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ガーデニング
河村ゆかり

可愛いしっぽが庭のアクセントに!ネコヤナギの育て方

早春から、フカフカの「猫のしっぽ」を枝先に付けるネコヤナギ。寒さがゆるんでくるころから、その愛らしい姿を見ることができます。丈夫で育てやすく、ガーデニングビギナーにもおすすめの樹木ですよ。

シルバー、ピンク…お好みのカラーのネコヤナギを育てよう!

ネコヤナギは輝くシルバー、あでやかなピンク色、シックな黒など、花穂の色の異なる品種が。ガーデンのイメージに合わせて、色を選ぶのも一興です。枝をカットして、フラワーアレンジメントにもどうぞ。

ネコヤナギって、どんな樹木?

ネコヤナギ(ヤナギ科)は、「タニガワヤナギ」の別名が示す通り、渓流沿いや川の土手などで自生が見られる日本原産の落葉樹です。樹高は1〜3mと、世話のしやすいサイズ。小さめのお庭でも十分育てられます。

耐寒性があり、しっかり根付くとどんどん生育します。難しい栽培テクニックは不要で、ガーデニングビギナーの方でも、わりあい容易に育てることができます。

「猫のしっぽ」にたとえられる花穂の開花時期は、3〜4月。花穂は、最初からフカフカの状態ではありません。冬の間は、花を保護するための「芽鱗(がりん)」にスッポリと覆われています。

3月頃になると、芽鱗と枝のつなぎ目を割くようにして、下からネコヤナギの花穂が見えはじめます。

最初はほんの少しだった花穂の面積は、日を追うごとにどんどん大きくなって、花穂の上に芽鱗が帽子のようにのっかるまでに。最後には芽鱗は落ちて、花穂だけの姿になるのです。

ネコヤナギは落葉樹で、冬場は葉のない状態です。早春にまず花を咲かせ、その後に葉が発生します。ネコヤナギは雌雄異株ですが、雌雄いずれにも花が咲きます。花穂のサイズは、雌花より雄花の方が大きめです。

当然のことですが、種がつくのは雌株のみなので、種で増やしたい方はご注意を。

またネコヤナギは、多くの詩歌に顔をのぞかせる植物です。『万葉集』に登場する「川楊(かはやぎ)」は、ネコヤナギのことと考えられ、古くから日本人に愛されてきたことが推測できます。

さらに、日本の近代文学史にその名を刻む北原白秋や高浜虚子など、これまで数えきれないほどの俳人たちが、ネコヤナギを題材にした俳句を詠みました。現在も初春の季語として、ネコヤナギは詠み人の心を惹きつけています。

では、そんなネコヤナギの上手な育て方を、次項から解説していきましょう。

 

ネコヤナギの栽培適地

ネコヤナギは、もともと河原の土手などに生育していた樹木です。湿り気のある土質を好むのが、最大の特徴。どちらかというと、粘土質の土を好みます。ロックガーデンや砂質土壌など、保水性のない乾燥しがちな場所に植えると、生育不良や枯死を招くこともあるので注意しましょう。

ネコヤナギは日当たりがよいほうがよく育ちますが、半日陰でも充分に生育します。ただし、まったく日のささない暗い日陰だと、どんどん弱ってくるので避けたほうが無難です。

 

ネコヤナギの水やりと肥料

ネコヤナギ栽培の大敵は、乾燥すること。水の与えすぎよりも水切れのほうが、ネコヤナギにとっては深刻な事態を招きがちです。庭に地植えしている場合、雨が降らず、乾燥した日が続くときには水を与えたほうが安心。

乾きやすい鉢植えは、表土が乾いたら、鉢底穴から水がしたたり落ちるまで、しっかり水やりを行いましょう。

ネコヤナギの肥料は、2月ごろに寒肥を与えます。たくさんの花穂をつけるので、花が終わった後にお礼肥を与えたいところですが、多肥は厳禁です。肥料を与えすぎると、生育旺盛なネコヤナギはどんどん伸び、枝が暴れがちになるので、おすすめできません。

 

ネコヤナギの剪定

ネコヤナギは剪定しなくても、樹高3mほどに収まる樹木ですが、旺盛に枝数を増やし、よく枝が伸びます。「これ以上大きくしたくない」「もう広げたくない」という場合には、花の後すぐに剪定してください。

夏には来年春に咲く花芽が形成されるので、剪定時期が遅れると、翌年は花穂が少なくなってしまうのでご注意を。

株元から勢いよく伸びてくる枝(ヤゴ)は、株元でカット。重なり合った枝や、徒長して形を乱す枝は、適度に切り詰めます。

 

ネコヤナギの増やし方

ネコヤナギは、挿し木で簡単に増やせます。非常に発根しやすく、「活けていたネコヤナギの枝に根が出たので、そのまま庭に植えたら大きく育った」なんて話も、決して珍しくないほどです。

気温が上がりはじめる3月上旬が、挿し木の適期です。前の年に伸びた健康な枝をチョイス。15〜20㎝に斜めにカットして、そのまま挿し木用の土に挿すだけでOKです。水を切らさないように管理すると、やがて発根するので定植してください。

 

ネコヤナギの病害虫

ネコヤナギの病害虫には、アブラムシやうどん粉病などがあります。アブラムシは、新芽にとりつきます。ウイルス病の媒介をすることも多く、すぐに駆除したい害虫です。特に春先に発生するので、注意しましょう。

花が終わった後、梅雨時になるとうどん粉病にかかりがち。葉が白い粉状のカビで覆いつくされ、光合成ができなくなるため、どんどん株が弱っていきます。最悪、枯死を招く深刻な病気です。

いずれも予防と、見つけた時に即対応することが大切です。専用の薬剤を上手に利用するとよいでしょう。

 

まとめ

冬枯れした寂しい庭に、可愛らしいネコヤナギの花穂を見つけた時の喜び! 早春を代表する花木を、ぜひ育ててみてくださいね。