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家事
津久井 玲子

今さら人に聞けない!調味料の基本「さしすせそ」の基礎知識!

調味料の「さしすせそ」といえば和食の味付けの基本中の基本ですが、最近では知らない人も増えていると言われています。しかしこの「さしすせそ」の順番は、とても理にかなっているというのです。調味料の「さしすせそ」の基礎知識をご紹介します!

調味料の「さしすせそ」ってなんだっけ?

調味料でよく言われる「さしすせそ」は、和食の基本として伝えられてきたことです。しかしこの「さしすせそ」の内容について、きちんと知っている方は減っているといいます。核家族化や食の欧米化で、別の調味料と間違えて覚えている方も多いようです。

 

そこで本記事では和食の調味料の基本である、この「さしすせそ」をわかりやすく解説します。美味しい和食を作りたいという方は必見です!

 

 

調味料の「さしすせそ」って?

和食の味の決め手とまで言われる調味料の「さしすせそ」が何なのか、まずはそこから確認してみましょう。

 

調味料の「さ」

「さしすせそ」の最初の文字である「さ」は、「砂糖」を表しています。甘味調味料としてほかにみりんを加えることもあることから、砂糖だけでなく酒も「さ」の1つとして扱うこともあるので、覚えておくとよいでしょう。

 

調味料の「し」

「し」で始まる和食の調味料ということで、しょうゆを思い浮かべた方もいるかもしれません。しかし「さしすせそ」の「し」は「塩」が正解です。正しい答えを覚えておきましょう。

 

調味料の「す」

「さしすせそ」の「す」は、そのまま「酢」を意味します。料理の味加減を指す言葉に「塩梅」がありますが、この言葉に使われている「梅」は元々「梅酢」を意味していました。

 

この「塩梅」という言葉は漢語で、塩と梅酢は使う量を間違えると味のバランスは悪くなるものの、程よい加減で調味すればよい味になるという意味だったのです。それだけ塩と酢は、お互いの量のバランスが大切なことがわかります。

 

調味料の「せ」

「さしすせそ」の「せ」はよく間違えられますが、「しょうゆ」を指しています。なぜ名前に「せ」がないしょうゆが入っているのかというと、かつてしょうゆは広く「せいゆ・せうゆ」と表記されていたためです。成り立ちと一緒に覚えておくとよいでしょう。

 

調味料の「そ」

「さしすせそ」最後の1つには「味噌」が入ります。味噌は産地や種類によって塩分濃度が異なるため、使う時には注意が必要です。健康志向の減塩味噌なども広く流通していますが、使用量によっては塩分濃度が高くなってしまうため、塩分量を計算して使いましょう。

 

 

調味料の「さしすせそ」、それぞれの特徴は?

「さしすせそ」のそれぞれには固有の特徴があります。特徴や料理で使う上での役割を知っておくことで、より上手に使いこなすことができるのです。ではそれぞれの調味料の特徴と役割とはどのようなものなのでしょうか?

 

砂糖

単に甘味を足すだけではなく、水と相性がよいという特徴を持った調味料です。そのため水分を抱え込ませて、食材を柔らかくするためにも入れます。加熱することで食材を美しい色合いに仕上げるだけでなく、ツヤを出す効果もある調味料です。

 

単に塩味を付けるために使われるだけでなく、どのような味にするかの決め手の調味料でもあります。使用量によってほかの調味料の短所を補うだけでなく、旨味の素にもなれるのです。甘味に塩をわずかに加えるのは甘味を引き立たせるためであり、酸味を抑えるために酢の物に加えることもあります。

 

また、雑菌の繁殖を防ぐ効果もあることから、保存食づくりにも欠かせません。ただし海産物を塩漬けにする場合には、素材を一度、真水で丁寧に水洗いすることを忘れないようにしましょう。

 

酢酸を主成分とする酢は、果物や穀物を発酵させて作られた調味料です。風味付けや味の方向性に変化を持たせるためにも使われますが、このほかにも食欲増進や食材の臭みを抑え、防腐・殺菌などで食品の保存性を高めるなど、風味付け以外の効果も持ちます。

 

しょうゆ

中国渡来の醤(ひしお)が起源といわれる調味料で、日本で発展した和風調味料の代表格です。塩分のほかに甘味や苦味、旨味、酸味などさまざまな味を含んでいます。さらに色付けや香り付けなどにも使える優れた調味料です。

 

しょうゆを使う際に注意したいのは塩分量の見極め方といえます。産地や商品によっても差があり、薄口しょうゆは色が薄いだけで塩分は濃いなど、使い分けも重要です。一般的なしょうゆの塩分量は、塩と比較した場合1/6ほどといわれています。

