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ガーデニング
河村ゆかり

秋を代表する花「キク(菊)」を満喫する方法5選

キクといえば、秋に咲く美しい花。そして「和」を感じさせる花としても知られます。さらにキクは眺めて楽しむ以外にも、「育てる」「食べる」「飲む」「お酒として楽しむ」など、さまざまな趣向が!

キクの姿を見れば「眼福」、キクの花を味わえば「口福」!

キクは、エディブルフラワー(食用できる花)です。食用や飲用にする場合には、ぜひ専用の「食用菊」を用いて。キクの酢の物、天ぷら、お茶、お酒などなど、季節を堪能する風流な食卓を楽しみましょう。

 

菊の楽しみ方1)育てる

ひと口にキク(キク科)といっても、さまざまな種類があります。よく菊人形や菊花展など見かける、大型の鑑賞菊は「大菊」。

「古典菊」は江戸時代までに日本で栽培されていた菊の数々で、「伊勢菊」「江戸菊」「肥後菊」などがあります。「小菊」は、盆栽のように仕立てる小型の菊。山野草として扱われる「野生菊」も。

ビギナーのガーデナーにおすすめなのは、「スプレーマム」です。スプレーマムは、「ポットマム」「洋菊」とも呼ばれ、園芸店でもよく見かけるポピュラーな品種。

1本の茎から枝分かれし、花をたくさんつけます。まん丸なポンポン咲きや八重咲きなど花姿はいろいろなので、お好みのものをどうぞ。ポットマムは難しい栽培テクニックは無用で、とても育てやすい菊です。

草丈は、10~50cmとコンパクトで管理しやすいサイズ。花は9~11月にかけて咲きます。耐寒性が強い多年草なので、冬越しさせて、翌年も花を咲かせることも可能です。

 

楽しみ方2)食べる

キクには、食用専門の品種もあります。山形県名産の「もってのほか」、新潟県でよく栽培される「かきのもと」、黄色い花弁が美しい「阿房宮(あぼうきゅう)」、紫色の花は「延命楽(えんめいらく)」などが有名です。

食用菊は鑑賞用のキクに比べて苦味が少なく、食用となる花びらが大きくなるよう改良されたものです。刺身のつまに添えられる小菊も、もちろん食用。そのまま食べると口直しになり、花びらを醤油に入れたり刺身に散らしたりして味わうのも一興です。

そのほか、ゆでて酢の物に、甘酢に漬けたものをご飯に混ぜればすし飯風に、衣をつけて天ぷらにと、さまざまな調理法を試してみて。

食用菊の味わいは独特で、病みつきになる方も多いのですが、美味しさの源となっているのが独特の食感。鑑賞用のキクの花びらは平らですが、食用菊の花びらは丸い筒状です。

そのため、かみしめると「シャキ!」とした感覚を楽しめるというわけです。食用菊の食感を存分に楽しむためには、花びらがしっかり丸まった状態のものを選ぶとよいでしょう。

なお、食用菊は冷凍保存も可能です。ただし、生の食用菊では冷凍できないので、さっとゆでてキッチンペーパーで水分をさっ取り除き、ラップフィルムに薄く広げて冷凍を。冷蔵庫で解凍すれば、手軽に調理できます。

 

楽しみ方3)飲む

台湾では、レストランなどで「菊花茶」が出されることが多いそう。無農薬で安心な小菊を育てれば、自家製の菊花茶を満喫することができます。おすすめの品種は「杭白菊」「黄山金菊」など。

菊花茶はふんわりと甘味を感じるお茶の味わいに加え、お湯の中できれいに花開いた菊が美しさ! 一人でゆっくり楽しむもよし、ゲストへのおもてなしの一杯にしても素敵です。

菊花茶にするためには、花が咲いたら摘み取り、数日天日干しにします。菊の花4~5輪を一人分の目安にし、ポットに入れてお湯を注ぎ、2分ほど蒸らします。

キクの花のみだけでなく、プーアール茶や緑茶などとブレンドしてもよいでしょう。

 

楽しみ方4)お酒とともに

旧暦の9月9日は、「重陽の節句」です。現在の10月中旬ごろにあたり、ちょうどキクの花の見ごろ。重陽の節句は、「観菊の宴」として平安時代初期に宮中行事になったのだとか。集いあってキクを観賞し、厄払いを行ったそうです。

観菊の宴につきものなのが、「菊酒」。菊は不老長寿の薬草とされていたため、菊酒が供されたのです。本格的な菊酒を作る場合には、まずキクの花びらを蒸すことから始めます。蒸したキクの花びらを器に入れて冷酒を注ぎ、一晩寝かせて酒にキクのよい香りをしっかりと移してからいただきます。

手軽に菊酒を楽しみたいのなら、冷酒を注いだ盃に、菊の花びらを数枚散らす方法も。これだけでも、充分に風流な秋の夜更けを堪能できますよ。

 

楽しみ方5)飾る

日本でキクというと、仏花の印象が強いのですが、キクは和・洋にかかわらずアレンジメントに欠かせない花材です。なにしろ花姿も花色も多種多様、さまざまな花の組み合わせに対応できます。

特にキクの花期は秋たけなわ、シックな色味の花材がそろうシーズンです。枯れ葉色に統一した秋のアレンジでは、アースカラーの菊がよくなじみます。

また、忘れてはいけないのがハロウィン! 菊には、ハロウィンカラーのひとつである黄色や、黒をほうふつとさせる暗褐色もあります。カボチャと組み合わせたり、コウモリや魔女、黒猫などの飾りを加えたりすれば、ハロウィンムードが盛り上がること必至です

そのほか、真っ白なポンポン菊を集めて、ウエディングパーティーのあしらいにするのもおすすめ。食用菊を中心にエディブルフラワーを花束にした「食べられるブーケ」も、プレゼントに好適です。

 

おわりに

いかがでしたか? キクというと仏壇やお墓のお供え花なんてイメージを払しょくさせて、キクの季節を存分に満喫してくださいね。