藤岡みなみ｜思い立ったがDIY吉日 ＜vol.44＞

藤岡みなみふじおか・みなみ／1988年、兵庫県出身。テレビ番組・CMに出演からラジオパーソナリティ、エッセイストなど、幅広く活動。バンド「藤岡みなみ＆ザ・モローンズ」ではボーカルを務める。
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ぼんやりしている私のひきしまらない部屋。

垢抜け切らない部屋に住んでいる。
おしゃれにしたいという心意気はあるが、センスが追いつかないのである。

先日、勇気を出してSNSに部屋の写真をアップし、「どうやったらおしゃれになりますかね？」と質問してみた。
すると、やわらかい色ばかりでぼんやりしているので、濃い色でひきしめたらどうか、と提案してくれた方がいた。

濃い色！　言われてみれば、濃い色をずっと避けてきたなあと気づいた。

失敗しても修正しやすいように、水彩絵の具。

服を買うときも黒や紺、茶色などはほとんど選ばない。

重たくなってしまうのではないかとか、あまり個性のない自分が着るとさらに地味になってしまうのではないか、という思い込みがある。

長く使うインテリアも同じだ。
白やベージュなら明るくて、軽やかで、飽きもこないのではないかと考えていた。
でもそれはただの思い込みだったのかもしれない。

黒を選べる自分になってみたい。
黒を選べたら一皮むける気がする。

極端な性格なので、今度は黒に期待しすぎている感もあるが、思い立ったがDIY吉日、壁に掛けている水色の時計を黒く塗ってみることにした。

新しい時計と新しい自分、こんにちは。

塗料が十分乾いてから元の場所に設置する。

おおお。本当だ、部屋全体が引き締まってる！
しかも、毎日何度も見る時計、というのがいい。

見るたびに、もう黒を選べなかったいままでの私ではないのだ、という感じがする。
DIYで時計だけじゃなく、自分もちょっと生まれ変わった気持ちだ。

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