
- 柴﨑 光一
- 建築・インテリア学科卒の元造園士。植物が大好き過ぎて、大自然のカナダで植物と戯れながら、 観葉植物・庭木・草花を使ったガーデニングの世界を開拓しています。日本での建築とカナダでの造園の経験に加え、趣味のさまざまな植物やコケの収集、植物アート作りを生かして、 みなさんにガーデニングの魅力をお届けします!
「輝かしい未来」という明るい花言葉を持つストレリチア。暖かい時期に咲く橙の花と鮮やかな緑色の大きな葉が美しく、室内の観葉植物として人気です。ストレリチアの花・葉の特徴、育て方のコツ、白い花が咲く種類、オーガスタとの違いなど、魅力をご紹介!
目次
ストレチアは冬に葉を一気に落とさない常緑性の多年草。大きな葉の形がバナナが属するバショウ科に似ているため、しばしば分類されることもありますが、現在は独立した個体と扱われるようです。
ストレリチアの開花期は不定期ですが、比較的暖かい5〜10月上旬ごろにかけて、橙(だいだい)や黄色の花を咲かせます。葉は一年中、光沢のある緑を鑑賞できます。
ストレリチアの花が咲きやすくなるように、春から秋の間は肥料を与えます。植え付けや植え替えは、寒くない4〜9月にしましょう。花が咲き終わる10月ごろに、花茎を根元から摘芯しましょう。
ストレリチアの花に見えている部分は、実は花ではなく「萼(ガク)」とよばれる葉の一部。本当の花は中心にあり、紫味がかった青い槍のような花を咲かせます。また、鳥のようなクチバシに見える部分は「仏炎苞(ぶつえんほう)」と呼ばれ、つぼみの全体を包み保護する役割があります。
全体の花の姿が、オーストラリアなどに自生するゴクラクチョウという鳥に似ていることから、ゴクラクチョウカと名付けられたようです。
4〜10月の暖かい時期は生長が活発なストレリチア。中心の茎の根元近くから割けるように黄緑色の新緑の芽が顔を出し、次第に濃緑の大きな葉に生長します。葉はスッと空を立ち上がったような姿になります。
ストレリチアの花言葉は「輝かしい未来」「寛容」「万能」です。
観葉植物の中でも、比較的寒さに強いストレリチア。氷点下3〜5℃ほどまでなら外でも冬越しができますが、霜に当たってしまうと枯れてしまいます。地植えで育てる場合は、腐葉土やバークチップで株元をマルチングをして、防寒対策をしっかりとしましょう。
ストレリチアは、日当たりと風通しがよい場所で育てるのがベスト!日陰過ぎると花が咲かなかったり、葉の色がくすんだりする場合もあります。西日の当たらない場所を選びましょう。
湿った場所が苦手なストレリチアは、有機質がたっぷりと入って、水はけの良い場所ですくすくと育ちます。
植え付ける前に、掘り起こした土に赤玉土、腐葉土、バーク堆肥を混ぜて、排水性・通気性をよくしましょう。
ストレリチアは、たくさんの太い根を地面に深く張ります。鉢植えで育てる場合は、草丈が1mほどなら直径20〜30cm、深さ20〜25cm程度の鉢に植え付けましょう。鉢やポットが小さ過ぎると、根詰まりを起こし、生長不良や枯れる原因にもなります。
また、2年に一度のペースで、植え替えもしてくださいね。
根が球根のように太くなるストレリチアは、タンクのように水を貯めるため、乾燥にはとても強いです。そのため、水を過剰に与えてしまうと、土がいつまでも乾かず、根が呼吸できずに枯れてしまう場合も。
土の中がしっかりと乾いて、表面が白っぽくなったら水をたっぷり与えましょう。また、冬の水やりは、月1回程度で、土の乾燥具合を確認しながら与えてくださいね。
大きな花を咲かせるストレリチアは、定期的に肥料を与えた方が花が咲きやすいので、年に3回程度肥料を与えましょう。花が咲く前の4月と、花が咲く頃の7月ごろに追肥を、花が咲いた後の9月ごろにお礼肥を与えます。
肥料は窒素(N)、リン酸(P)、カリウム(K)のバランスが取れたものか、リン酸が多いものを与えるのがおすすめです。
ストレリチアは、南アフリカ周辺と南アメリカを中心に、現在5種類の生息が確認されています。花の形は、基本的に鳥の頭(ゴクラクチョウ)に似た姿をしていますが、花びらの色が黄、橙、白とあり、草丈も10m以上に生長するものもあります。
ゴクラクチョウカの名前で親しまれているストレリチア・レギネは、ストレリチア属の中でも代表的な品種。アメリカのフロリダ州を原産とするものが多く、寒さには比較的強いです。大きくなっても草丈は1m前後なので、室内の観葉植物として育てやすいですね!
オーガスタの名前で出回ることが多いスレリチア・ニコライは、レギネと同じくらい人気の観葉植物。全体的に大きく、草丈は最大で10mほどに生長することもあります。
ストレリチア・レギネと見た目がよく似ていることから、しばしば混同されることが多いストレリチア・ニコライ。レギネよりも葉の色が濃緑で横に広く、古くなると葉脈に沿って裂けることも。夏頃に咲く花は、黒いクチバシのような花茎から、白い花びらをもった花を咲かせる違いがあります。
ストレリチア・ユンケアは、レギネの花によく似ており、暖かくなると橙色の花を咲かせます。根元から伸びる葉は、ストレリチア属の中でも細くシュッとしているため、見分けが付きやすいです。
南アフリカからジンバブエの山部に生息するストレリチア・コーデイトは、現地では「野山のバナナ」の名前で親しまれているようです。草丈は6mほどと、ストレリア属の中では中間ぐらいの大きさ。夏頃に咲く花は、黒いクチバシのような花茎から白い花びらが数枚付きます。
紫色のクチバシのような花茎から、純白の花びらを付けるストレリチア・アルバ。ストレリア属の中でもかなり大きく、草丈は大きくなると12m以上なる場合もあります。南アフリカやマダガスカルに自生するため、寒さには弱く、外での冬越しは難しいです。
美しい花が長く楽しめるストレリチアは、水やりや管理も楽で、室内の観葉植物におすすめ。花の色が違うオーガスタなどの品種と一緒に飾れば、印象のある部屋づくりにもなります。ぜひストレリチアを育てて、季節ごとの変化を楽しんでくださいね!