お使いのOS・ブラウザでは、本サイトを適切に閲覧できない可能性があります。最新のブラウザをご利用ください。
家事
津久井 玲子

納豆のカロリーはどのくらい?1日の適正量も解説【管理栄養士監修】

納豆といえば健康によい食品として有名ですが、体のためとはいえカロリーが気になるものです。また、納豆の健康効果はどこからくるのかも気になります。そこで納豆のカロリーや栄養素、健康効果のほかに、1日の適正量まで調べてみました。

納豆のカロリー量を知りたい!

納豆は健康食品として何度かブームも起こしている食品です。それだけに「毎日1パックは食べるのを心掛けている」という人も多いことでしょう。

 

しかし、食品となると気になるのはそのカロリーです。納豆にはどのくらいのカロリーが含まれているのでしょうか?また健康によいとはいっても、どのような栄養素を持ち、どのような効果があるのかも気になります。

 

そこでカロリーはもちろん、納豆の気になるあれこれについて詳しく調べてみました。これまで納豆を何となく食べていたという人も、この記事を見れば納豆が健康食品といわれる理由がわかるはずです。納豆の1日の適正量も調べてあるので、最後まで是非お読みください!

 

 

納豆のカロリーと糖質量

納豆が食品である以上、一番気になるのはそのカロリーでしょう。納豆のカロリーを日本食品標準成分表2020年版(八訂)で調べてみると、一般的な納豆である糸引き納豆の100gあたりのカロリーは、190kcalとなっています。

 

このカロリー量は、コンビニに並んでいるおにぎり1個とほぼ同じといわれるカロリー量なので、意外と高カロリーと感じるかもしれません。しかし、納豆1パックあたりは40~45gです。そのため納豆1パックあたりのおおよその目安としては、80kcal前後となります。

 

ではひきわり納豆になるとカロリーは変わるのでしょうか?同じく日本食品標準成分表2020年版(八訂)で調べると、カロリー量は100gあたり185kcalと糸引き納豆よりもやや低めになります。原料の大豆の皮がないためか、食物繊維量もやや低めです。

 

1パックあたりのカロリー量もやや低めにはなりますが、誤差の範囲内といってよいでしょう。また、メーカーや商品によってもカロリー量は変わるため、あくまで目安として覚えておいてください。

 

納豆の糖質量

納豆のカロリーと同様に気になるのが、含まれている糖質の量ではないでしょうか?一般的に糖質量とは、炭水化物から食物繊維の量を引いたものをいいます。この場合の納豆の糖質量は、それぞれ100gあたりで糸引き納豆が5.4g、ひきわり納豆が4.6gです。

 

糖質量とは厳密には異なりますが、よりエネルギー換算しやすいものとして利用可能炭水化物(単糖当量)があります。この利用可能炭水化物(単糖当量)で納豆を見ると、それぞれ100gあたりで糸引き納豆が0.3g、ひきわり納豆が0.2gとなり、非常に低糖質な食べ物であることがわかるのです。

 

この利用可能炭水化物とは、人の消化酵素で消化できる炭水化物の総称になります。該当する炭水化物は、デンプンやブドウ糖、果糖、ガラクトース、ショ糖、麦芽糖、乳糖、トレハロースなどです。

 

これらの多くは通常の環境下では分子の状態で存在しています。そのため、例えばデンプン1gを体内で最小単位のブドウ糖に分解した場合、加水分解する過程でブドウ糖が約1.1gできてしまうのです。つまり消化して分子を単子(単糖)にするとエネルギーが増えると考えられます。

 

このことから糖質量とは別に、よりエネルギー換算に重点を置いて炭水化物を係数化したものが、利用可能炭水化物(単糖当量)なのです。このことから、納豆はエネルギーとして利用できる炭水化物の量が極めて低い食品といえます。

 

 

納豆の栄養

納豆には発酵食品ならではの栄養が豊富に含まれています。食品というとカロリーに目がいきがちですが、ちゃんと栄養素にも目を向けてみましょう。

 

ナットウキナーゼ

納豆に含まれている酵素の1つで、見たとおりに納豆がその名前の由来になっています。大豆が納豆菌で発酵していくその過程においてできあがる、たんぱく質の一種です。血管内にできてしまった血栓を溶かす効果があるといわれています。

 

ナットウキナーゼは血栓の主成分とされているフィブリンに直接働きかけるだけでなく、もともと人が持っている血栓溶解酵素のもととなるプロウロキナーゼも活性化させるのです。さらに別の血栓溶解酵素のプラスミンの生産も活性化させるなど、多角的に血栓に働きかけるといわれています。

 

ビタミンK2

ビタミンKの中でも微生物が作り出すもので、血液の凝固を促進したり、逆に血液の凝固を抑制したりするとされる栄養素です。ビタミンKが不足すると、けがをした時になかなか血が止まらないなど、生命の維持にかかわりかねない重要な栄養素といえます。

 

ポリアミン

ポリアミンは体内でも合成できるアミノ酸の一種です。体内で炎症が起こるのを抑制する働きがあるといわれていますが、加齢で体内で合成できる量は減っていきます。納豆はポリアミンが大量に含まれているので、補給するのにピッタリです。

 

イソフラボン

大豆に含まれている女性ホルモンに似た成分として有名です。女性ホルモンの中でもエストロゲンというものに近く、体への作用も似ています。納豆は納豆菌の働きで吸収率もよいため、ほかの大豆製品よりもイソフラボンを多く吸収できるのが特徴です。

