- 柴﨑 光一
- リゾートガーデンスタイル専属の庭師×Webコンテンツクリエイター。
カナダのトロントで造園士を、その後日本で花屋のバイヤー・鉢物の管理・アドバイザーを経験した後、ヤシの木を主体とするリゾート・ドライガーデンの造園士に。
現在は、リゾートガーデンスタイルの社会福祉施設・DOG CAFEの専属庭師に加え、畑の開拓・管理、SNSも兼務。
植物を専門とするWebコンテンツクリエイター、ガーデニング商品の監修者としても活躍中。
幼いころから生き物やもの作りが大好きで、庭木・草花・観葉植物を使ったガーデニングの世界を開拓しています。
日本とカナダでの造園・庭師の経験に加え、趣味の植物やコケの収集、植物アート作りを生かして、 みなさんに植物や庭の魅力をお届けします!
植物の肥料|ガーデニング初心者にわかりやすく種類や効果を紹介
ガーデニングをするうえで、植物への肥料やりは欠かせないことです。けれども、肥料にはさまざまな種類があり、わかりにくいですよね?今回はガーデニング初心者でも上手に肥料やりができるよう、植物に必要な栄養素から種類や効果などについて解説します!
目次
ガーデニング初心者必見!植物に必要な栄養素と肥料
肥料にはこれ!植物の3大栄養素
植物に肥料を与えるときは、植物の3大栄養素がしっかりと含まれていることが大事です。3つの栄養素があって、植物は元気よく生長してくれます。
- 窒素(N):葉や茎の生長に必要
窒素は植物の葉や茎の生長に必要で、葉肥(はごえ)とも呼ばれています。植物を大きくさせる役割があるほか、葉の色合いなどにも必要な栄養素です。窒素が多すぎると、花や実のつきが悪くなるほか、病害虫への抵抗力が落ちるので注意! - リン酸(P):花や実のつきに必要
リン酸は植物の花や実のつきに必要で、花肥(はなごえ)・実肥(みごえ)と呼ばれています。開花に伴って、実はできるので花つきをよくするには、リン酸は不可欠です。植物を育てているうえでは、土壌のリン酸が過剰なることは滅多にありませんが、多すぎると、根のトラブルに繋がりやすく、生育不良を起こします。 - カリウム(K):根の生長に必要
カリウムは植物の根の生長に必要で、根肥(ねごえ)とも呼ばれています。根張りを良くするので、植物自体の生長に大きく関わる栄養素の一つですよ。カリウムが多すぎると、植物に必要なマグネシウムの吸収を阻害し、病気を起こすことがあります。
3大栄養素だけではない!ほかの栄養素が含まれた肥料も与えよう
植物には3大栄養素以外にも、多くの栄養素を必要とします。炭素・水素・酸素も多く必要としますが、これらは空気中から植物が自発的に吸収しているので、私たちが与える必要はありません。
3大要素の次には、中要素と微量素とあり、プラスαで3中要素を知っておくと、植物をさらに元気に育てることができますよ。
- カルシウム(Ca):病害虫に強い植物になる
カルシウムは植物の細胞壁をつくり、病害虫に抵抗する強いカラダづくりに必要です。 - マグネシウム(Mg):光合成に必要な葉緑素をつくる
マグネシウムは葉緑素をつくるほか、リン酸の移動を助ける役割があります。 - 硫黄(S):植物のカラダを形成するたんぱく質をつくる
硫黄は植物のカラダを構成するタンパク質を作り、生長を助けます。
ガーデニングで使い分けよう!肥料の種類と効果
化成肥料と有機肥料の違い
肥料の種類を選ぶときに、まず目にするのが「化成肥料」と「有機肥料」です。それぞれの原料は全く異なりますが、どちらが良いかという点では、同じぐらいで比べる必要がないでしょう。
◉化成肥料
無機質素材から作られ、即効性のある肥料です。観葉植物など室内で育てる植物に使うと、コバエも発生しなくておすすめ。
肥料の種類
・苦土石灰(マグネシウム、カルシウム/速効性)
・硫酸アンモニウム(窒素/速効性)
・硫酸カリウム(カリウム/速効性)など
◉有機肥料
腐葉土や鶏糞などがあり、植物や動物由来でできている肥料です。微生物が土の中を改良し、ゆっくりと効果がでるのが特徴。
肥料の種類
・油かす(窒素/緩効性)
・骨粉(リン酸/緩効性)
・魚粉(窒素、リン酸/中間)
・草木灰(カリウム/速効性
・発行鶏糞(窒素、リン酸、カリウム/速効性)
堆肥は肥料と同じもの?
肥料の種類を調べていくと「堆肥」という言葉もよく目にすると思います。堆肥は有機肥料の一つでありつつ、土壌改良の役目もあります。また堆肥には植物性と動物性の2つに分かれており、特に家庭菜園をする方には植物性のものが強い臭いもなくおすすめです。
◉植物性堆肥
・腐葉土
広葉樹の落葉を発酵させた堆肥。土壌をふかふかにし排水性、保水性に優れ、肥沃な土壌もつくれます。
・バーク堆肥
無数の小さな穴がある樹皮でできた堆肥。通気性、保水性、排水性のある堆肥です。
・もみ殻堆肥
玄米のからでできた堆肥。土壌の質を選ばず、馴染みやすく、保水性の優れた土壌をつくりやすいです。
肥料のタイミング?ガーデニング初心者でも覚えるべきこと
植物の肥料を与えるタイミングは、植物たちの生長が活発になるころの4月からです。ですが夏場の猛暑日が続くような時期や秋が終わるころには、肥料を与える必要がなくなります。もちろん植物の種類や育てる環境で異なるので注意してくださいね!
元肥・追肥・寒肥・お礼肥
肥料を与えるときにはそれぞれタイミングによって呼び名があります。
・元肥(もとごえ)
植物を植え付ける前に、あらかじめ土と肥料を混ぜておくこと。緩効性タイプの肥料を使ってゆっくりと効果が現れるようにしときます。
・追肥(ついひ)
元肥の効果はいつまでも続きません。そこで肥料を足してあげ、このことを追肥といいます。
・寒肥(かんごえ)
12月から2月の冬の時期は、多くの植物が休眠期に入りますが、土壌の中は、肥料を吸収しやすい状態です。冬に肥料を与えることを寒肥といいます。
・お礼肥(おれいひ)
花が咲いたり、実がついたりするには、多くのエネルギーが必要です。花や実のあとに、肥料を与えて元気づけてあげことをお礼肥といいます。
ガーデニング初心者におすすめしたい肥料のやり方
どの肥料が植物を育てるのにおすすめ?
肥料は育てる植物によって、種類が変わるほか、与えるタイミングも異なります。
野菜や草花など、花や実を楽しむものや収穫する植物は、リン酸やカリウムの配合が多いものを選びます。観葉植物やカラーリーフなど、葉を楽しむ植物は、窒素成分が多く含まれている肥料を選ぶのが良いです。
園芸店やホームセンターなど市販で売っている培養土は、草花、野菜、観葉植物などとそれぞれに合わせた配合で作られているので、特にガーデニング初心者の方には簡単でおすすめ。また、水やりをするときは、液体肥料に切り替えて水を与えることもおすすめですよ。
おわりに
肥料にはさまざまな種類があり、育てる植物によって大きく異なります。ガーデニング初心者の方は、肥料の成分表をよくチェックしてから購入しましょう。草花用の肥料が観葉植物でも効き目があるとは限りません。枯れることはありませんが、元気よく育つことには繋がりませんよ!ぜひ肥料を今一度チェックして、大事な植物たちを育ててくださいね。