- 坂本 圭子
- 管理栄養士として病院、介護老人保健施設、保健センターで10年の経験を経てフリーランスに転身。
現在は、執筆、レシピ開発、オンラインダイエット食事指導、サプリメントの商品企画、監修の仕事をしております。
一日の男性と女性 の摂取カロリーはどのくらいが理想的?
健康管理をする上で自らの一日の摂取カロリーを把握することは大切だ。しかし、一日にどのくらいの摂取カロリーをとれば良いか悩んでしまう人もいるかもしれない。ここでは、摂取カロリーを始めとしてその他の栄養素の目標量も分かりやすく説明しよう。
一日の摂取カロリーとは?男性、女性 の場合
一日の摂取カロリーって?
一般的によく言う摂取カロリーとは、厚生労働省の食事摂取基準では推定エネルギー必要量とも呼ばれている。推定エネルギー必要量は下記のように表される。「推定エネルギー必要量=基礎代謝量×身体活動レベル」
基礎代謝量は基礎代謝基準値に参照体重を乗じることで計算される。例えば、男性であれば18〜29歳の基礎代謝量基準値が23.7(kcal/kg体重/日)、参照体重が64.5(kg)である。それらを掛け合わせて基礎代謝量は1530(kcal/日)となっている。
女性の場合は、基礎代謝量基準値が22.1(kcal/kg体重/日)、参照体重が50.3(kg)である。それらを掛け合わせて基礎代謝量は1110(kcal/日)となっている。
また、身体活動レベルは、3つに分かれている。低い 1.5(Ⅰ)、普通 1.75(Ⅱ)、高い 2.0(Ⅲ)となる。
男女の一日の推定エネルギー必要量(摂取カロリー)はどのくらい?
1日の推定エネルギー必要量は、18〜29歳の男性の場合は、身体活動レベルがⅠのときは2300kcal、Ⅱのときは2650kcal、Ⅲのときは3050kcal。18〜29歳の女性の場合は、身体活動レベルがⅠのときは1700kcal、Ⅱのときは2000kcal、Ⅲのときは2300kcal。
推定エネルギー必要量を参考に一日の摂取カロリーを計算してみよう。また、摂取カロリー以外にもたんぱく質、脂質、炭水化物をバランスよく組み合わせることが健康維持には大切になる。
一日のたんぱく質の目標量とは?
たんぱく質の種類・役割
たんぱく質は20種のアミノ酸が結合してできた栄養素だ。たんぱく質は他の栄養素を使って体内で生合成できないため、たんぱく質の食品を摂取しなければならない。なぜなら、たんぱく質は人体にとって必須栄養素であるため、不足するとクワシオルコルなどを生じるリスクがある。
また、たんぱく質は身体を構成している栄養素に関わる。例えば酵素やホルモンの材料やヘモグロビン、トランスフェリンなど血液や鉄の輸送にも関与している。
体内のたんぱく質は合成や分解を繰り返し、常に一定に保たれている。とくに妊婦、授乳婦は胎児の蓄積量や泌乳からのたんぱく質必要量が高まるため、たんぱく質の付加量が定められている。
たんぱく質の一日の目標量とは?
たんぱく質の目標量は身体活動レベルによって分けられている。
18〜29歳の男性の場合
身体活動レベルⅠのときは75〜115g、Ⅱは86〜113g、Ⅲは99〜153gになっている。
18〜29歳の女性の場合
身体活動レベルⅠのときは57〜88g、Ⅱは65〜100g、Ⅲは75〜115gになっている。
このようにたんぱく質の目標量は普段の身体活動レベルが高い場合や妊娠中などは意識してたんぱく質を補う必要がある。筋力トレーニングしているなどライフスタイルに合わせて不足しないように気をつけよう。
一日の脂質の目標量とは?
脂質の役割
脂質は、細胞膜の構成物質やホルモンを合成する材料、胆汁酸に変わる働きがあり、体内では主要な役割を果たしている。また、ビタミンA・D・E・Kなどの脂溶性ビタミンやカロテノイドなどの吸収をサポートする働きもある。
このようにさまざまな働きを担う脂質だが、炭水化物やたんぱく質と比較して1gあたりのエネルギー量が高いので、摂りすぎてしまうと体内でエネルギー蓄積に傾きやすいことが考えられる。
脂質の種類
脂質には飽和脂肪酸、一価不飽和脂肪酸、多価不飽和脂肪酸がある。この多価不飽和脂肪酸の中にはn-6系脂肪酸やn-3系脂肪酸がある。
飽和脂肪酸は、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、カプリン酸、カプリル酸がある。重要なエネルギー源ではあるが、摂りすぎないことが好ましいとされているため、目標量が設定された。
n-6系脂肪酸はリノール酸、γ-リノレン酸、アラキドン酸がある。生体内では合成できないため、経口摂取が必要だ。n-3系脂肪酸はα-リノレン酸(食用油由来)、EPAやDHA(魚油由来)がある。これらの脂肪酸も体内で合成できないため、目標量が設定されている。
脂質の目標量
脂質の一日の目標量は(総エネルギーに占める割合)男女とも0~5か月までを50%、その他の年代では共通して20~30%に設定されている。
脂質の中でも細かく目標量が設定されているため確認してみよう。飽和脂肪酸の目標量は、18歳以上の男女では共通して7g以下に設定されている。
n-6系脂肪酸の目安量は18~29歳の男性では11g、女性では8g、n-3系脂肪酸の目安量は18~29歳の男性では2.0g、女性は1.6gと設定されている。
一日の炭水化物の目標量とは?
炭水化物の種類・役割
食事摂取基準の分け方としては炭水化物は糖質と食物繊維に分けられる。糖質には糖類の単糖類(グルコース、フルクトース、ガラクトース)、二糖類(スクロール、マルトース、ラクトース)、糖アルコールやオリゴ糖のマルトオリゴ糖、その他のオリゴ糖(マルトデキストリン)がある。
食物繊維には多糖類のデンプン(アミロース、セルロース、アミロペクチン、ペクチン、ヘミセルロースなど)が入る。炭水化物は身体の中でエネルギーの源となり、身体を動かすためには必要不可欠だ。エネルギーは食物繊維によるものは少なく、そのほとんどが糖質に依存している。
炭水化物と食物繊維の一日の目標量
炭水化物の一日の目標量は、全ての年代の男性、女性ともに50〜65%に設定されている。炭水化物の中でも糖質にあたる甘味料や甘味飲料、精製度の高い食事の偏りは健康面からも好ましくない。そのため、1日の摂取カロリーに対する割合も意識する必要がある。
食物繊維の一日の目標量
男性18〜29歳では、男性では21g以上、女性では18g以上に設定されている。食物繊維は腸内細菌の発酵によってエネルギーを生み出す。エネルギーは0〜2kcalだ。
また、食物繊維が多い食品はグリセミックインデックス(GI値)が低い特徴があるため、血糖値が高い人や健康志向の人にはおすすめだ。
おわりに
健康を意識するならカロリーコントロールも大切になる。そのため、一日の推定エネルギー必要量(摂取カロリー)を確認してみよう。また、たんぱく質、脂質、炭水化物から成る三大栄養素の割合も参考にしながらバランス良く意識できると健康的だ。