- 藤岡みなみ
- ふじおか・みなみ/文筆家。暮らしの中の異文化をテーマにした『パンダのうんこはいい匂い』(左右社)が発売中。
藤岡みなみ|思い立ったがDIY吉日 <vol.42>
タレントの藤岡みなみさんが、モノづくりに対してのあれこれをつづるコラム連載!題字ももちろん本人。可愛くもシュールな世界観には、思わず引き込まれちゃいます。今回は、おうちでのお花見に挑戦。
- 藤岡みなみふじおか・みなみ/1988年、兵庫県出身。テレビ番組・CMに出演からラジオパーソナリティ、エッセイストなど、幅広く活動。バンド「藤岡みなみ&ザ・モローンズ」ではボーカルを務める。
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今日のテーマは「おうちでお花見!」
今年はお花見ができないかもしれない。
流行している感染症の影響もあるし、家族が重めの花粉症で、「お花見なんて敵の陣地に討たれにいくようなものだ」とビビっている、という事情もある。
お花見が好きな私にとってはさみしい春である。
でも、私は本当にお花見が好きなのだろうか。
ちょっと考えれば大好き、立ち止まって考えればまあまあ好き、じっくり考えればそんなに好きでもない……かもしれない。
桜の季節ってだいたいちょっと寒い。
風が強く、砂埃も激しいなか、無理して地べたに座ってご飯を食べる。
そしてわりと、そんなに仲良くない人と集まることが多い。
3月から4月という時期柄なのか。
数年会っていない友人やふんわりとした知人同士でもお花見という名目があれば集まりやすいからなのか。
なぜか思い返してみると、仲の良い友人とお花見をした経験より、あまり知らない人とお花見をした思い出のほうがちょっと多い。
友人の友人の友人とせまいシートで隣り合わせで2時間。
あまりの居心地の悪さに、桜の木の根でつまずいた拍子に全てが嫌になって、お手洗いに行くと言いつつそのまま帰宅したこともある。
うわ!めっちゃネガティブなこと書いてる!
いや、今でもお花見という行為にはずっと憧れを抱いている。
憧れすぎて、現実が少しでもうまくいかないとつまずいてしまうのかも。
砂埃にまみれてほしくないピクニック用バスケット。
どうせ外でお花見ができないなら、家の中で最高のお花見をやろう。
家はいい。
寒くないし、場所取りもないし、荷物を持って歩く煩わしさもない。
雨が降っても大丈夫だし、よく知らない人はいない。
いいことだらけだ。
いつか外に持っていきたいと思っていたけど、かさばるし汚れたらいやだなあと躊躇していたお気に入りのバスケットも使おう。
レジャーシートのかわりに、かわいい布を床に広げて料理を並べれば、おうちピクニックのはじまりはじまり。
サンドイッチでお出かけ気分を盛り上げる。
外に持って出かけるとなると緊張感のある汁物も余裕。
ピクニック感を出したいのと、室内を謳歌したいのとで、サンドイッチと煮物、という謎のメニューになった。
飲み物もわざわざ水筒に入れてみる。
あとは、ただのピクニックではない、これはお花見なのだという雰囲気づくりが重要だ。
顔出し看板はどこにでも行ける魔法の板。
我が家は家の中から桜が見える風流なおうち……などではない。
そこで、お花見をしている自分を描いた顔出しパネルと、折り紙で作った桜の花を用意してみた。
しましまピンクの折り紙でつくってみました。
桜の花は大量に制作したので作り方を完璧にマスターした。
これでいつでもおうちお花見ができる。
子どもと壁にペタペタ貼り付けて完成。
しかしなにかが足りない。
私の大好きなもの。
そうだ、ビールと焼き鳥の屋台だ。
おっと、違います。
飲んべえだからではありません。
お花見にはこの、お祭り気分が最重要だといえるのです。
個人的にいちばん盛り上がる小道具はこれ。
ワイワイガヤガヤピーヒャラ感。
いくらなんでもおうちお花見に屋台は用意できないので、急遽、ビールののぼりと焼き鳥の販売用ポップも作った。
そうそうこれこれ。
グっと雰囲気がでてきた。
「アッツアツ!」とか「冷えてますよ!」とか、自分で自分にアピールするのは一瞬変な感じがするが、すぐに楽しくなってくる。
「おっ冷えてるのか。もう一本いってみよう!」と簡単にのせられてしまった。
単純な性格でよかった。
そして、もしも酔っ払ってもちゃんと家まで帰れる。
なぜならここは、家なのだから。
そんなことを言っている時点でやっぱり飲んべえなのかもしれない。
DIYって自分だけの楽園を作る、いちばんストレートな方法だ。
夢と理想のカスタマイズで、自分で自分を盛り上げる。
応用編というかなんというか、他にも「家をキャンプ場にする」や「家をダンスフロアにする」などのアイデアもあたためている。
家最高―!
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