- 柴﨑 光一
- リゾートガーデンスタイル専属の庭師×Webコンテンツクリエイター。
カナダのトロントで造園士を、その後日本で花屋のバイヤー・鉢物の管理・アドバイザーを経験した後、ヤシの木を主体とするリゾート・ドライガーデンの造園士に。
現在は、リゾートガーデンスタイルの社会福祉施設・DOG CAFEの専属庭師に加え、畑の開拓・管理、SNSも兼務。
植物を専門とするWebコンテンツクリエイター、ガーデニング商品の監修者としても活躍中。
幼いころから生き物やもの作りが大好きで、庭木・草花・観葉植物を使ったガーデニングの世界を開拓しています。
日本とカナダでの造園・庭師の経験に加え、趣味の植物やコケの収集、植物アート作りを生かして、 みなさんに植物や庭の魅力をお届けします!
800人の園芸ファンに聞いた!家庭菜園の地植えにおすすめの野菜・失敗した野菜を徹底解説
庭のちょっとしたスペースで野菜や果樹を栽培し、新鮮・採れたてを味わえる家庭菜園。手軽に始められて、趣味として楽しんでいる方も多いと思います。しかし初心者だと、どの野菜が育てやすいのかわからないことも。そこで今回Pacomaでは、800人の園芸ファンに、家庭菜園にまつわるアンケート調査を行いました。
目次
800人の園芸ファンの園芸歴で最も多いのは5年以上!
まず、家庭菜園やガーデニングを趣味としてやっている方は、どれくらいの園芸歴なのか聞いてみました。
結果は、5年以上やっている方が約5割以上で、そのうち15年以上続けている方が約3割弱と、ベテランさんが多いことが判明。また、1年以上続けている方も多く、「コロナ禍をきっかけに始めた」という方も多そうですね。
比較的家庭菜園は始めやすく、多くの方が長きにわたって趣味として続けられるようです。
家庭菜園はどこで行う?地植えは畑or庭?
次に、「家庭菜園はどこで行っているか」という質問をしたところ、約半数以上の方が自宅の庭で栽培を楽しんでいることがわかりました。
家庭菜園は、畑などの広いスペースがなくても、庭にちょっとしたスペースがあれば、野菜や果樹を栽培でき、収穫が楽しめるということ。
さらに自宅の庭であれば、ドアを開けたすぐ先に菜園があり、時間をかけずにケアがいつでもできるというところが魅力的です。
地植えにおすすめの野菜ランキングBEST5
第1位 ミニトマト
第2位 さつまいも
第3位 トマト
第4位 ゴーヤ
第5位 ピーマン
800人の園芸ファンが選んだ地植えにおすすめの野菜は、「ミニトマト」が第1位に選ばれました!2位以下の野菜は、「さつまいも」「トマト」「ゴーヤ」「ピーマン」の順に続きます。なぜこれらの野菜がおすすめなのか、その理由について見てみましょう。
地植えのおすすめ野菜で栽培して良かった理由
それぞれおすすめの理由をピックアップしてみました。
第1位ミニトマト
「どれも初心者でも失敗なく育てられました。 夕ご飯のおかずにあと一品欲しいときに、とても役立ちました!!」(奈良県・園芸歴3年)
「夏野菜が育てやすい気がします。子どもたちも喜んで手伝ってくれますし、野菜が苦手な子も積極的に食べてくれます」(福岡県・園芸歴1年)
「私のような初心者でも失敗が少なく、確実に収穫できるので」(大阪府・園芸歴1年)
第2位さつまいも
「簡単で大量に収穫できる」(兵庫県・園芸歴1年)
「植え付けしたら、あとは、放っておけばいいので、簡単」(愛知県・園芸歴1年)
「楽で簡単でおいしい。できたものは日持ちがする」(長野県・園芸歴10年)
第3位トマト
「栄養があり、季節も感じ、手間もかからないので一石三鳥です」(岩手県・園芸歴5年)
「虫に食われにくいから、育てやすい」(大分県・園芸歴1年)
「失敗しにくいのと、有機肥料、無農薬でも作りやすい」(兵庫県・園芸歴5年)
第4位ゴーヤ
「家庭菜園でも大きめの実を収穫できるため」(千葉県・園芸歴5年)
「日よけにもなり、さらに食べれるといういいとこ取りなところ」(千葉県・園芸歴5年)
「比較的栽培が容易だと思う。あまり幅を取らずに育てられるので狭い庭先向き。かつ我が家では重宝される。なお豆類はプランターです。どれも品種は問わない」(東京都・園芸歴5年)
第5位ピーマン
「失敗しにくい。たくさんとれる」(愛知県・園芸歴5年)
「収穫量が多い。 害虫、病気の心配もなし。 11月位まで収穫できる」(奈良県・15年)
