- 津久井 玲子
- 自分が仕事の中で勉強したことを、わかりやすさ、伝わりやすさに気をつけて書いています。読んでくださった方にとっても、読んでよかった、勉強になったと思える記事を目指しています。
知っておきたい!仏壇の正しい処分方法は?処分前の注意点もご紹介
「引っ越すことになった」「家を建て替えることになった」など、様々な理由で仏壇の置き場所に困る場合があります。しかし、仏壇を処分するとなるとどうしたらよいものかと、さらに困る方も多いのではないでしょうか?正しい仏壇の処分方法をご紹介します。
仏壇の処分方法は基本4つ
仏壇の処分方法は、普段仏壇をどのように扱っているかでも変わります。毎日欠かさず線香を供えて拝んできた方にとっては、仏壇を処分するのも心苦しいのではないでしょうか?
そんな仏壇の処分は、少しでも思いをこめた形を取りたいもの。ただし、そのような処分方法ほど経費がかかってしまうので、理解した上で行ってください。
菩提寺に処分依頼する
一族のお墓のあるお寺を菩提寺と呼び、檀家の仏壇の処分なら基本的には受け付けてくれます。実家から遠く離れて住んでいる場合や懇意にしているお寺が近所にない場合は、菩提寺と同じ宗派のお寺に依頼するのもよいでしょう。
通常は引き取ってもらった後に、仏壇をお焚き上げで処分することが多いです。しかし近年、防災などの観点からお焚き上げをしにくくなっていることから、引き取りを断られることもあります。檀家でなければなおさらです。
仏壇の処分費用も通常と名前が異なり、「お布施」となります。そのため一概にいくらと決まっているわけではなく、相場としてはかなり広く不明瞭なのが現実です。目安としては5万円前後ともいわれていますが、わからないようなら相談して決めてください。
なお、お布施は単に仏壇の処分にかかる費用にすぎません。仏壇の運送代は別の費用として必要になるので、その分も用意する必要があります。
仏具店に処分依頼する
仏具店に処分を依頼する時は、同時に新しい仏壇を購入する時がよいでしょう。ただ処分だけをお願いするよりも安くなる傾向があるためです。それでも仏壇の大きさなどで費用が変わるため、意外と高くつくこともあります。
仏具店に処分依頼する場合、すでに段取りは整っているため手続きそのものはスムーズです。料金の目安は1~3万円ほどが多いといわれています。処分方法は合同でのお焚き上げが一般的なので、節約しつつ相応に処分したいという方向けです。
専門業者に処分依頼する
仏壇を専門に引き取りしている業者をはじめ、新居への引っ越しを依頼した引っ越し業者、不用品引き取り業者に依頼する方法です。仏壇の引き取り専門の業者なら、宅配便で送るだけですむので手間も大きくはぶけます。
注意したい点は、仏壇処分前に行っておきたい供養そのものは、通常引き受けてくれないことが多い点です。あらかじめ先に供養してくれるのか確認し、必要なら供養だけは先に行っておきましょう。
また、中には不法投棄ですませる悪徳業者に引っ掛かることもあるので要注意です。仏壇を雑に扱われたくない時にはおすすめできません。費用は業者によって様々なので、相談して決めることになります。
自治体に粗大ゴミとして処分依頼する
自治体によって扱いが変わるデメリットはありますが、基本的に最も安い費用で仏壇を処分できる方法です。仏壇をばらしてから出せば、燃えるゴミとして処分できる場合もあります。
ただし、仏壇に思い入れがある場合には最も避けたい方法です。また、近所の目が気になる処分方法でもあります。自治体によって回収を拒否されることや、回収業者に嫌がられることもあるようです。もちろん供養はしてもらえないので覚えておきましょう。
仏壇を処分する時の流れ
仏壇を処分する時には、計画性も必要です。場合によっては菩提寺への手続きなども必要となります。順を追って確認してみましょう。
まずは処分予定の仏壇の購入時、開眼供養をしたかどうかを確認します。宗派によっては開眼供養自体がない場合もありますが、行われていた場合には菩提寺に連絡し、閉眼供養をする必要があるのです。
閉眼供養をすませることで、仏壇も通常の棚と同じように扱えるようになります。サイズを測って処分先に依頼をし、見積もりに納得したら契約、引き取り予定日決定へとつなぎましょう。後は梱包しておき、当日業者に引き渡せば処分してもらえます。
供養とは?