 

サポニン

サポニンは大豆の苦みや渋みを構成する成分で、大豆を茹でると泡になって出てくる成分です。高い抗酸化作用があるとされ、アンチエイジングはもちろん、活性酸素が減ることで身体をサビから守ります。

 

ポリグルタミン酸

納豆のネバネバ成分であるアミノ酸で、大腸で食物繊維と似た働きをするといわれている成分です。腸内に残っている老廃物などを体外に排出して、糖質の吸収抑制効果もあるといわれています。

 

レシチン

レシチンはリン脂質の一種で、脳の神経伝達物質の1つであるアセチルコリンの材料になるとされる成分です。アセチルコリンは記憶力にかかわる物質と考えられているため、納豆でレシチンを補うとよいでしょう。

 

また、血中のコレステロールが血管の壁にこびりつくのを予防し、肝臓のコレステロールの合成能力を調整するといわれています。このため、肝機能の向上や血管障害の予防が働きかける成分です。

 

 

納豆の効能

納豆は豊富な栄養成分が含まれているだけでなく、納豆ならではの成分も豊富です。そのためさまざまな効能が期待できる食品といえます。納豆を食べることで期待できる効能についてまとめました。

 

免疫力アップ

納豆は納豆菌を使って大豆を発酵させてできる食品です。この納豆菌はさまざまな栄養素を生み出すだけでなく、納豆菌自体にも免疫力を高める効果が期待されています。

 

納豆菌が生み出すナットウキナーゼにも、高い抗菌作用や腸内の善玉菌を増やす効果があるといわれているのです。このように腸内環境を整えてくれることから、免疫アップが期待できます。さらに大豆由来のイソフラボンなども豊富なので、健康維持にはピッタリです。

 

血液サラサラ効果

納豆ならではの成分であるナットウキナーゼには、先にもご紹介したように血栓を溶かす効果が期待できます。さらに血栓溶解酵素を活性化させたり、体内で生成するのを活性化させたりと、多方面から血栓を予防してくれるといわれているのです。

 

アンチエイジング効果

納豆に含まれるポリアミンには、体の新陳代謝を活発にする働きがあるといわれています。また、ビタミンK2には、骨粗しょう症を予防する効果が期待できると考えられているのです。

 

このほかにも、大豆由来の女性ホルモンと似た働きをすると考えられているイソフラボンや、高い抗酸化作用を持つと考えられることから、活性酸素を抑える効果が期待できるサポニンなど、納豆には若くありたい人にピッタリな栄養素が豊富に含まれています。

 

便秘予防効果

納豆でも特に糸引き納豆には、水溶性だけでなく不溶性の食物繊維も豊富に含まれています。食物繊維といえば腸内で善玉菌の餌になったり、溜まった老廃物を吸着して体外に排出したりしてくれる重要な成分です。納豆は食物繊維を手軽に摂るのに適した食品といえます。

 

さらに先にもご紹介したポリグルタミン酸によって、腸内の老廃物を排出する効果も期待できることから、納豆は便秘予防効果を期待できる食品としてもおすすめです。

 

 

納豆の1日の適正量

納豆は一日に何パックまで食べても問題ないのでしょうか?カロリーや含まれている栄養素量から算出すると、1日1パックが適量とされるのが一般的です。納豆を毎食食べると、含まれている栄養素によっては過剰摂取になってしまう危険性もあります。

 

例えば納豆に含まれているセレンという栄養素で見てみましょう。納豆100gあたりに16μg(マイクログラム)含まれているので、納豆1パック40~45gとして計算すると6.4~7.2μg含まれている計算です。毎食納豆を食べると19.2~21.6μgとなります。

 

セレンの1日の推奨量は、18歳以上の男性で30μg、15歳以上の女性で25μgなので安全圏内ではありますが、セレンを含んでいるのは納豆だけではありません。女性は特に必要量が少ないため、過剰摂取になりやすいのです。

 

セレンの過剰摂取が続くと脱毛や下痢、疲労感、肌荒れなどの皮膚症状が出るといわれ、明らかに体によくないことがわかります。

 

また、イソフラボンの過剰摂取もさまざまな危険をはらんでいるのです。厚生労働省が2000年に「21世紀における国民健康づくり運動」を公表しましたが、ここで推奨された大豆の1日の摂取量はわずか100g程度。意外と少ないことがわかります。

 

内閣府の食品安全委員会でも、イソフラボンの1日の摂取上限は70~75mg、特定保健用食品として上乗せするなら1日30mgまでとなっているのです。

 

では納豆100gにどのくらいのイソフラボンが含まれているかというと、厚生労働省が2品目について調査したところ、平均値で73.5mg含まれていたといいます。多いものでは80mgを超えていたとのことなので、注意が必要なのは間違いありません。

 

納豆を適量食べることは間違いなく健康によいことですが、それはあくまで適量を守って食べた場合にいえること。なんでも食べすぎはよくないので、1日1パックを心掛けてください。

 

 

おわりに

納豆は意外とカロリーの高い食品です。しかし一方で、低糖質な食品でもあります。栄養価も高く、さまざまな健康効果が期待できる点も見逃せません。日本人にとってなじみの深い食品でもある納豆を、これからも食べ続けていってください。