「手入れが楽で、長い間収穫できる」(福島県・園芸歴5年)
結果から見たその理由とは
比較的丈夫なうえ、育て方もシンプルで手間があまりかからない、というのが人気の理由。
例えば、花が咲いたら人工受粉をしなければならない、害虫が集まりやすいから肥料の量を調整したり、薬を散布したりしなければならない、など栽培に手間のかかるものだと、経験やスキル、日々のお手入れに時間が必要です。
ミニトマトやトマトは乾燥した場所を好むため、実がなるまでの間は水やりをする手間があまりなく、栽培管理が楽。
生命力の強いピーマンは、病害虫の被害が少なく、用土の質もあまり選ばずに育てられます。
さらに、ゴーヤは栽培管理が楽なだけではなく、つるがよく伸びるので、夏の日除け対策の一環として「グリーンカーテン」にもなるのが、人気の理由の一つかもしれません。
また、さつまいものように、収穫をしたあとでも日持ちするような野菜なら、料理に使いやすくて便利ですよね。
地植え栽培に失敗した野菜の種類と失敗エピソード
次に、地植えで失敗した野菜のエピソードをご紹介。
キャベツ
「外側のキャベツの葉っぱが硬すぎて、水分が少なく、あまりうまく育てられなかったです」(北海道・園芸歴5年)
「葉が大きく広がり、場所をとるので」(秋田県・園芸歴15年)
「ネットをかけないと、虫や鳥に食べられる」(茨城県・園芸歴15年)
スイカ
「一応実りましたが、収穫直前にカラスにつるを切られ赤くなる前に終わりました。たくさん採れるわけでもなく、場所も取るので家庭菜園には難しいかもしれません」(神奈川県・園芸歴5年)
「つるが伸びるものは面積が必要です。ほかの野菜などにも絡まるので」(北海道・園芸歴1年)
「大きく甘くするのは難しく、カラスに食べられてしまうこともあります。やはりプロの農家さんにはかないません!」(茨城県・園芸歴3年)
ほかには、ナスや長ネギなどに関するエピソードも寄せられました。
失敗した野菜でわかること
葉・実が大きくなるキャベツやスイカや、ナス・長ネギといった比較的栽培期間が長くなるものは、失敗のリスクが高まります。リスクを下げるには水やりの頻度を調整、害虫や害獣除けをするなど対策が必要になり、作業の負担がかかる場合も。
特にスイカやメロンなど、調理せずにそのまま生で食べることが多い野菜は、甘さや風味が良くなるように栽培をしないと、収穫できても満足いかない…ということも。
ほかにも、キャベツに加え、カリフラワーやダイコンなどの大きくなるアブラナ科の野菜は、栽培期間が長いだけではなく、アブラナ科独特の香りが強いため害虫が集まりやすいです。食害されたり、害虫の排泄物によって病気を発症させたりする場合もあります。
さらに、アブラナ科やスイカなどのウリ科の野菜は、地植え栽培だと「連作障害」といわれる生育不良を起こしやすいといわれます。同じ場所で同じ科目の野菜を繰り返し育てると、実が小さくなったり、病害虫の被害にあいやすくなったりするので、注意が必要です。
野菜を育てた経験があまりない初心者の方は、栽培期間が短くて、手間のかからない野菜から始めてみましょう。
筆者の個人的おすすめは1本で実がなる果樹
ちなみに、筆者が造園士だったころ、果樹を庭に植えたい、というご要望のお客さまから、1本で自家結実し、花も実も楽しめるジューンベリーやザクロの木などは好評をいただきました。
家庭野菜でも庭木と同じように花が観賞でき、実も簡単に収穫できるオクラなどはおすすめの1つです。
また、地面に植えっぱなしでも自然に収穫までこぎつけられる、さつまいもやじゃがいもなども、特に栽培初心者に向いています。ほかにも、ラディッシュやアサツキ、ミニレタスやチンゲンサイは、栽培期間が1〜2カ月程度で、失敗しにくくて育てやすい野菜です。
栽培が成功すればお世話も楽しくなり、家庭菜園を長く続けられますよ。
最後になりますが、つるがよく伸びて場所をとるようなスイカやカボチャなどの野菜は、篠(しの)や園芸支柱、ネットを使ってつるを巻き付けながら伸ばすこと(=誘引)がポイント!日当たりや風通しがよくなり、生育的にも最適です。
おわりに
いかがでしたか?多くの方が趣味として楽しんでいる家庭菜園では、ミニトマトやさつまいもなどが育てやすく人気の野菜でした。ぜひ手間のかからない野菜から育てて、栽培の難しいキャベツやスイカにも挑戦してみてくださいね!