藤岡みなみ｜思い立ったがDIY吉日＜vol.49＞

藤岡みなみタレント、エッセイスト。タイムトラベル専門書店 utouto店主。縄文時代と四川料理が好き。やってみたがり。
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ロード・オブ・ザ・華奢リング

安くて簡単、アクセサリー作り。

自分自身に禁じていることがある。
それは、アクセサリーを買うことだ。
どうせなくすからである。

どんなに気に入っていても数回身につけるとどこかにいってしまう。
去年のコートのポケットからぽろっと出てきたりするのはまだいいほうで、なくすからここに入れておこう、と注意深く決めた置き場所ごと忘れる。

神隠しか？とか思うけど、ズボラなわたしが悪い。
もうだめです。

数年前からアクセサリーを買うことを完全にやめた。
でも本当はそりゃあ欲しい。
華奢でシンプルな指輪を重ね付けとかしたい。

そういえば以前、友人の結婚式でイニシャル入りのリングをもらったことがある。
なんと新郎新婦が参列者全員ぶん、手作りしたらしい。

驚いた。
作れるんだ！

今回はこのときもらったリングを参考に、初めての手作りリングに挑戦してみようと思う。
ちなみにこのリングはなくしてない(本当)。

材料と道具はあわせて3つだけ。

材料として、線径0.5mmのゴールドのワイヤーを購入した。

10mで数百円だった。10mもあったらリング何個作れちゃうんだろう。
まだひとつも完成していないのに夢がふくらんだ。

ニッパーで15cmくらいに切り、ヤットコを使って形をつくっていく。
まずはワイヤー２本をただねじって小指用のピンキーリングを作ってみた。
ねじっただけでもかなりかわいい。

ペンやマニキュアのふたなど、ちょうどよさそうなものに巻きつけて全体を整える。
ワイヤーの先端は小さく丸めるだけにして、フリーサイズっぽくしたらもう完成。

裏側はこんなかんじでよさそう。

え……。
2分くらいで理想の華奢なリングができてしまった。

もうアクセサリーショップの前で「一番安いやつで1500円か……今度こそなくさずにいられるか……？」とブツブツ言わなくていい。

わたしには10mのワイヤーがある。
急に錬金術師になった気がした。

行き当たりばったりな錬金術師

筆記体が得意な人にあこがれます。

1つ目がうまくいったので、調子に乗って今度はアルファベット入りのリングを作ってみることにする。
友人が結婚式でくれたみたいなおしゃれなやつ。

本のワイヤーで文字を表すので、筆記体にする必要がある。
「DIY」って入れてみたいけど、そもそも筆記体を書くのがそんなに得意ではない。

これで合ってるよね…..？と確認しながらまずは紙に書いてみて、それをよく見ながら形をつくっていった。

作業に集中する瞬間が楽しい。
少ない材料と道具でできるし、深夜、家族が寝た後の趣味として最高なんじゃないか。

まだ2つ目なのにまたもや妄想を繰り広げてしまった。

小文字でdiy、というデザインにしたがなかなかイメージ通りに仕上がった。

しかし果たして「diy」って書いてあるリングっておしゃれなのか。
手作り感を隠すほうが良かった気がするが自分から手作りですと主張する作品になってしまった。

結構いいんじゃないでしょうか……?

ビーズを通したりしてもいい感じになると知り、3つ目はなにか飾りを入れてみようと思った。

それっぽいビーズを所持していなかったので、クローゼットに転がっていたブラウスのちぎれたボタンでどうにかならないかと考えた。
するとめちゃくちゃかわいい仕上がりになったのでいっそ他のボタンも全部ちぎってしまおうか、という気になった。

でも同じリングはひとつでいいし、っていうかあれれ、ボタンひとつリングに使ってしまってこのブラウスはどうなってしまうんだ。

行き当たりばったりすぎて思わぬ代償を生んでしまったが、3つもいい感じのリングができておおむね満足している。

しかしいくら安く自分でどんどんつくれるようになったからといって、どんどんなくしていいということではないからな、と自分に言い聞かせた。

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