- 柴﨑 光一
- リゾートガーデンスタイル専属の庭師×Webコンテンツクリエイター。
カナダのトロントで造園士を、その後日本で花屋のバイヤー・鉢物の管理・アドバイザーを経験した後、ヤシの木を主体とするリゾート・ドライガーデンの造園士に。
現在は、リゾートガーデンスタイルの社会福祉施設・DOG CAFEの専属庭師に加え、畑の開拓・管理、SNSも兼務。
植物を専門とするWebコンテンツクリエイター、ガーデニング商品の監修者としても活躍中。
幼いころから生き物やもの作りが大好きで、庭木・草花・観葉植物を使ったガーデニングの世界を開拓しています。
日本とカナダでの造園・庭師の経験に加え、趣味の植物やコケの収集、植物アート作りを生かして、 みなさんに植物や庭の魅力をお届けします!
ミラクルフルーツの魅力!育て方や苗の植え付け、実の危険性とは
赤い実を食べたあとに、酸っぱいものを食べると甘く感じる不思議なミラクルフルーツ。実を食べるだけでなく、葉や樹形が美しいので観葉植物としても楽しめる樹木です。ミラクルフルーツの育て方のコツから、苗の植え替えのペース、実の特徴や危険性まで紹介!
ミラクルフルーツについて知ろう!育て方で気をつけたいこと
ミラクルフルーツは、冬に葉を一斉に落とさない常緑性高木。樹高は大きくなると、6mほどまで大きくなりますが、鉢や一般家庭の庭木として育てるだけなら、2mぐらいまで生長します。
寒さにはとても弱いミラクルフルーツなので、秋の9月ごろからは室内で育てるのが最適。地植えの場合は、株元の周りを腐葉土やバークチップを使ってマルチングするなどの、防寒対策をしっかりとしましょう!
ミラクルフルーツの基本情報
- 分類:アカテツ科ミラクルフルーツ属
- 学名:Synsepalum dulcificum
- 英名:Miracle fruit
- 別名:ミラクルベリー
- 原産:西アフリカ
- 形態:常緑性高木
- 樹高:0.5〜6m
- 開花:5〜10月
- 花色:白
- 耐寒性:弱い
- 耐暑性:普通
ミラクルフルーツの苗の植え付け時期と栽培に適した温度
- 植え付け・植え替え:4〜5月
- 収穫:6〜11月(不定期だが年に2回)
- 生育適温:20〜30℃(10℃下回ると枯死する可能性もあり)
次に食べるものが甘くなる?ミラクルフルーツの実
赤い実を食べたあとに、酸味のあるものなどを食べると甘く感じるミラクルフルーツ。ミラクルフルーツの中に含まれている「ミラクリン」という成分が、酸っぱいものを甘く感じさせる効果をもつようです。
ミラクルフルーツに危険性はなし
厚生省によると、ミラクルフルーツに含まれる「ミラクリン」は安全ということが認められています。危険性はなく、安全に口にすることができるようです。
種まきより苗木から!ミラクルフルーツの最適な土と植え付けの仕方
ミラクルフルーツの種を発芽させるまでは時間がかかり、適切な気温で管理していても、およそ8〜10年かかるようです。苗木ならホームセンターなどの市販で購入できるので、育てるなら苗木からはじめるのがおすすめ。
1. 排水性・保水性・保肥性のある土に植える
ミラクルフルーツは、有機質がたっぷり入っているふかふかの土でよく育ちます。土が硬く水はけが悪い場所では、根腐れが起こりやすく枯れてしまうこともあるため、土の排水性・保水性・保肥性を良くしておきましょう。
植え付け前に、腐葉土、赤玉土、黒土またはピートモスを、掘り起こした土に混ぜておきます。
2. 若い苗木は1〜2年に1回、成木は2年1回のペースで植え替え
1年に5〜6cmほどしか生長しないミラクルフルーツ。樹高が1.5mほどを超えた成木であれば、2年に1回のペースで植え替えます。
ただし、若い苗木や樹高が1mを満たない幼木は、根詰まりがしやすいので、1〜2年に1回のペースで植え替えするとよいです。
花や実がたくさん付く!ミラクルフルーツの育て方のコツ
基本的に難しい育て方や管理がないミラクルフルーツですが、じめじめとした湿った暑い場所で育てていると、病気や害虫の被害にあって枯れてしまうことも。育てる場所には注意して、定期的に観察や剪定をしましょう。
ポイント1. ミラクルフルーツは日当たりと風通しがよい場所で育てる
ミラクルフルーツは、日当たりのよい場所が大好き。ただし、風通しが悪く、湿気が溜まって、高温多湿になるような場所で育ていると、根腐れを起こして枯れてしまう場合も。
午前中は朝の日差しが差し込み、午後は西日が当たらない半日陰になるような場所で育てましょう。
冬はできるだけ、10℃を下回らないような暖かい場所で育てるのが最適です。
ポイント2. 生長期には栄養バランスが取れた肥料を
生長期の春から秋の間は、窒素(N)リン酸(P)カリウム(K)の三要素が、均等に入った緩効性化成肥料を与えましょう。4〜9月ほどの期間で2ヶ月に1回のペースで、株元にパラパラとまく量で大丈夫です。
ポイント3. 土が乾いたら水をたっぷりと
細い葉をたくさん展開させるミラクルフルーツは、吸水力が強く、多くの水を必要とします。
春から秋の間の生長期は、土の中を乾かさないよう定期的に水やりをします。特に夏場や植え付けてから1年未満の苗木は、水が少ないと枯れてしまう場合もあるので注意してくださいね。
土の表面が乾いて白っぽくなっていたら、水を与えるサイン!土の中の空気が入れ替わるように、たっぷりと与えましょう。
ただし、冬の間は生長の活動がゆっくりとなるので、土は乾燥気味にして、月に2〜3回程度で水を与えるのが最適です。
ポイント4. ミラクルフルーツの剪定は2年に1回のペースで
生長スピードがゆっくりなミラクルフルーツ。剪定を放置しなければ、樹高が高くなり過ぎたり、枝葉が混み合ったりすることもあまりありません。2年に1回のペースで定期的に行いましょう。
枝葉が混み合うと、株の内側に日光や風が通らず、病害虫の被害にあうことも。枯れた枝や、不要な枝を切り落とす程度で剪定すると、自然樹形に仕立てられ、花や実の付きも良くなりますよ!
おわりに
不思議な働きをもつミラクルフルーツ。育て方も簡単で、室内のインテリアとしても楽しめる魅力的な樹木です。赤い実には危険性がないので、食事の前に口にして、料理をよりおいしく食べられるほか、家族みんなで楽しむこともできますね!