- 津久井 玲子
- 自分が仕事の中で勉強したことを、わかりやすさ、伝わりやすさに気をつけて書いています。読んでくださった方にとっても、読んでよかった、勉強になったと思える記事を目指しています。
調理と料理の違い、あなたは説明できますか?
調理と料理は世の中に数多くあるよく似た言葉の1つです。普段の使い分けも何となくで、意味を正しく理解している人は意外と少ないのではないでしょうか?調理と料理にはきちんと違いがあるのです。それぞれの違いと正しい使い分け方をご紹介します。
調理と料理の違いに迷ったことはありませんか?
調理と料理は普段からよく使う言葉ですが、「何となく使ってはいるけれど違いについてはよくわからない」という人は多いのではないでしょうか?それぞれの言葉にはちゃんと意味があり、調理と料理も例外ではありません。
そこで調理と料理の違いについて調べてまとめてみました。それぞれの正しい意味だけでなく、普段なんとなく使っているという人にもわかりやすいよう、使い方についてもご紹介します。
「調理」ってどういうこと?
まずは「調理」という言葉の意味から見ていきましょう。調理という言葉は、「調」という漢字と「理」という漢字からなる熟語です。「調」という漢字には「ととのえる」という意味があり、「人の手を加えることで程よい状態にする」ということを指します。
ではもう1つの漢字である「理」の意味は?というと、「人の手で磨いてきちんと整えること」や「おさめること」を指しているのです。つまり「調理」とは、「人の手で程よく整えて収めること」となります。
そのため「調理」という言葉は、食材に手を加えて食べられる状態へと作り変える作業と、そのために必要とされる技術のことを指して使われるのが一般的です。
食材を洗ってから切り分け、時には手でちぎり、食材によっては炒めたり煮込んだりと加熱し、味をつけて整える、これらの作業やそのために必要な技術すべてが「調理」ということになります。
この工程で必要となる包丁や鍋類などの「道具」は「調理器具」と呼び、家電類も調理用は「調理家電」、調理に必要となる時間は「調理時間」というように、これらの作業工程に必要な物には「調理」という言葉をつけて表現するのです。
また一方で「調理」は、食材の加工を専門技術として見る意味合いも強い言葉といえます。食材を食べられる状態に加工する資格を持った専門家のことを「調理師」と呼ぶのは、ここからきているのです。
そんな調理師が食材を扱う場合には、その技を「調理法」や「調理技術」と呼ぶのが一般的といえます。このように専門的なことには、「調理」という言葉が使われるのです。
「料理」ってどういうこと?
次に「料理」という言葉を見てみましょう。「料理」は「料」という字と「理」という漢字からできた熟語です。「料」という字の意味は「(量を)はかる」という意味であり、「整える」意味を持つ「理」と合わせて「はかりおさめる」、つまりは計測することを表す言葉でした。
しかしそんな「料理」も、現在では「食事を作る動作そのものや、その行為によって完成した食べ物」を指していいます。「料理」は食事を作る動作である「調理」も含む、より広い意味を持った言葉なのです。
そのため「料理」には、食材を食べられる物へと加工する工程だけでなく、器への盛り付けや食卓の飾りつけまで含めて使われることも珍しくありません。「調理」のことも場合によっては「料理」を使うこともあるのです。
食材を加工する工程を「調理」ではなく「料理」を使う時には、「誰が」調理するかで使い分けられます。「調理師」のような専門家「以外」の幅広い人が「調理」する時には、「料理」を使うのが一般的です。
例えば先ほどの「調理師」は資格を持った専門家しか名乗れませんが、「料理人」ならだれでも名乗れます。「調理専門学校」は専門家育成用の学校ですが、「料理学校」は料理技術を学ぶために一般の人が通う学校です。
さらに「料理」は、「中華料理」や「フランス料理」、「家庭料理」など、地域や一般家庭での素材の使い方や調理法の様式を表すのにも使われます。
変わったところでは、「ケンカを売ってきた相手を軽く料理する」といったように、相手を軽くあしらう様を指して使うこともある点です。料理の意味の幅は、単に食材だけを扱うだけではないほど広いといえます。
調理と料理の使い方の違い
調理と料理の意味の違いから、使い方にもはっきりとした違いがあります。すでにいくつかご紹介しましたが、調理はあくまでも専門色が強く、文字通り資格を持った専門家が行う食材加工の工程を指して使う言葉です。
一方の料理は幅が広く、調理もその意味に含まれます。しかし、料理は専門家以外の人が食材を加工する工程を指すのに使われるのが一般的で、できあがったものやその様式を指すのも料理の方です。
調理と料理、それぞれの違いは、複合語にもよく表れています。専門色の強い調理は、食材の加工に使う場所を指して「調理台」といい、そのための作業場は「調理場」と呼ぶのが一般的です。道具も「調理器具」のように、専門色が強いのはいうまでもありません。
一方で幅の広い料理は、食材の加工に関しては料理を提供する店を「料理屋」といったり、食材によって「肉料理」や「魚料理」など食材の名前をつけたり、誰でも作れるよう食材の加工方法を記したものは「料理レシピ」と呼ぶなど、さまざまな場所で目にします。
できあがったものも一般家庭でも馴染みがあれば「家庭料理」、地域色の強いものになると「郷土料理」や、さらに広義になれば「日本料理」、「イタリア料理」などとなるのです。一方で調理は工程そのものを指すため、できあがったもので使われることはありません。
調理と料理の違いのまとめ
調理と料理の違いについて、それぞれの意味と使い分けについてご紹介してきました。最後に改めて調理と料理の違いについてまとめてみましょう。
調理とは食材を食べられる状態に加工する、作業工程やその工程全般、必要とされる技術を意味する言葉です。専門色が強い点も特徴で、調理師といえば資格が必要とされ、調理とつく複合語も、専用の道具などを表すのに使われます。
料理は調理よりも広い範囲を指して使われ、食材の加工工程だけでなく、その工程によってできた食べ物のことやその様式にも使われる言葉です。専門的なことよりも一般的なことに使われることが多く、家庭で行う食材加工工程も調理ではなく料理を使います。
調理と料理とどちらを使うのが正しいのか迷ったら、まずは作業工程を指すのか、できたものなのかから考えてみるとよいでしょう。そして次に専門的なことなのか、誰にでも当てはまるような一般的なことなのかで考えると、より判断しやすいことでしょう。
おわりに
調理と料理は、似ているようではっきりと違いのある言葉です。意味がかぶっている部分でも、根拠を持って使い分けされています。普段から何気なく使っていたという人が多いかもしれませんが、それぞれの意味の違いを理解して上手に使い分けてください。