- 柴﨑 光一
- リゾートガーデンスタイル専属の庭師×Webコンテンツクリエイター。
カナダのトロントで造園士を、その後日本で花屋のバイヤー・鉢物の管理・アドバイザーを経験した後、ヤシの木を主体とするリゾート・ドライガーデンの造園士に。
現在は、リゾートガーデンスタイルの社会福祉施設・DOG CAFEの専属庭師に加え、畑の開拓・管理、SNSも兼務。
植物を専門とするWebコンテンツクリエイター、ガーデニング商品の監修者としても活躍中。
幼いころから生き物やもの作りが大好きで、庭木・草花・観葉植物を使ったガーデニングの世界を開拓しています。
日本とカナダでの造園・庭師の経験に加え、趣味の植物やコケの収集、植物アート作りを生かして、 みなさんに植物や庭の魅力をお届けします!
知らないと損!ガーデニングでよく見る害虫と益虫の種類を解説
ガーデニングしていると現れる虫たち。見た目の悪さや不快さから、すぐに殺虫したくなるのはよくわかります。しかしその虫は本当に悪さをする種類ですか?もしかしたら、植物にとっては利益のある虫かも。今回はガーデニングでよく見る虫について解説します!
虫の種類を知ってから、殺虫を行うこと
害虫の種類によっては病気をもたらすものも
ガーデニングによってくる害虫には、本当にうんざりしますよね。特によく目で観察しないと見つけにくい小さな害虫たちは、知らず知らず大事な野菜や観葉植物、庭木などを蝕んでいき、そのまま弱らしてしまうことが多々あります。
害虫によっては伝染病を媒介するものもいます。葉を吸汁するような害虫は、吸汁している際に、ウイルスに感染してしまうことや、排泄物によって病気にかかりやすくなることがあるのです。そいった点から、害虫には気をつけて、ガーデニングをしなければなりません。
ガーデニングに発生する害虫は2種類のタイプ
植物には、草花や野菜、観葉植物、庭木などとさまざまに分類されますが、どの植物にも害虫は現れます。主に葉や花、茎や幹、さらには土壌の中の根を狙うものまでと広く発生する厄介な虫たちです。
植物に現れる害虫には主に2種類のタイプ。植物の葉や蕾、幹などから溶液を吸う吸汁性と植物の株の一部を食べる食害性に分けられます。どちらも放っておくと、植物は生長不良を起こし、最悪枯死する可能性も。
どの種類の植物にもハダニ、アブラムシ、カイガラムシの3種類が発生する傾向があるでしょう。3種はあくまでその虫たちの総称であり、国内だけで確認されているものだけでも何百種類を超えます。
また3種に共通する点は吸汁性の害虫であり、養分を吸っている間に病気やウイルスを媒介させることもあるので注意。見つけ次第すぐに殺虫や摘除しましょう。
ほかの吸汁性のものは、コナジラミ、カメムシ、ゾウムシなど多くが挙げられます。基本的にはどの植物にも発生しやすく、小さいものから大きいものまで存在します。
食害性の害虫は、蝶や蛾の幼虫のアオムシや毛虫、カタツムリやナメクジ、ハムシやコガネムシなどといった害虫が多く、基本的には目に見えるような大きなサイズの害虫が特徴的で、中には根を食害する害虫もいます。
特に大型のバッタなども葉を食害し、食欲も旺盛で植物の生長には大きなダメージ。また益虫とされるテントウムシ似たテントウムシダマシにも注意が必要ですよ。テントウムシに似てるから害虫を退治してくれるだろうと思って放置していると食い荒らされます!
ガーデニングで現れる特に気を付けたい害虫3種類
ガーデニングでよく現れる害虫の対策は、まず特徴や種類を把握して、それから殺虫剤や防虫対策を行うことです。ここで紹介する3種類には特に注意。育てる植物によって出現する虫は異なるので、よく注意深く観察してみましょう。
1.ハダニ
植物の溶液を吸う吸汁性の害虫。繁殖力が旺盛で、雌のみで産卵が可能です。1日で数十個、一生で数千個を生みます。糸を使って風に乗って移動し、室内にも発生。
野菜にはナミハダニ、果実にはリンゴハダニ、ミカンハダニ、特にガーデニングではアカダニに注意が必要です。大量に発生すると花付きが悪くなったり、葉や花の色あせなど生育不良が起きるほか、最悪枯死の原因にも。
2.アブラムシ
暖かい時期になると羽を持った成虫が風に乗って、植物に着地し一気に繁殖します。植物の葉や茎を吸汁し、ほぼそこから動くことがありません。アリと共生していることで、天敵から身を守り、さらに繁殖力が強くなることも。
日本だけでも700種類ほどが確認されており、雌単体で繁殖することも可能です。また、吸汁をされていると、ウイルスやすす病を媒介し、間接的に植物を枯らすので注意しましょう。
3.カイガラムシ
甲羅のような硬い殻を背負っており、捕食されにくい害虫です。種類によっては植物を吸汁し始めると、脚が退化しその場から離れず、一生を終えるものも存在します。
国内では400種類以上が確認されており、形態や特徴もさまざま。吸汁され続けられると、ウイルスやすす病の媒介させます。殻に覆われているので、殺虫剤が効きにくく、専用のものを使うか、ピンセットで一つ一つ駆除する必要がある厄介な害虫。
環境づくりとケアが大事!種類多くある害虫から植物を守る
防虫ネットやシート、防虫剤などで予めの予防をとることは大事であり、すぐに思いつくことだと思います。しかし、そもそも植物を設置する場所が、害虫被害に遭わない場所として的確かどうか判断することも大事ですよ。
植物を育てる場所が乾燥や多湿になりがちだと害虫は多く発生します。その原因となることが、風通しの悪さや西日が強く当たり過ぎる、機械の風が常に当たることが挙げられます。
環境が悪いことで害虫は発生するので、できるだけそういった環境に置かない、作らないこと。定期的な掃除や摘芯、剪定、遮光、葉水などと日々のケアを一度確かめて行うと害虫被害も一段と減りますよ。
害虫を食べてくれる益虫の種類
ガーデニングをしているとよく現れる虫たちですが、中には害虫を食べてくれる益虫も存在します。虫全般が苦手な人にとっては益虫も不快害虫のように見えますが、そこは大事な植物のために耐えて、殺虫しなようにそっとしてあげましょう。
先に記述したようにテントウムシはアブラムシを食べてくれる益虫ですが、ほかにもアリジゴクや水中生物の成虫であるカゲロウもアブラムシを食べてくれます。大型な昆虫だとカマキリやトンボなどがいて、知っている方も多いはず。
毛嫌いされがちなクモやハチ、ミミズなどは害虫や微生物を捕食したり、土壌をよくしたりする立派な益虫ですよ。殺さずに見守ってあげてくださいね。
おわりに
ガーニングの虫と一言ではいっても、植物にとっては悪い虫なのか良い虫なのかは言い切れません。そのためしっかりとした観察と知識によって大事な植物たちは守れます。また虫だけではなく、鳥やカエル、トカゲなども害虫を食べてくれるものがいるので、過保護すぎずに植物を見守ることも大事なのかもしれませんね。人間に危害を加えるような害虫もいるので、駆除する際は防具をして慎重に行ってくださいね!