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冬の寒い時期にやっておきたいのが土の消毒作業「寒起こし」。春からの収穫量が格段にアップするので、畑で家庭菜園をされている方はぜひ実践してみてください!【家庭菜園の基本シリーズ】
冬、畑に空きスペースができてきた時にしておきたいのが「土壌消毒」。
土は、野菜を育て続けると病原菌や害虫が増えたり、疲れたりして育ちが悪くなり、収穫量が減ってしまいます。
しかし、土壌消毒を行うと、土の中に潜む病原菌や害虫が死滅して、健康な野菜を育てることにつながります。土がリセットされて収穫量もアップするので、春の家庭菜園シーズン前にぜひ行ってくださいね。
土壌消毒にはいくつか方法がありますが、厳寒期にオススメなのが寒さを利用した「寒起こし」。
スコップ(シャベル)で深さ30㎝ほどのところまで土を粗く掘り起こし、寒さにさらして病害虫を死滅させる方法で、「寒ざらし」とも呼ばれます。
土の中に含まれる水分が夜に寒さで凍り、日中には表面が溶けて乾燥することを繰り返すことで土の水はけや通気性が良くなり、サラサラになる効果も。
さらに、米ぬかや堆肥、腐葉土などの有機物を投入すれば有用な微生物のエサになり、野菜の根がよく張るフカフカの土になります。
そして、病害虫の被害が深刻な畑では寒起こしの後、薬剤を併用するのがおすすめ。
中には使用後、1ヵ月ほどは野菜の栽培を避けた方がよい薬剤もあるため、農閑期のうちに散布を。
複数の方法を組み合わせて対策を行うことで、土のリフレッシュ効果が高まるのです。
●石灰チッ素・・・センチュウ類、根こぶ病、一年草の雑草のタネなどに。冬は散布後、1ヵ月置いてから栽培を始める。
●ホスチアゼート粒剤(ネマトリンエース粒剤など)・・・センチュウ類、ハダニ類などに。作付け前に散布。
●フルアジナム粉剤(フロンサイド粉剤など)・・・アブラナ科の根こぶ病、ジャガイモのそうか病などに。作付け前に散布。
シーズンが切り替わる1ヵ月で土をリフレッシュするための「寒起こし」。
寒冷地は、12月、土が凍結してスコップが入らなくなる前に。そして、関東以西は、1月中旬、最も気温が下がるタイミングで行うと効率が高まります。
次のシーズン以降の生育を促すため、米ぬかをまくのもポイントです!
ここでスコップを使うのは、「土をなるべく崩さずに掘り起こすため」。
粗いかたまりのままにしておくと、凍結・解凍時に空気を含みやすく、土が柔らかくなるとされているので、かたまりを残したままにしておくことがポイントです。
寒さにさらしていると、土の水分が夜は凍り、日中は溶ける、ということを繰り返します。
このことによって雑草の種や病害虫が死滅するだけでなく、土の塊がほどけて通気性のよいさらさらとした土に変化します。
米ぬかは、表面が見えなくなる程度にまいてください。有機物である米ぬかは微生物のエサになり、滋味豊かな野菜を育てる土に仕上がります。風が強い畑では、土を掘る前にまいて飛散を防ぐといいでしょう。分解に時間がかかるため、農閑期の散布がおすすめです。
塊が崩れた土は、耕土が深くなると同時に水はけと通気性が改善され、根がよく張る土にレベルアップ。クワや耕運機で地表近くを耕すだけでは期待できない効果があります。
牛ふん堆肥または腐葉土で、土がよりフカフカに。一般的には牛ふん堆肥を、水はけの悪い畑では腐葉土を2〜3L/平方メートルまき、クワでよく耕すといいでしょう。
作付け前の土作りは、これとは別に通常どおり行います。
寒い時期に土を掘り起こし、寒さにさらすことで通気性の良いさらさらとした土に仕上げることができる「寒起こし」。
この寒起こしをした方がいい土壌は、土が硬くなってしまっている土壌です。また、病害虫の被害が出たり、雑草が根を張っている土壌も、寒起こしをするといいでしょう。
いかがでしたか?
「寒起こし」は地味な作業ですが、とても有効な作業です。
春の家庭菜園シーズンを楽しむためにもぜひ行ってみてくださいね。
写真/岡部留美
構成・文/北村文枝