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ガーデニング
塩津丈洋植物研究所 塩津丈洋・久実子

身近な場所で植物採集してみよう【四季を楽しむ山野鉢】

和の植物の専門家・塩津さんと、身近な植物を育てながら豊かな暮らしをお届けする連載企画です。今回のテーマは「庭採り(にわどり)」! お庭にある身近な草花を、可愛い鉢植えに植え替えて育てましょう!身近な植物に向き合う機会はお子さんにもおススメです。

春本番! 今月のテーマは「庭採り」

圧巻の姿を見せてくれた桜がシーズンを終え、いよいよ本格的な春の到来ですね。

先月お伝えしたとおり、春は植え替えのシーズン。この時期に合わせて、日本各地で植木市が開催されています。種類豊富な植物をはじめ鉢や資材まで、あらゆるものが手に入るうえに、職人から目から鱗の情報も聞ける、お得なイベントです。

でも、植物は購入しなくても、自然から採集することもできるんです。そこで今回のテーマは、身近な庭から植物を採集する「庭採り」。見慣れた植物を鉢に植えて、かわいく変身させる方法をお届けします。

shiki0404 ▲今回庭採りをするのはこちら。我が家の庭です!
※国有林や私有地など、採集が禁止されている場所では絶対に行わないでください

 

庭採りで採れる植物の種類って?

まず、庭先でよく見られる一般的な植物をいくつかご紹介します。一度植えたら何年も楽しめる多年草の種類を集めました。

 

  1. ヘビイチゴ
    鉢に入れるとツルが伸びて育ちます。初夏に白い花が咲き、小さなイチゴを実らせる、見ていて飽きない植物です。

  2. カタバミ
    クローバーのような葉が愛らしく、暖かくなってくる春にはピンクや白のかわいい花が姿を現します。

  3. ドクダミ
    漢方に使われるなど、昔からなじみ深い植物。美しい白い花が咲きます。鉢以外に花瓶に生けて楽しむこともでき、切った直後は少々においがありますが、生けたあとはそれほど気になりません。

  4. ギンゴケ
    コンクリートの隙間や土の上などに現れ、もっともよく目にするコケです。盆栽などでも足元に使われる人気者。

  5. ユキノシタ
    今回、採集したのがコレ! みなさん、きっと目にしたことがありますよね? 日陰で群落を作り、5月頃には一面に白い花が咲きます。花びらが足元に散った姿が雪のように見えることから「ユキノシタ」と呼ばれるように。葉っぱは食用で、天ぷらなどにして食べられます。

それ以外にも、スミレやヒメツルソバもオススメです。

 

さっそく植物を採りに行こう!

採集に必要なもの

庭採りに出かける際に準備するものは、スコップとトレーだけ。さぁ、出発~!

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採集の手順

  1. 庭をウロウロ散策すると、ちょうどいいサイズのユキノシタを発見!

  2. 植物の横からスコップを入れます。株の直径3~5倍、深さは2~3倍の根を掘り起こすのがベスト。

  3. ユキノシタが採れました。大きさの目安はこれくらい。

  4. トレーに入れて、乾かさないように持ち帰りましょう。

 

植え込みに必要なもの

続いて、植え込みの手順をご紹介します。材料はこちら。

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  • 植え込み用の鉢…1つ(植物に対して、ちょうどいいサイズ)
  • ネット…1つ
  • アルミ線…1本(約10cm)
  • 赤玉土…適量
  • 植木用はさみ…1本
  • 竹箸(古い箸でも可)…1本

 

植え込みの手順

  1. ユキノシタの根に付いた土を、株が崩れないように気を付けながら、竹箸でやさしく落とします。なるべく土をしっかり落とすのが、根詰まりを防ぐポイント。

  2. これぐらい土を落とせば大丈夫。鉢に入らない太い根っこは、はさみで切り落としましょう。

  3. 鉢の底にネットをアルミ線で固定し、(方法は3月の記事を参照)赤玉土を敷いた土の上にユキノシタを入れます。

  4. 完全に根が隠れるまで赤玉土を入れたら、上から竹箸でサクサクと刺しましょう。根っこの隙間を埋めることで、しっかり定着します。

  5. 根本から水をたっぷりと注ぎます。鉢の底穴から水が出ていればOK。

  6. 最後に傷んで変色した葉や、穴が開いてしまった葉をはさみで切り、形を整えます。

  7. 切り落とした根や葉はこれぐらい。バランス良く仕上げましょう。

 

あっという間に植え込みが完成!

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鉢に植えただけで、見違えるほどステキな姿になりました。太陽の日差しを浴びて、生き生きしていますね。

 

1年後のユキノシタがこちら

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ボリュームたっぷりの丸い葉っぱと、ニョキニョキ伸びた紫色のツルで一段と華やかに。この姿が見られるのが、待ち遠しいですね!

 

植え込み直後は強風を避け、やさしい日差しが注ぐ場所に

植え込みが終わった直後は、強風を避け、やさしい日差しが注ぐ場所に置いてください。水は乾いたときだけたっぷり注ぎ、過度に与えすぎないことが大事。2週間ほどして新しい土に植物が根付いたら、東側に移しましょう。来年からは株分けをして、どんどん増やしていけますね。

※植え替えの手順は、こちらを参照。

 
執筆・編集協力/小林香織
撮影/猿田祐樹