでください。
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箱の底面にハサミを垂直に突き刺し、やさしくねじりながら穴を開けます。
箱の大きさにもよりますが、中心と四隅に均等に開けるといいでしょう。 -
<ポイント>
穴は排水用なので、水が溜まらないように位置を工夫しましょう。
日中は日光をたっぷり当て、日が暮れたら蓋を閉める
簡易温室での越冬のポイントは、日中は蓋を開けて日光をたっぷりと当て、日が暮れたら蓋を閉めること。こうすると、寒風と霜から植物を守ることができて安心です。
水やりのタイミングは通常の育成と同じく、「土が乾いたのを確認してから」で大丈夫です。
鉢の底穴から水があふれ出るまで、たっぷりとお水をあげてください。
春が訪れる前に温室から取り出そう
簡易温室を使い始めるタイミングと同様に、取り出すタイミングも重要なんです。
春の訪れを感じる前、簡易温室から植物を取り出すのは「芽がふくらむ直前」と覚えておくといいです。簡易温室に長く入れ、過保護に育てすぎると、植物の成長に悪影響が出てしまうので注意してくださいね。
挨拶
植物の世界は奥深いのでまだまだ語りつくせませんが、これにて連載内で春夏秋冬を網羅しました。
これからの一年もぜひ、和の植物と、ゆっくりと流れる時間を楽しんでくださいね。
執筆・編集協力/小林香織
撮影/猿田祐樹