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ガーデニング
Pacoma編集部

プロ監修!イチゴの栽培・育て方|家庭菜園

イチゴ(バラ科)の栽培・育て方をご紹介。植えつけから、人工授粉、収穫まで、この記事だけでイチゴの栽培方法はばっちりです。プランター栽培の方法もお見逃しなく!【家庭菜園の基本シリーズ】

加藤正明さん

練馬区の農業体験農園「百匁の里」園主。 NHK Eテレ「趣味の園芸 やさいの時間」では、栽培管理や講師を務める。著書に『甘やかさない栽培法で野菜の力を引き出す 加藤流 絶品野菜づくり』(万来舎)がある。

イチゴを栽培する前に知っておくべきこと

甘くて粒が大きく、家庭菜園でも栽培しやすい品種が増えているイチゴ。

年に2回、春と秋に苗が出回りますが、失敗しにくいのは秋から育てる栽培方法。イチゴには、秋〜冬の低温短日(気温が低く、日が短いこと)で花芽ができる性質があります。
また、春から初夏に収穫できる「一季なり」品種と、春や秋、初冬などにも収穫できる「四季なり」品種の2タイプがあるのも覚えておきましょう。

一季なり品種のイチゴは日本での生産・流通の主流になっているもので、粒が大きく、甘みが強いのが特徴。
一方の四季なり品種は夏の暑さや病気に強く、次々に実をつけるので、家庭菜園でも失敗が少ないのだとか。苗を購入する際にはラベルの表示を確認し、自分に合った苗を選びましょう。

植えつけから収穫開始まで半年以上と長くかかるので、元肥は有機配合肥料がおすすめ。有機質肥料がじっくり効いて、春からの生育を促進してくれますよ。
特に、リン酸分を多く含む肥料を選ぶと、花がたくさんついて収穫量も増えます。N-P-K=8-8-8のようにチッ素、リン酸、カリが均等に含まれる肥料を使うなら、熔リン30〜50g/㎡でリン酸分を補って。

イチゴの栽培ポイントは、春先からの管理。2月下旬〜3月上旬に寒さが緩んだら、マルチ張り、追肥、人工授粉などの作業をタイミングよく行うと、甘くて大きな実を収穫できます。ぜひ挑戦してみて!

【イチゴ栽培データ】

バラ科 ●畝のサイズ(※長さは自由)畝幅:70㎝、畝の高さ:15〜20㎝、株の間隔:40㎝ ●適正pH6.0〜6.5 ●土のpH調整(植えつけの2〜3週間前)苦土石灰:100〜150g/㎡ ●元肥(植えつけの1〜2週間前。全面施肥)牛ふん堆肥:2〜3ℓ/㎡、有機配合肥料(N-P-K=8-12-8程度):100〜150g/㎡ ●気をつけたい病害虫:うどんこ病、灰色かび病、アブラムシ、ヨトウムシなど。

 

イチゴの栽培カレンダー

イチゴは、タネから育てるのがとても難しいため、市販の苗を植えましょう。
この記事で紹介するイチゴの栽培カレンダーは、中間地・一季なり品種の場合。

※寒冷地
植えつけ:9月中旬〜10月上旬 
収穫:5月中旬〜6月下旬

※暖地
植えつけ:10月下旬〜11月中旬
収穫:4月上旬〜5月下旬

※寒冷地・・・北海道、東北、新潟県、富山県、石川県、高冷地。
※中間地・・・福井県、関東甲信、東海、近畿、中国、九州北部。
※暖地・・・四国、九州南部、沖縄県。

 

【10月中旬〜11月中旬】浅めに植えつける

実が地面につかないように、畝を少し高めの15〜20㎝で立て、40㎝間隔でイチゴの苗を植えて。
このとき、株のつけ根の成長点(クラウン)を土に埋めないことが大切。新しい葉が出にくくなるからです。

【Point】ランナーの切り跡の向きをそろえて管理をラクに!

イチゴの苗は株のつけ根に必ず、「ランナー」と呼ばれる茎を切った跡があります。花と実はこの反対側につくので、ランナーの切り跡の向きをそろえて苗を植えるようにてください。

人工授粉や収穫など、植えつけ後の管理作業がしやすくなりますよ。

 

【2月下旬~3月上旬】ポリマルチを張る

寒さで花芽ができるので、春に行って。
株の上から黒色のポリマルチ(ポリフィルムのシート)をかけ、株がある場所を手で探って穴を開け、株を引き出します。マルチのすそは土をのせて固定してください。

 

【2月下旬~3月上旬】タイミングよく追肥

追肥は2回。2回目の追肥は、3月下旬~4月中旬くらいに行ってください。

1株につき化成肥料(N-P-K=8-8-8)を20〜30粒ずつ、マルチの穴にまきます。
四季なり品種のイチゴの場合は、その他の季節でも花がついたら同様に追肥して肥料切れを防ぎましょう。

 

【3月下旬~5月上旬】筆で人工授粉を行う

イチゴは受粉が不十分だと、形の悪い小さな実しかつきません。

花が咲いたら、柔らかい筆などで花の中心をまんべんなくなでて。
指でなでても受粉できないので、必ず筆や耳かきの梵天部分などを使ってください。

 

【4月中旬~6月上旬】へたのきわまで色づいたら収穫・ランナー処理

イチゴのへたの下の部分まで色づいたら、ハサミで切るか、手でへたの部分を引っ張って収穫。
旺盛に伸びるランナーは放置すると養分が奪われて実が育ちにくくなるため、収穫中はつけ根から切り取ります。

 

【Column】イチゴのプランター栽培のポイントは?

幅65㎝×奥行き20㎝×深さ20㎝の横長プランターに2株か、直径40㎝×深さ20㎝程度の丸形プランターに3株、30〜40㎝間隔で植えます。

横長プランターではランナーの切り跡の向きをそろえて、丸形プランターでは内側に向けて植えると、見た目もきれい!

ポリマルチは張らずに育てます。追肥は2月下旬〜3月上旬以降、月に1回、1株につき化成肥料を20〜30粒ずつまいてください。

 

【イチゴレシピ】イチゴシロップ

摘みたてイチゴをたっぷり味わえるレシピをご紹介!
イチゴシロップは、炭酸水で割ったり、バニラアイスやパンケーキにかけたりするのがおすすめです。

 

    【材料】(作りやすい分量)

    • イチゴ・・・500g(正味)
    • グラニュー糖・・・350g

     

    【作り方】

    1. 量1ℓの密閉瓶を用意し、食品用アルコールなどで消毒しておく。イチゴは、へたを取って正味の分量を量ったら、キッチンペーパーで水気をきちんと拭き取る。
    2. 密閉瓶にイチゴとグラニュー糖を入れ、すりこ木などで全体をつぶしてふたをする。
    3. 時々瓶を揺すりながら、冷暗所に1週間置けば完成。冷蔵庫に入れれば、約3ヵ月保存できる。

 

イチゴの栽培方法・育て方はいかがでしたか?
栽培ポイントをしっかりおさえれば、美味しいイチゴを収穫できるはず!

 

写真・万来舎・丸山滋/八木竜馬
イラスト/服部あさ美
構成、文、料理写真、料理監修/北村文枝