 

味噌

しょうゆと同じく元々は中国から伝わった調味料です。味噌の種類にもよりますが、加熱によって香りが飛びやすい欠点があります。味噌の香りを楽しみたい時には、90℃くらいが一番強いと言われているので、上手な温度管理をしたいものです。

 

 

調味料の「さしすせそ」の基本的な使い方

「さしすせそ」を表すそれぞれの調味料が持つ特徴を知ったら、今度は基本的な使い方も学んでおきましょう。各調味料ごとにご紹介します。

 

砂糖

料理によっては蜜煮のように砂糖をたくさん使う場合があります。この場合砂糖を一度に全て入れてしまうと、食材の水分が一気に抜けてしまって硬くなってしまうことがあるのです。そのため砂糖を多く使う料理の場合は、ほかの調味料を入れる前に、何回かに分けて加えるようにしましょう。

 

塩は使いどころや使用量によって、料理の出来栄えを大きく作用する調味料です。特に食材の旨味を引き出すための下ごしらえでは、塩を使いこなせるかどうかが味の決め手となるといっても過言ではありません。

 

素材の臭み消しや余分な水分を抜くための振り塩や、水に塩を1~4%ほど溶かして作った塩水に野菜や魚を浸してしめる立て塩、魚や貝類を和紙で覆ってから塩を振って水で湿らせ、ほんのわずかに塩味を付ける紙塩など、塩は繊細な使い方が求められる調味料なのです。

 

酢は食材のよさを活かすために、いかにきつく感じさせないように使うかが重要です。味噌や砂糖といった別の調味料などを混ぜるほか、酢の量を減らして柑橘類を使う方法もあります。先に1度煮立てることで、酸味を抑えて風味を変化させるのも1つの技法です。

 

しょうゆ

しょうゆの風味を活かすためには、長時間の加熱を避けることが大切です。しかし煮物などの煮込み料理の場合には、長時間の加熱が欠かせないこともあります。そんなときは煮込みの段階では規定量よりも少なめの醤油を使い、仕上げに残りのしょうゆを加えることで風味付けをするとよいでしょう。

 

ただししょうゆを使った料理の中には、あえてしょうゆを焼き付けて、焦がししょうゆならではの風味を活かしたりするものもあります。

 

味噌

味噌は加熱すると味噌本来の風味が損なわれるため、味噌汁を作るときには火を消してから仕上げに加えるほど繊細な調味料です。焦がしてしまうと苦味が出て、香りも飛んでしまいます。使いどころを考えながら入れるようにしましょう。

 

また味噌は、米味噌や豆味噌、麦味噌など種類が豊富なことから、異なる種類の味噌を混ぜることで自分だけの味も作れる特別な調味料です。独自の味を追及してみるのもよいでしょう。

 

 

調味料の「さしすせそ」の並び順の意味

調味料の名を「さしすせそ」に当てはめたのは、何も調味料を覚えるためだけではありません。和食において美味しい料理を作るために、使う順番を覚えるためでもあるのです。では「さしすせそ」の決められた順番で入れていく理由とは何なのでしょうか?

 

砂糖を最初に入れなければならない理由は、分子が大きく素材に浸み込みにくいためです。さらに砂糖には食材を柔らかくする効果があるため、最初に入れるのがよいとされました。

 

一方で塩は分子の大きさが砂糖の1/6しかなく、さらに素材の水分を抜いてしめる効果があります。そのため塩で先に素材をしめてしまうと、砂糖が浸み込めなくなってしまうのです。そのため塩は砂糖の後に使いましょう。

 

そして酢・しょうゆ・味噌は発酵調味料です。料理の香り付けや風味を際立たせるために使用します。そして加熱しすぎればその肝心の風味が飛んでしまう欠点があるため、仕上げに入れるのがよいとなったのです。発酵調味料は火を止めてから入れると覚えておくとよいでしょう。

 

「さしすせそ」の順番でなくても大丈夫?

調味料の「さしすせそ」の並び順には、決まっているだけの理由があることはご紹介した通りです。しかし実は調味料は必ずこの順番で入れなければいけないというわけではありません。

 

料理の種類によっては、砂糖より先に塩を入れてから加熱することもあります。つまり料理の内容や、欲しい味にあわせて調味料を入れていってよいのです。実際「さしすせそ」の順番から外れたレシピは存在します。あくまで基本として覚えておきましょう。

 

 

おわりに

調味料の「さしすせそ」は、日本で発展してきた調味料を使いこなすための知恵です。それぞれに意味があり、順番にもちゃんと知恵が活きています。調理をするときには料理の基本として常に意識しておきましょう。きっと美味しい料理ができあがるはずです!