- 井上 佑佳
余った生クリームはどう使う?おいしく消費するおすすめの活用法
お菓子作りなどで、どうしても余りがちな生クリーム。賞味期限も短く、開封後は2日ほどで使い切りたいものです。しかし他の使い道がなかなか思いつかないですよね。ここでは生クリームの特徴や余った生クリームの活用法、保存方法について紹介します。
生クリームの特徴
ひとくちに『生クリーム』といっても、パッケージには「純生」「ホイップ」などと異なる表記で売られています。なぜ違う表現かというと、食品衛生法にもとづく『乳及び乳製品の成分規格等に関する省令(以下、乳等省令)』で細かく規定されているためです。
生クリームの条件は「生乳や牛乳などの動物性脂肪が原料」「乳脂肪分18%以上」。パッケージの種類別名称には『クリーム』と書かれています。やや黄みがかった色で、風味やコクが豊潤。泡立てると水分と乳脂肪分の分離がはやく、固いホイップクリーム状になるまでそれほど時間を要しません。泡立て後はぼそぼそとした食感となる特徴もあります。
動物性脂肪以外に植物性脂肪や安定剤がくわえられている商品は、主に『ホイップ』『フレッシュ』です。乳等省令にて『クリーム』と記載はできず、種類別名称には「乳等を主要原料とする食品」と記載。『ホイップ』や『フレッシュ』は牛乳独特のにおいの少なさや色の白さ、さっぱりとした風味が特徴。日持ちもするため、生クリームより好む方もいます。
脂肪分の数値によって生クリームを使い分けると、食品に適した味わいとなります。
【18%以上30%未満は飲み物に】濃厚すぎず、飲み物のおいしさを引き立てる
【35%以上40%未満はプリンやムースなど】あっさりとした口当たり
【40%以上はデコレーションやしっかりした味の調理に】濃厚なコクがでる
生クリームはとてもデリケートな食品です。
温度変化にくわえて振動にも弱く、扱いや保存には気を遣わなければなりません。
さらに賞味期限内であっても開封後は空気に触れて雑菌が入り、短期間で劣化が進みます。
『異臭』『苦味や酸味がある』『変色』などといった状態であれば、すぐにでも処分しましょう。
※ホイップクリームとは、原料関係なく泡立てたものを表します。『ホイップ』とは別の意味なので注意が必要です。
余った生クリームを調理やスイーツに使う活用法
余ってしまった生クリームは、できればその日~2日以内に使い切りたいですよね。ここでは、使い切れなかった生クリームはどのようなメニューに利用できるか、その活用法を紹介します。
余った生クリームを調理に使う
料理で使う牛乳の分量の一部を生クリームに変更すると、濃厚な味わいを楽しめます。いつもとはひと味違う、まろやかな舌触りに変化するでしょう。脂肪分が高めの生クリームであればしっかりとした料理の味にも負けず、加熱しても分離しにくいので適しています。
調理例
- シチュー
- ホワイトソース
- パスタソース
- クリームコロッケ
- オムレツ
煮込み料理などにくわえればコク深い風味に。隠し味にも最適です。上から生クリームをとろりと施すことで、見た目のアクセントとしての活用法もありますね。おもてなし料理にもおすすめ。
調理例
- カレー
- ビーフシチュー
- トマト煮込み
余った生クリームをスイーツに使う
少量の生クリームでもスイーツが作れます。
準備物品がすくないメニューならば、手軽にもう一品楽しめますね。
生クリームが100gほど余っているときは、ぜひ試してみてください。
調理例
- アイスクリーム
- プリン
- パンナコッタ
余った生クリームでバターができる
余った液状の生クリームを蓋付きの容器にいれて振るだけで、バターが作れるとご存知でしょうか?
生クリームは強い振動によって脂肪のうすい膜が破れ、脂肪同士が繋がります。やがてクリーム内は水分と脂肪にわかれて バターとなるのです。手軽に作れるため、お子さんの食育にも役立つのではないでしょうか。
バターを作る際には脂肪分40%以上の生クリームを使用します。脂肪分が40%以下、植物性脂肪であるホイップやフレッシュではバターにならないので注意。使用する容器はあらかじめ清潔にし、冷やしてておきましょう。
また、分離して出た水分はバターミルクと呼ばれます。バターに脂肪分をもっていかれるため低脂肪。さっぱりとした風味なので、砂糖などで甘みをくわえると飲みやすくなるでしょう。
冷凍保存した生クリームの活用法
生クリームの賞味期限は短いものの、冷凍保存によりかなり長持ちするのです。液状でも泡立てた状態でも、冷凍庫で3週間ほど日持ちします。
泡立てたあとの生クリームを冷凍保存する方法
サランラップ上にスプーン1杯ほどのホイップクリームを乗せて、ひとつずつ巾着型に包みます。一度冷凍し、完全に凍ったらフリーザーパックなどに入れ替えて冷凍保管しましょう。常温で解凍すると雑菌が繁殖して食中毒になる恐れがあります。冷蔵庫でゆっくり溶かしてくださいね。
活用例
- 凍ったまま温かい飲み物に浮かべる
- 30分ほど解凍して、チーズケーキなどの生地に練り込む
液状の生クリームを冷凍保存する方法
フリーザーパックやポリ袋に液状の生クリームを入れ、そのまま冷凍します。量が少ない場合はシリコントレーや製氷皿を利用しましょう。液状で冷凍する際の注意点は、加熱調理のみの用途に限られます。なぜなら解凍後の生クリームは成分が分離してしまうので、泡立てが不可であるうえに食感や風味落ちが否めないためです。
活用例
- 凍ったままポタージュやシチューの仕上げに入れる
- 冷蔵庫で半解凍し、プリンや生チョコの材料にくわえる
おわりに
生クリームを使うと料理が味わい深く、優雅な気分になりますよね。見た目も豪華に変身し、食卓に彩りを与えてくれます。生クリームがもし余っても今回ご紹介した活用法でおいしく使い切れるので、ぜひお試しください。