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納豆を424回かき混ぜると何が起こる?「魯山人納豆鉢」【ジャケ買い!ホムセングッズ】

ホームセンターの特徴はバラエティに富んだ商品群。「ジャケ買い!」では、なかでも個性的な打ち出しが多い生活用品・便利グッズに注目。パッケージやネーミングが強烈なメッセージを放つ一品を「ジャケ買い」、アピールの真偽を体当たりでレビューします!

今回は、美食家+納豆にまつわる「アレ」

ホームセンターを歩いていると、工具や材料の他に目を引くのが、数々の「おもしろ商品」。このコーナーでご紹介した「電撃スマッシュ殺虫ラケット」「サビ取りアフロ君」など、目を引くパッケージやキャッチコピーの商品があふれていて、まさにジャケ買いの宝庫! なんです。

今回は何を紹介しようかな〜とホームセンターを歩いていたら、見つけましたよ!

 

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ゴゴゴゴゴ……。

きたよこれ。パッケージから漂う「変なテンション」と「B級感」。しかも、販売しているのは、おもちゃ界の大御所「タカラトミー」。これは嫌が応にも期待が高まります。

さて、商品を見つけてまず真っ先に思ったのは、「魯山人て誰よ?」

「美食家魯山人の愛した究極の納豆を食する」というコピーから察するに、たいそう食にうるさいおじさまだったのでしょうが……

 

北大路魯山人(きたおおじ ろさんじん)
京都に生まれ、画家、書道家、陶芸家として名を馳せた魯山人(1883-1959)は、美食家としても著名な人物でした。美食へのこだわりは時に偏屈と思われるこだわりようで、400年の歴史を持つパリのフランス料理店で「ソースの味が気に入らない」という理由で、持参したわさびと醤油で味をつけ直したという逸話が残っています。

 

なるほど、魯山人は芸術家かつ美食家でもある、すごい人だったんですね!

……って誰だよ! というか誰をターゲットにしてるんだよ!

 

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パッケージを見ると「高速で424回転」と書いてあります。

諸説ありますが、魯山人は、「納豆は、400回かき混ぜて食べるのがうまい」と語っていたというエピソードが残っており、その納豆を再現するために作られたのが、この商品というわけです。

 

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ご丁寧にグラフまで付いています。納豆を、「混ぜない」「50回混ぜた場合」「424回混ぜた場合」の3パターンに分け、それぞれに水分を加えた上澄み液を味覚センサーで分析した結果を表したグラフのよう。

424回混ぜた場合は、「混ぜない」場合に比べて、大豆の濃厚感が109%もアップするそうです。でも、50回と424回の差が6%というのがちょっと切ない。

……と、開ける前から十分楽しませてもらった商品ですが、さっそく開封してみたいと思います。

 

いざ開封! シュールな「醤油スイッチ」に大興奮

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中にはパラパラと小さなパーツが梱包されていました。これらのパーツを合体!! させると、納豆ぐるぐるマッスィーンが完成するわけです。

 

guru ほれ、ぐるぐる、ぐーるぐる。ほほほ、よいではないか、よいではないか。なんかこれだけで楽しい。

さらに! シュールさを醸し出す機能が「醤油スイッチ」。レバー下に付いているスイッチを押すと……。

 

paka パッカーン!!

と醤油口が登場。

さすが、トランスフォーマーをはじめ、数々のロボット玩具を生み出してきた「タカラトミー」。この商品にも、男子をワクワクさせる、「変形」「合体」というキーワードが詰め込まれています。

 

魯山人モードで、納豆をこねくり回す

さて、ここで納豆を混ぜてみましょう。

「魯山人納豆鉢」には、魯山人が愛した納豆を再現できる「魯山人モード」と、自分だけの究極の納豆が探求できる「我流モード」が搭載されていますが、ここは基本をおさえて「魯山人モード」で納豆を掻き混ぜてみます。

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つまみを「始め」の文字に合わせ……、

 

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納豆を投入。

 

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いざ! こねくり回すぜぇぇぇぇぇ!!!!!

