- 薮田朋子
- おしゃれライター、編集者。雑誌やWebメディアなどで“女子がかわいく生きること”をモットーにどんよくに活動中。若手有名人インタビューから恋愛記事までおてのもの。インテリアなら老若男女問わず幅広いジャンルで得意。
twitter:@tokyo_neet
9割がDIYでできている“ポートマンズカフェ”【カフェをDIYで作りましたVol.1】<前編>
東京・清澄白河に、なんとほぼDIYで作ったというカフェを発見しました。でも、お店を全てDIYで作るだなんて可能なのでしょうか? 内装作りについて伺ってきました!
目次
大通り沿いに出現する、周辺の雰囲気とは異なるクラシカルな外観
駅から徒歩約5分の場所にある、ライオンの置物が目印の「ポートマンズカフェ」。
中へ入ると、懐かしさをのある海外のアンティーク風な雰囲気を感じます。
ポートマンズカフェマネージャーの芦田幸代(あしだ ゆきよ)さんに、お店についてお話を伺いました。
異空間のカフェで若者からご年配の方まで集う異空間のカフェ
――古い家具と雑貨であふれていて、わくわくする空間ですね!
芦田さん「ありがとうございます。ポートマンズカフェのポートは“港”や“インターフェース”という意味を持ち、人やモノがつながる場所にしたいという思いを込めました。一歩カフェに入ると異空間が広がり、日常を忘れてくつろげるカフェにしたかったんです」
――インテリアは全てアンティークなんですか?
芦田さん「アンティークよりもヴィンテージが多めです。オーナーの両親が北海道で経営していたレストランから譲り受けた家具や食器もあるんですよ。家具はカフェの雰囲気に合わせるために塗り直して使っています」
芦田さん「ほかは、国内のアンティークショップで購入しました。イギリスのチェスターフィールドや、マルニ木工はどちらもヴィンテージ。家具はその場その場で、違う印象を楽しんでもらえたらいいなと思って、メーカーもブランドも全部バラバラなんです。色味やテイストを統一すれば、ちぐはぐにはならないですよ」
芦田さん「このキッズチェアはIKEAのものなんですけど、色を合わせることで違和感なく生活に溶け込ませられます。アンティークな内装なので、シックな色の家具を選ぶようにしています」
芦田さん「雑貨などは海外ネットオークションで、使えないメガネやアメコミのフィギュアなどを調達し、“大人のおもちゃ箱”のような雰囲気にしました」
ポートマンズカフェは9割がDIY!
――それではDIYした部分と、業者が施工した部分を教えてください!
芦田さん「オーナーの本職がグラフィックデザイナーなので、もともと平面のデザインをしていたんです。だから、立体のデザインができないのは悔しいので、時間がかかってもできるだけ自分たちで作ってみようって、1から手探りでDIYのカフェを作りました。お互い仕事をしながらということもあり、半年かけて地道に作り上げました」
1.壁も自分たちで立ち上げた
トイレ前の壁もその中のひとつ。
<BEFORE>
壁作りは垂直に立ち上げるのが難しかったそう。手前の角の壁がうまく垂直になっていなかったので、見栄えと安全面のために一度壊して作り直した。
板の周りにコンパネを貼り、飾り用のコンパネを貼って立体感を出している。
<AFTER>
こちらが現在のトイレ前の壁。
横から見るとこのような形に。何枚も板が重なっているのがわかる。
2.アンティークの白い扉を生かして、壁を作る
<BEFORE>
アンティークショップで見つけた白い扉。これをメインにするため、周りにホームセンターで購入した角材を立ち上げて壁にする。
壁にクラック剤を塗って古さを出す。
白いペンキをムラになるように塗る。ペンキを何度も重ねるのが風合いを出すコツ。仕上げは電気サンダーで研磨し傷をつける。
<AFTER>
柵をつけてディスプレイコーナーに。奥はスタッフルームに。
3.個室も床から作る
“VIP席”と呼ばれる半個室スペースも用意。よりゆっくり過ごしたい方におすすめ。
<BEFORE>
床は古材を使用。床に合わせて隣に壁を立ち上げた。
このように壁を作っていく。
<AFTER>
スタッフからお客さまが見えるように、レンガを積み上げて壁にして半個室のように作っている。
4.扉をリメイクし、看板をつける
入り口は2つ。こちらの入り口の看板は木で枠を取り、黒いペンキにゴールドのペンキを重ねて鉄っぽさを出した。
アルミ扉に油性のペンキを塗り重ね、古い鉄の扉のような風合いに。ガラスにはゴールドのペンを使って縁を描いている。
プロの技が必要な部分は、安全面を考えて業者に依頼
1.大きなアーチを支える壁
<BEFORE>
勝どきの『ザ・ペニーワイズ』で20年以上眠っていたアーチ。重厚なアーチを支える壁を作るのは、安全面から見ても難しかったので業者にオーダー。
<AFTER>
2.配管はむき出しにしてあえておしゃれに
もちろん配管関係も素人が手を入れられない部分。アンティーク風の内装なら、配管を見せても味になる。
3.配線の問題で外観のフレームもオーダー
建物の構造的な問題で、配管が集まるメインの入り口。枠組みだけ作ってもらい、色塗りや看板などの仕上げはオーナーが手がけた。
DIY知識がないまま、時間をかけて作り上げたカフェ。その苦労と手間は計り知れません。
しかし芦田さんは「DIYの魅力は、パッと見ではお金がかかっていそうだけど、実は手作りだった! というおもしろさと、お客さまとそういったお話しができる関係性になったころ、カフェの奥深さに、より愛着を持ってもらえるのかなと思います」と語ります。
カフェのギャップに惹かれる人と、まだそれを知らない人、カフェ巡りにきた若者、地元の方などが交差するポートマンズカフェで、今日も訪れた人たちは思い思いの癒しの時間を過ごされているのでしょう。
(施工過程の画像提供/ポートマンズカフェ)
住所:東京都江東区清澄2-9-14
TEL:03-3641-1050
営業時間:火~木11:00~19:00(L.O.18:30)
金・土11:00~20:00(L.O.19:30)
※2018年2月より営業時間が変更となりますのでご注意ください。
定休日:日曜、月曜、祝日
URL:http://portmans.jp
撮影:牛島康介