仏壇の処分前にしておきたいこととして、「開眼供養をしたかの確認」「閉眼供養をする」とご紹介しました。これは、「仏壇を購入した時に、先祖をはじめとした祀る魂を仏壇に呼び込んだか」「仏壇の処分前に宿らせた魂を解放したか」の確認になります。
開眼供養は「魂入れ」「お性根入れ」「入魂式(にゅうこんしき)」などとも呼ばれる儀式です。菩提寺から僧侶を呼んで行われます。ただし、浄土真宗では魂は浄土に還るとされるため、そもそも開眼供養そのものがありません。
開眼供養で宿った先祖の魂をそのままに、仏壇を処分するわけにはいきません。そのため仏壇の処分前に、今度は宿らせた魂を抜く儀式として供養が必要となります。それが閉眼供養です。「魂抜き」「お性根抜き」「御霊(みたま)抜き」などとも呼びます。
閉眼供養をしないまま仏壇を処分すると、仏壇に宿る先祖の魂ごと処分してしまうため要注意です。閉眼供養も菩提寺に依頼し、僧侶を呼んで儀式を行います。菩提寺にも都合があるため、余裕をもって依頼しましょう。これで仏壇も単なる家具に戻ります。
仏壇を処分する前に確認しておきたいこと
仏壇には位牌以外にも様々なものが置かれています。仏具は片付ければよいだけですが、遺影などの写真を飾っているという方も多いことでしょう。
遺影はそのまま新しい仏壇に飾ってもよいですが、やむなく処分するという時には仏壇同様閉眼供養するのがおすすめです。遺影にも故人の魂を感じている方も多く、処分前にはその魂も抜いて開放しておきましょう。処分もお焚き上げして見送ると安心です。
また、仏壇の引き出しの中もすみずみまで確認しましょう。通常はあまり開け閉めしない場所のため、印鑑や通帳などをしまったままにしている場合も多いのです。
特に親や故人など昔の人は、貴重品を仏壇にしまっていることが多くありました。間違っても一緒に処分してしまうことがないように、引き出しを中心にすみずみまで確認してください。
仏壇は買取してもらえる?
仏壇の処分方法は、通常では支払いが発生するものばかりです。しかし、仏壇を買い取りしてもらえれば、いくばくかのお金になります。では、仏壇の買取を行っている場所はあるのでしょうか?
仏壇によっては古美術としての価値がある場合があります。その場合には古美術商に買ってもらえることがあるので、気になるなら確認してみる価値はあるでしょう。
また、リサイクルショップの中には、仏壇を引き取ってくれるところもあります。しかし中古の仏壇は需要が少ないため、引き取ってくれる場所は少ないのが実情です。引き取ってくれても、価値のある部品や素材を取ってリサイクルする場合が多いといいます。
同様に仏具店でもよほどの仏壇でもない限り、使われている金箔や黒檀などを取る素材として引き取る場合が主流です。そのため手間賃を差し引かれ、思ったほど値段がつかないことも珍しくありません。
梱包技術に自信がある、配送料は買った側が引き受けるなどといった条件を呑んでもらえるなら、ネットオークションもよいでしょう。価格に関係なくリサイクルしたい方にはピッタリです。
意外に思うかもしれませんが、おすすめは海外のオークションへの出品だといいます。オブジェ感覚で仏壇を求める方がいるらしく、事実、海外のオークションサイトではまれに仏壇の出品があるのです。
ただし、海外への輸送はいろいろと手間がかかります。必要な手続きの内容などを先に調査してから出品する方がよいでしょう。
おわりに
仏壇の処分は、人によっていろいろと思うところもあることでしょう。それだけに先祖に敬意を表す処分方法を選びたいものです。用意できる費用にもよりますが、納得のいく内容で作法を守った方法で処分してください。