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家事
佐藤 恵子

関東と関西のすき焼きの違いを調査!分食嶺は関西のやや勝ち

すき焼きって、「焼き」とつくのに、なぜ焼かないのだろうと、関東に住む人は、思っている人も多いかもしれません。実は、すき焼きは、関西の料理でした。関東と関西のすき焼きの違いや、歴史の違いなどを紹介します。すき焼きの語源や生卵を使う理由など、すき焼きにまつわる疑問にお答えします。

関東と関西のすき焼きは作り方が違う

 

関西風のすき焼きと、関東風のすき焼きの最も違うところは、その作り方です。元々は、違う料理だったものが、同じすき焼きと呼ばれるようになったのがその理由です。

 

関東風と関西風のすき焼きの歴史については、次項で解説します。まずは、作り方の違いを紹介しましょう。関西風すき焼きと関東風すき焼きの大きな違いは、割り下を使うか使わないかにあります。

 

関西風すき焼きは、牛肉を専用の鍋で焼いて、8割程度火が通ったところに、砂糖を振りかけ、その後しょうゆを入れて味付けします。野菜は、水分の多いものから先に加えます。

 

水を入れずに、野菜の水分だけを頼りに食べる関西風は、関東風に比べて、味が少し濃い印象があります。

 

関東は、割り下を準備し、野菜や肉を煮て食べるのがすき焼きです。しょうゆや砂糖以外にも、出汁やみりんなども加えるので、味がまろやかなのが特徴です。

 

関西風すき焼きと関東風すき焼きの分食嶺は他の食べ物とは違う理由

日本には、京文化を中心に育った関西風の食文化と、関東で育った食文化を分ける、分食嶺があります。殆どの場合、愛知県や岐阜県は関東よりになることが多いのに、このすき焼きだけは関西風が好まれています。

 

それは、すき焼きに使う肉が牛肉だったことに起因しています。彦根藩(今の滋賀県)では、当時としては唯一、肉牛を育て献上品としていたのです。

 

元々牛肉があった滋賀県は、すき焼きという料理法が出回ったとき、一気に人気になっりました。その時の調理法が、関西風だったため、それが定着したようです。

 

すき焼きの語源は?

すき焼きって、どうしてすき焼きっていうの?と疑問に思ったことはありませんか?このすき焼きのすきは、農具の鋤(すき)が語源という節が有力です。

 

元々、この鋤の部分に豆腐や魚を乗せて火に入れ、焼いて食べるという料理があったようです。鉄なべで焼いて食べるすき焼きを、これに例えたのかもしれません。

 

また、肉を薄く切ったものを、「すき身」ということから、それを焼いて食べるという理由ですき焼きになったという節もあります。

 

関東と関西で違うすき焼きの歴史

 

関東風すき焼きと、関西風すき焼きの作り方の違いは、その歴史にあります。すき焼きの歴史自体はまだ日も浅く、幕末頃に最初の店が京都にできたとされています。

 

長い間、仏教的な思考や、労働の助けになってくれる牛や馬を食べるなんてバチがあたるといった理由で、肉食が禁止されていたことが要因の1つでしょう。

 

明治天皇が牛肉を食べたことで、一気に広がりを見せました。このとき、関西では今と同様のすき焼きが好まれ、関東では牛鍋が好まれていたのです。

 

しかし、関東大震災により、東京の牛鍋屋さんは壊滅的な被害を受けてしまいました。牛鍋を販売する店舗が姿を消し、関西のすき焼きが進出してきたのです。関東で馴染んだ牛鍋と、関西のすき焼きをブレンドしたのが、関東風すき焼きとして今も伝わっているのです。

 

すき焼きに生卵って関東と関西は違うの?生卵を付ける理由も紹介

 

関東風すき焼きも、関西風すき焼きも、生卵をつけて食べるという点は同じです。なぜ生卵をつけて食べるようになったのでしょうか?

 

熱い肉や野菜を、生卵にくぐらせて冷ますのが目的という話は、聞いたことがある人も多いかもしれません。それ以外にも、理由がありそうなので、幾つか紹介してみましょう。

 

卵も牛肉も贅沢品だった当時、卵をつけて食べるというのは、通の食べ方だったという節があります。すき焼きを食べることこそ、文明開化の証とも言われた時代ですから、こうした通の食べ方が人気になったのも頷けますね。

 

牛肉の臭みを消すために、生卵にくぐらせたという話もあります。それまで、余り肉を食べなかった日本人には、牛肉の臭みは少し苦手だったのかもしれません。

 

徳川綱吉の生類憐れみの令が原因という説もあります。イノシシや鹿、熊といった野生の肉も手に入りずらくなった当時、よく食べられていたのが軍鶏の肉だそうです。軍鶏の肉は淡白なため、旨味を増すために生卵にくぐらせたことが、すき焼きにも影響を与えたというものです。

 

そしてもちろん、生卵をくぐらせることで、まろやかさをアップさせ、単純にすき焼きを美味しく食べるためという理由もあります。

 

生卵をくぐらせるかどうかは、個々人の好みの問題でしかありません。海外でも人気のすき焼きですが、生卵を食べない、あるいは食中毒を心配して食べられない地域では、すき焼きに生卵をを使うことを嫌うこともあるようです。

 

おわりに

関西風すき焼きと、関東風すき焼きの違いを紹介しました。すき焼きなのに、関東では焼かない理由やすき焼きの語源など、少しマニアックな内容をお伝えしました。今度すき焼きを食べるときは、ぜひ思い出していただけると嬉しいです。