
- 柴﨑 光一
- 建築・インテリア学科卒の元造園士。植物が大好き過ぎて、大自然のカナダで植物と戯れながら、 観葉植物・庭木・草花を使ったガーデニングの世界を開拓しています。日本での建築とカナダでの造園の経験に加え、趣味のさまざまな植物やコケの収集、植物アート作りを生かして、 みなさんにガーデニングの魅力をお届けします!
春から初夏にかけて厚みのある大きな花を、地面から長く伸びた茎の先に咲かせるチューリップ。花の色・形・模様のバリエーションが豊富で、さまざまなテイストの庭にあいます。チューリップの育て方、球根の植え付け時期や植え方など、たっぷりと紹介!
夏に地上に出た葉や茎を枯らし休眠期に入るチューリップは、球根だけの状態で秋から冬を越し、春に芽吹く宿根性の多年草。カザフスタンやトルコを原産としますが、市販で出回るものはオランダ産が多く、現在は5000種類以上の品種があるようです。
チューリップは、3〜5月上旬ごろにかけて、赤やピンク、紫などの花の見頃を迎えます。葉は2月中旬ごろに球根から芽吹き、花が咲き終わったあとの7月ごろまで鑑賞が可能。夏から秋ごろは休眠期に入るため、地上部の葉や茎が枯れ球根だけの状態になります。
球根で育つチューリップは、元肥を入れた土に植えれば、肥料を与える必要はありません。植え付けは10〜1月までに済ませ、6月中旬以降に咲き終わった花がらを摘み取ります。8〜9月ごろには、球根を掘り起こして採取します。
切り花やアレンジメントでも人気のチューリップは、鉢植えで育てるのがおすすめです。
春に花を咲かせるチューリップは、秋の10月中旬〜11月上旬ごろに球根を植え付けるのが適期です。ただし地域によって気温差があるので、カエデやイチョウが紅葉しているころを目安に植え付けるといいです。
開花時期は7月中旬ごろまでのため、遅くても1月中旬ごろまでには植え付けを終わらせましょう。
寒冷で乾燥した場所に自生するチューリップは、水はけのある土で元気よく育ちます。水はけが悪くて粘土質のような硬い土では、根腐れが起こりやすく、枯れてしまうことも。
球根を植え付ける前に、土に赤玉土、腐葉土、牛ふんを混ぜて、排水性・通気性・保肥性をよくしておきましょう。このとき、元肥として窒素(N)・リン酸(P)・カリウム(K)のバランスが取れた緩行性化成肥料を入れておくといいです。
初心者の方は、ホームセンターなど市販で売っている草花用の培養土を使うと、混ぜる手間がなくておすすめです。排水性がよければ、鉢底石を入れる必要もありませんよ!
チューリップの球根は、膨らんでいる部分(お腹)と平らになっている部分(背中)があります。球根の背中から1枚目の葉が伸び、次にお腹から2枚目の葉が伸びるように生長するため、背中側が鉢の外に向くと、株同士がぶつからずに済みます。
鉢底から15cmほどの高さまで入れた植木鉢に、球根の背中が外側に向くように1周植え付けましょう。真ん中のあいたスペースは、葉がぶつからないように斜めに置くといいです。
最後に土を10cm程度球根に被せて、植え付け完了です。
鉢に球根が植え付けられたら、鉢底から水がこぼれるぐらいたっぷりと与えましょう。水が不足してしまうと、水切れを起こしてしまい、根が伸びない場合も。また、根が一度乾燥したり、傷がついてまったりすると水を吸収しにくくなり、新しい芽が出なくなります。
球根で育つチューリップは、花が咲き終わったあとにお礼肥として肥料を与えてしまうと、根腐れを起こす場合もあるので、肥料は元肥のみにしましょう。
チューリップの新芽が伸びるまでの冬の間は、土が乾燥しないように屋外の日陰になるような場所で管理しましょう。2月中旬から4月上旬ごろになると、地面から葉が出てくるので、日当たりが良い場所へ移します。
春に大きな花を咲かせるチューリップは水が大好き。冬の間や新芽が伸びたあとも、土を乾かさないように管理することがポイントです。
球根から花芽が出てきたら、葉や土に水が当たるようにたっぷりと与えましょう。
6月中旬を過ぎるころには、チューリップの花は徐々にしおれ、散り始めます。地面に落ちた花がらを放置してしてしまうと、菌やウイルスが発生して病気を引き起こす場合も。花がしおれはじめたら、花の直ぐ下から摘芯しましょう。
植え付けた時期によって異なりますが、チューリップは6月下旬以降から地上に出た葉や茎が枯れ始めます。球根の皮が茶色く変色しているか確認し、硬くなっていれば土から球根を掘り起こしましょう。
掘り起こした球根は、ネットなどに入れ風通しが良い場所で保管し、秋にもう一度植え付けができます。
花の色や形のバリエーションが豊富なチューリップは、球根の植え付け方や水やりなど管理が楽で、毎年楽しめます。室内でも育てられるので、より花や葉を身近に感じられますね。ぜひチューリップを庭や鉢植えに植えて、春を感じられる暖かい庭づくりをしてくださいね!