- 柴﨑 光一
- リゾートガーデンスタイル専属の庭師×Webコンテンツクリエイター。
カナダのトロントで造園士を、その後日本で花屋のバイヤー・鉢物の管理・アドバイザーを経験した後、ヤシの木を主体とするリゾート・ドライガーデンの造園士に。
現在は、リゾートガーデンスタイルの社会福祉施設・DOG CAFEの専属庭師に加え、畑の開拓・管理、SNSも兼務。
植物を専門とするWebコンテンツクリエイター、ガーデニング商品の監修者としても活躍中。
幼いころから生き物やもの作りが大好きで、庭木・草花・観葉植物を使ったガーデニングの世界を開拓しています。
日本とカナダでの造園・庭師の経験に加え、趣味の植物やコケの収集、植物アート作りを生かして、 みなさんに植物や庭の魅力をお届けします!
種類が豊富で育てやすい!ハナショウブ(花菖蒲)の育て方
初夏に貝殻のような花を、地面から長く伸びた茎の先に咲かせるハナショウブ(花菖蒲)。紫や青、ピンクなど花の色や模様のバリエーションが豊富で、さまざまなテイストの庭にあいます。ハナショウブの花・葉の特徴、育て方、種類など、魅力をたっぷりと紹介!
ハナショウブ(花菖蒲)の特徴&鑑賞や肥料などの時期や育て方の基本
ハナショウブは冬に葉を一斉に落とし、次の年に新しい芽を吹く落葉性多年草。日本にも自生するノハナショウブを、江戸時代を中心に品種改良し、現在では約2,000〜5,000種類ほどあるようです。
ハナショウブの基本情報
- 分類:アヤメ科アヤメ属
- 学名:Iris ensata var. ensata
- 英名:Japanese iris、Japanese water iris
- 別名:ハナアヤメ
- 原産:日本、朝鮮半島〜東シベリア
- 特性:落葉性
- 形態:多年草
- 草丈:0.5〜1m
- 開花:6〜7月中旬
- 花色:紫、青、黄、ピンク、白など
- 耐暑性:強い
- 耐寒性:強い
- 耐陰性:あり
ハナショウブの花・葉の鑑賞時期
ハナショウブは、6〜7月中旬ごろにかけて、紫や青、白などの花の見頃を迎えます。葉は5〜11月ごろまで、観葉植物のように鑑賞できます。
ハナショウブの肥料、植え付け、などの手入れ
球根で育つハナショウブは、花を毎年楽しむために、定期的な施肥や植え替えが大切です。花が咲いた7月下旬ごろにお礼肥を与えます。寒くなる9月ごろには、2〜3年に1回ペースで植え替えをしましょう。
ハナショウブの花・葉の特徴と花言葉
ハナショウブの花|上品で美しい姿
ハナショウブは3枚の小さな花びらが空へ立ち上がり、別の3枚の大きな花びらが、地面に向かって垂れるように咲きます。花びらには、葉脈のような線が無数に入り、大きな花びらには「目」と呼ばれる黄色い模様が入るのが特徴です。
ハナショウブの葉|春に新芽、夏に新緑、冬に落葉
地面からスイセンのような長い葉を伸ばすハナショウブは、アーチを描くように複数の葉を出します。5月ごろに新しい葉が芽吹くと、花芽も長く伸ばし、冬になると全て枯れて、地面に球根だけが残ります。
ハナショウブの花言葉
ハナショウブの花言葉は「うれしい知らせ」「優しい心」「優雅」です。
毎年花が楽しめる株に!ハナショウブの育て方とコツ
育て方1. 日当たりと風通しがよい場所で
ハナショウブは、日当たりと風通しがよい場所で育てるのがベスト!日陰過ぎると花が咲かなかったり、葉の色がくすんだりする場合もあります。西日の当たらない場所を選びましょう。
育て方2. 通気性・保水性のある土で
乾燥した場所が苦手なハナショウブは、湿り気のある場所で元気よく生長します。植え付ける前に、掘り起こした土に腐葉土、バーク堆肥を混ぜて、通気性・保水性をよくしましょう。
初心者の方は、ホームセンターなど市販で売っている草花用の培養土を使うと、混ぜる手間がなくておすすめです!
育て方3. 花が咲くまではたっぷりと水やり!
球根から蕾(つぼみ)が出てきてから花が咲くまで、ハナショウブは水をたくさん必要とします。水切れを起こしてしまうと、花が咲きにくく、咲いてもすぐにしぼんでしまう場合も。土の中が乾燥しないように、頻度よく水やりをしましょう。
鉢植えの場合は、水を張った容器に漬け込んでおくのもいいです。
育て方4. 秋は定期的に肥料を
花が咲き終わったあとには、お礼肥として肥料を与えましょう。肥料は油かすや緩効性化成肥料を与えると球根が大きくなり、翌年にも花を咲かせやすいです。
育て方5. 連作には注意!2〜3年ごとに植え替えを
ハナショウブは、3年以上同じ場所や同じ土で育てていると、球根が衰えはじめ花が咲きにくくなることがあります。2〜3年に1回のペースで、9月下旬〜11月中旬の間に植え替えを必ずしましょう。
鉢植えの場合は、新しい土を入れた植木鉢に。地植えの場合は、球根を掘り起こして、新しく用意した用土(場所)に植え付けます。
育て方6. 大きくなったら株分けをしよう
地面から伸びるハナショウブの茎や葉は、球根が大きくなると複数に増えます。生長が悪くなってしまわないように、植え替えするときに株分けをするといいです。
1つの株には、茎や葉が束になっています。束と束の間にカッターで浅く切り込みを入れ、手でほぐすと、簡単に株を分けられますよ。
花の色や形が上品!ハナショウブの種類
花の色や形が品種ごとに違い、たくさんの種類があるハナショウブ。それぞれの特徴が違うため、主に4つの系統にわかれます。
江戸系|庭で育てやすいハナショウブ
江戸時代に品種改良が盛んになり、広く親しまれてきた江戸系のハナショウブ。紫・青・白の色で、模様や形が多彩です。直射日光や病気に強いため、外で育てやすく、群生させた「菖蒲園」など庭園で多く使われます。
伊勢系|花びらが垂れるのが特徴
花びらが、ちりめん状で長く下に垂れ、上品な姿が多い伊勢系のハナショウブ。色は、紫・赤紫・ピンク・白とあり、女性的な印象があります。江戸系のハナショウブよりも背が低く、全体的に小ぶりです。
肥後系|室内の鉢植えで育てやすい種類
肥後系のハナショウブは、花びらが3や6枚、または八重咲きなどと、大輪の花を咲かせる種類。ハナショウブの中でも豪華な姿が楽しめ、紫・白・ピンクの花があり、複数の色で咲く品種が多いです。直射日光や強風に弱いため、室内の鉢植えで鑑賞します。
長井古系|原種に近いハナショウブ
ほかの系統と比べると、花びらが細くすっきりとした印象のある長井古系のハナショウブ。原種のノハナショウブに近い姿をしており、現在でも34種類ほどしか品種は確認されていません。しかし、そのうちの13種類は天然記念物に指定されている貴重な品種ともいわれています。
おわりに
花の色や形のバリエーションが豊富なハナショウブは、肥料や水やりなど管理がしっかりできれば、毎年花を鑑賞できます。室内でも育てられるので、より花や葉を身近に感じられますね。ぜひハナショウブを庭や鉢に植えて、華やかで印象のある庭や部屋をつくってみてくださいね!