
- 柴﨑 光一
- 建築・インテリア学科卒の元造園士。植物が大好き過ぎて、大自然のカナダで植物と戯れながら、 観葉植物・庭木・草花を使ったガーデニングの世界を開拓しています。日本での建築とカナダでの造園の経験に加え、趣味のさまざまな植物やコケの収集、植物アート作りを生かして、 みなさんにガーデニングの魅力をお届けします!
独特な爽やかな風味をもつパクチーは、植木鉢やプランター、庭やベランダのあいたスペースなど、家庭菜園・ベランダ菜園で育てやすいハーブ。パクチーの花や葉の特徴から、種まきの仕方、育て方のコツ、収穫時期、種類までたっぷりとご紹介します!
目次
パクチーは、南ヨーロッパや地中海沿岸部を原産とするセリ科の植物。寒さや乾燥に強いため、4〜11月ごろであれば栽培はいつでもOK!地域によっては、真冬でも栽培できるところもあります。
エスニック料理など東南アジアや南米を中心とした料理に使われるパクチーですが、意外と寒さに強く、15℃前後でも元気に育ちます。
5〜6月にニンジンの花に似た、白い小さな花をたくさん咲かせ、摘み取らないでそのままにしておくと種をつけます。
香りが強い葉は、パセリのような切れ込みが入り、ふわふわとしたやわらかい手触りをしています。
根を地面へ真っ直ぐと伸ばす直根性のパクチー。植え替えを嫌うため、植木鉢やプランターで育てる場合は、できるだけ深めのものを選びましょう。
植木鉢は6号鉢(直径18×高さ20cm)サイズ以上のもの、プランターなら65型(幅65×縦20×高さ20cm)サイズのものが育ちやすくてベスト!
小さめのものだと根詰まりを起こしやすく、植え替えが必要になって育て方も難しくなってしまうので注意してくださいね。
パクチーの種は硬い殻に包まれた硬実種子のため、そのまま種をまくと、発芽するまでに時間がかかってしまいます。種をまく前は、一晩水に浸けておくと、発芽しやすくなりますよ。
ホームセンターなど市販で売っている野菜培養土に、種を点まき、または筋まきします。点まきなら、直径5cmの穴に3〜5粒ほど、筋まきなら1〜2cmほどの間隔でまきましょう。深さ1cm程度の穴に種をパラパラとまいたら、上から土を薄くかぶせて手で鎮圧します。
基本的に難しい育て方や管理がないパクチーですが、じめじめとした湿った暑い場所で育てていると、病気や害虫の被害にあって枯れてしまうことも。育てる場所には注意して、定期的に葉や茎の状態を観察しましょう。
また、パクチーは肥料がなくても大きく育つハーブです。肥料を与えてしまうと、アブラムシがついてしまうこともあるので注意してくださいね!
パクチーは、日当たりと風通しがよい場所で育てると元気に生長します。直射日光が当たって高温多湿になるような場所だと、根腐れを起こして枯れてしまう場合も。朝の日差しが差し込むような、暖かい場所で育てましょう!
葉をたくさん展開させるパクチーは、吸水する力が強く、多くの水を必要とします。土の表面が乾いて白っぽくなっていたら、水を与えるサイン!土の中の空気が入れ替わるように、たっぷりと与えてくださいね。
ただし、パクチーの茎が倒れたり、折れたりしないように優しく水を与えましょう。根元付近の茎に、水が当たるようにかけるのがコツです。
パクチーの株が大きくなって、葉が混み合うと、ひょろひょろの株に生長してしまう場合も。葉が5枚ほどに展開したら、生育のよい株を残すようにして間引きましょう。
葉が黄色くなったものや、黒ずんで傷んでいるものは、生長を悪くさせる原因なので、株の小さいうちから取り除くと、元気に生長してくれます!
種まきから2ヶ月ほどたつと、パクチーの株は収穫できるサイズに。草丈が20cmほどになっていたら、ハサミで外側の葉を切って収穫しましょう。内側の葉を残しておくと、新しい葉が次々と生えてくるので、パクチー栽培を長く楽しめますよ!
リーフ・パクチーは、パクチーの中でも代表的な品種で、よくスーパーなどの店頭に並びます。パセリによく似た葉を持ち、育て方も簡単。
葉や茎は爽快さのあるスパイス風味で、燻製(くんせい)した肉や魚の料理とよくあいます。
大きくてギザギザした葉が特徴のクアントロ。パクチーの香りをさらに強くしたハーブで、パクチー好きにはたまらない、クセのある風味が特徴です。
メキシコやカリブ海などの中南米に自生する、クアントロは、温暖な気候を好みます。半日陰になるような暖かい場所で育てるのがベスト。
ベトナム料理では欠かせない存在のベトナムコリアンダー。通常のパクチーよりも風味がよく、ミントのような爽やかな香りがします。
ベトナムやカンボジアなどの熱帯地域に自生するため、高温多湿な環境が大好きです。冬は室内で育てるなどの、冬越しの対策が必要。
エスニック料理など、ユニークな料理の香りづけとして使われるパクチー。育て方が簡単で、家庭菜園でも育てやすいハーブです。種類を選べば、香りや風味の違いが楽しめるので、ぜひ栽培にチャレンジしてみましょう!