 

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こねこねこねこねこねこねこねこねこねこねこねこねこねこねこねこねこねこねこねこねこねこねこねこねこねこねこねこねこねこねこねこねこねこねこねこねこねこねこねこねこねこねこねこねこねこねこねこねこねこねこねこねこねこねこねこねこねこねこねこねこねこねこねこねこねこねこねこねこねこねこねこねこねこねこねこねこねこねこねこねこねこねこねこねこねこねこねこねこねこねこねこねこねこねこねこねこねこねこねこねこねこねこねこねこねこねこねこね……

 

ぇぇぇぇぇぇぇぇ〜い。疲れたっ!

まだ? まだなの? 結構回したけど! と思ってレバー下の小窓を見ると……、

 

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「手を抜くな」と。そうですか、魯山人先生、あたしゃ、まだまだやれますよ。

 

おぉぉぉぉぉぉ〜!!!

 

過剰なホスピタリティの先に、僕は宇宙を見た

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今度は倍速じゃ〜い!!

 

……ゼェゼェゼェ。もうそろそろいいんじゃない? ねぇ、いいよね、もういいよね? 魯山人先生っ!

 

nnn_12 「気合だ」。……気合いか、そうか、そうだよね。

浜〇京子さんも、父親の「気合だー!」という言葉に勇気づけられて歴代最多の優勝を成し遂げたんだもんね。魯山人先生、俺頑張るッス! とぐるぐる回していたら、その時異変が起きた!!

 

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今まで様々なコメントで励ましてくれた小窓を見ると「醤油」の文字。そして再びの……、

 

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パッカーン!!!

魯山人納豆鉢は、醤油を注すタイミングを教えてくれる、醤油扉の「自動開放」機能が付いているのです。なんなの、この過剰なホスピタリティ。

ここまでのホスピテリティを見せられて醤油を注がなければ、漢じゃありません。未来永劫「人でなし」と呼ばれるでしょう。そうさ、注いでやるよ! 全力の醤油と愛情をなっっっっ!!

 

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いくぞ! 「ラブ☆スプラッシュ feat ソイソース」っ!!

説明しよう、「ラブ☆スプラッシュ feat ソイソース」とは、行き場のない愛を抱えた三十路男子の哀愁と葛藤を注ぎ込んだ醤油だ。この歳になると、周りがどんどん結婚し始めて焦るぞ! ちなみに僕はシングルだ。みんな! 幸せになってくれよな!!

 

そして、最後の〆だ、いっくぞォォォォォ〜!!

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オッォォォォォォォ〜!!

(この時、ハンドルは音速を超え、光の速さに達した。回り続けるハンドルと逆行する時間の中で、そのうち僕は考えるのをやめた……。ただ、納豆をかき混ぜる感触に没頭することにしたのだ。そこには納豆の宇宙があった。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……ハッ。

次に気がついた時には、小窓の文字は「完」になっていた。

 

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やった、僕はやりきったんだ。

満足感に包まれながらフタを開けると、そこにはクリーミィに泡立った納豆が待っていた。

 

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いざ、実食! そして感じた納豆の地平線(ホライゾン)

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苦労して混ぜた納豆の味は、これいかに……?

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まろやか〜い。やさし〜い。なんだこのフワッフワ感。かき混ぜている時も楽しかったけれど、食べた時も美味しい。

魯山人先生は「飽きるところから新しい料理は生まれる」という言葉を残しています。正直、僕は納豆に飽きていました。どうせこんなものだろうとタカをくくっていました。

しかし、今日僕は納豆の新しい地平線(ホライゾン)を知った気がします。ありがとう、魯山人先生。

 

万事極めれば道になり、納豆もまたひとつの道である

シュールなパッケージ、途中で表示される応援コメントや「自動開放機能」などの過剰なホスピタリティ、そして、魯山人というマニアックな人物をまとめ上げた心意気。この商品を紹介していく中で、タカラトミーの本気を見た気がしました。大人がアホなことを本気でやると恐ろしいものです。

魯山人しかり、何事も極めれば道になり、道を探求するものは求道者です。納豆もまた道なり。僕も精進しようと思います。

極めよ