- 岩本恵美
- フリーランサー(編集・執筆、たまに翻訳)。
東京・下町生まれの下町育ち。Webメディアや新聞記事の編集・執筆を経て、フリーランサーに。経済からエンタメまで、気になったら何でも手を出す雑食系。ここ数年は盆踊りにハマっています。
今さら聞けない!デビットカードのメリット・デメリットとは?【プロ監修】
最近CMでもよく目にするデビットカード。クレジットカードのように買い物ができるようだけど、その違いがよくわからないという人も多いのでは? そこで、他の支払い方法と比較しながら、デビットカードのメリットとデメリットを専門家に教えてもらいました。
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岩田昭男
消費生活評論家。1952年生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。同大学院修士課程修了後、月刊誌記者などを経て独立。流通、情報通信、金融分野を中心に活動し、消費生活とクレジットカード研究をライフワークとしている。クレジットカード比較サイト「岩田昭男のカード道場」
デビットカードのメリット&デメリット
デビットカードのメリットとデメリットをクレジットカード、電子マネー、現金と比較して紹介します。
クレジットカードと比較
クレジットカードの支払いが利用時から1ヶ月以上先の「後払い」となるのに対し、デビットカードの支払いは「即時決済」。
デビットカードを使うと、すぐに銀行口座から利用額分の引き落としが行われます。
【デビットカードのメリット】
- 審査がいらない。銀行口座をつくれる人であれば持つことが可能
- 即時決済で家計を管理しやすい
- 使いすぎる心配がない
- ショッピング保険や盗難保険などの保険が付帯するカードもある
【デビットカードのデメリット】
- 口座残高以上の買い物はできない
- 高速道路料金や機内販売、一部のガソリンスタンドなどでは使用できない
- クレジットカードのようにさまざまな支払い方法がない(分割払いはできない)
- ポイント還元率がクレジットカードよりも低い
デビットカードは日々のこまごまとした買い物に使うと便利です。即時決済という性質上、家計簿アプリとの相性がいいので、デビットカードと家計簿アプリをつなぎこんでおけば、自動的に家計簿に計上できます。
一方、クレジットカードは手持ちがなくても支払い方法を選んで買い物ができ、ポイント還元率も高いので、高額利用に向いているといえます。
電子マネーと比較
デビットカードと電子マネーの最大の違いは、やはり決済のタイミング。
電子マネーはプリペイド型のものであれば前払い、ポストペイ型のものであれば後払いですが、デビットカードはその場ですぐに決済されます。
【デビットカードのメリット】
- ブランドデビット(VISAやJCBといった国際ブランドのデビットカード)であれば、海外でも利用できる
- セキュリティがしっかりしている
- 紛失時や盗難時の補償が充実している
【デビットカードのデメリット】
- 支払い時に暗証番号を入力する手間がかかる。ただし、一部のデビットカードでは、かざすだけで支払い可能な非接触型決済機能も搭載しているものもある。
- 紛失時の手続きが大変
現金と比較
現金感覚で使えるデビットカード。現金との大きな違いは、銀行口座自体をお財布代わりにできることです。もちろん、利用限度額を設定することも可能なので、不安な人は少額に設定しておくこともできます。
【デビットカードのメリット】
- ATM手数料やATMに並ぶ時間を節約できる
- ポイントがついたり、キャッシュバックなどのサービスある
- 紛失や盗難、不正利用時の保険がつく
- 海外でもそのまま使え、現地通貨に両替する必要がない
【デビットカードのデメリット】
- その場でのお金の貸し借りができない
- 高速道路や一部のガソリンスタンドなど、お店やサービスによっては使えない場合がある
コンビニやスーパーのレジがATM代わりに!?「キャッシュアウト」とは?
「キャッシュアウト」とは、コンビニやスーパーなどの小売店のレジでデビットカードを使って現金を引き出せるサービスです。欧米では普及しているものの、日本では2018年4月から一部のデビットカードで導入される予定。銀行のATMが近くになくても、近所のお店で簡単に現金の引き出しができます。
デビットカードはこんな人におすすめ
実は、いろいろと便利なデビットカード。こんな人におすすめです。
- 年齢制限や審査に通らないなどの理由でクレジットカードが作れない人
- クレジットカードを持ちたくない人
- 銀行口座の範囲内で、使いすぎないようにしたい人
デビットカードにまつわるQ&A
デビットカードに関する素朴な疑問にプロがお答えします。
Q.デビットカードは専業主婦や高校生でも作れるというメリットがあるって本当?
デビットカードは基本的に審査不要で、銀行口座を持つことができれば作れるカードです。
専業主婦でも銀行口座さえあれば作れるので、生活費専用口座を作って家計簿アプリと紐づければ、家計管理をデビットカードに任せてしまうこともできます。
また、デビットカードによって年齢の条件は異なりますが、ほとんどが15歳以上で作れるので、高校生でも持てます。
クレジットカードがなくても、スマホアプリの課金やネットショッピングなどを利用できて便利です。
Q.海外旅行で使うのはクレジットカードとデビットカード、どちらの方がメリットありますか?
VISAやJCBといった国際ブランドがついたデビットカードであれば、海外でもクレジットカードと同じようにそれぞれのブランドの加盟店で使えるので、使い勝手という意味ではほとんど変わりません。
両者の違いは決済の仕組みです。デビットカードは即時決済なので、カードを利用した当日の為替レートでいったん銀行口座から引き落としが行われます。
後日、店舗から売上データがカード会社に届いたタイミングで正式な決済が行われ、為替レートによる差額分が調整されます。
クレジットカードはそもそも後払いなので、こうした調整はありません。
また、付帯保険という点では、デビットカードの中にも旅行傷害保険がつくものもありますが、内容でいうとクレジットカードの方がやや充実している傾向にあります。
デビットカードが優れている点としては、現地通貨が必要というときに現地のATMでそのまま引き出しができるところ。クレジットカードとデビットカードの両方を持っていって、シーンに合わせて使い分けてみるのがいいでしょう。
Q.ポイント還元率はデビットカードの方がメリットあり?
ポイント還元率でいうと、やはりクレジットカードに軍配はあがります。
クレジットカードのポイント還元率の相場が0.5~1.0%であるのに対し、デビットカードのポイント還元率は0.2~0.5%ほど。
ただし、デビットカードでもカードによっては1.0%以上と、ポイント還元率がクレジットカードと遜色ないものもあります。
また、ポイントの他にも、キャッシュバックや航空会社のマイルが貯まるなど、近年ではデビットカードにもさまざまな特典がつくようになりました。
さらに、年会費は高くなりますが、デビットカードにもゴールドカードがあり、ポイント還元率がアップしたり、保険が手厚くなったりと一般カードよりも特典が充実しています。
Q.口座残高が足りなかったのですが、差額を現金で払えますか?
現状、現金との併用はできないはずです。
ただ、口座残高が足りない場合に銀行側で立て替えをしてくれるデビットカードもあります。
とはいえ、残高不足の状態でデビットカードを利用して何度も取引エラーが出ると、デビットカードが停止されてしまうこともあるので、口座残高を確認してから利用するようにした方がいいですね。
今後、ますます便利になっていきそうなデビットカード。銀行口座があれば持てるので、とりあえず1枚持ってみてはいかがでしょうか?