お使いのOS・ブラウザでは、本サイトを適切に閲覧できない可能性があります。最新のブラウザをご利用ください。
家事
津久井 玲子

薪ストーブの煙突掃除ってやっている?正しい掃除方法を解説

薪ストーブの本体はこまめに掃除やメンテナンスをしているけれど、煙突掃除はしたことがない。このような家庭は意外と多いといいます。しかし、薪ストーブを安全に使うためには煙突掃除は欠かせません。薪ストーブの煙突掃除の方法をご紹介します。

薪ストーブの煙突掃除の必要性

薪ストーブを使うと、必ず出るのが煤(すす)やタールです。これらは煙とともに煙突の中を登っていきます。その過程で一部が煙突内にこびりつき、汚れとなって溜まっていくのです。

 

こびりついた煤やタールは、煙がスムーズに煙突内を抜けていくのを邪魔するようになります。煙突内の気流が乱れ、一酸化炭素のような有害ガスが、部屋に流れ込む原因になることもあるのです。

 

しかも、煙突内にこびりつく煤には厄介な性質があります。煙突内の熱い空気だけでも簡単に着火するのです。この現象を煙道火災と呼び、煙突内が燃えてしまったり、最悪の場合は建物にまで引火したりすることがあります。

 

この煙道火災は、煙突内部の煤の厚さが3mmになっただけで起こるといわれ、薪ストーブの使い方や、くべる薪が十分に乾燥しているかなどでも変わるのです。

 

そのため、シーズンごとに煙突掃除をして、煤をしっかり落とすことはとても重要になります。煙突掃除をきちんと行うことで、はじめて薪ストーブを安全に使えるようになるのです。

 

煙突掃除の頻度は?

では、煙突掃除はどのくらいの頻度で行うとよいのでしょうか?通常は1年に1回行えば大丈夫とされています。時期は梅雨に入るまでには終わらせておくとよいでしょう。

 

しかしそれも、薪ストーブを正しく使っていればの話です。薪ストーブに取り込む空気の量を絞りすぎたり、乾燥しきっていない薪をくべたりすれば、ひどい場合には数日で煙突が煤だらけになり、大慌てで煙突掃除のやり直し、なんてことにもなりかねません。

 

薪ストーブを安全に使うためには、正しく使うことが大切です。煙突内を必要以上に汚さないためにも、空気の量や薪の乾燥具合、くべる量などにも注意しましょう。

 

 

薪ストーブの煙突掃除に必要な道具

薪ストーブの煙突掃除をするためには、屋根の上に登る必要があります。下から煙突掃除をする方法もありますが、煙突のてっぺんまで問題ないかチェックするためにも、屋根の上に登った方がよいでしょう。

 

屋根の上での作業になることや、煙突という特殊な部品の掃除となるため、煙突掃除専用の掃除道具が必要です。より確実に掃除するのに欠かせない、煙突掃除の必需品は次のようになります。

 

1.屋根の上に登るためのはしごや脚立のほか、屋根の上で安全に作業するための安全ベルトやヘルメット、体を固定するためのロープ。

 

2.排気口を含めて煙突内の煤やタールを落とせたか確認する時、煙突内部を照らすためのミニライト。また、煙突掃除で舞い散る煤などから身を守るための、防塵用ゴーグルとマスク。

 

3.煙突掃除専用の煙突の直径に合ったブラシやワイヤーブラシ。周囲に散った汚れを取るためのほうきや塵取り、そして煤などの汚れを入れるためのゴミ袋など。また、汚れ作業用の滑り止めのついた軍手や、屋根の上でも滑りにくい靴、汚れてもよい作業服などの着衣。

 

4.室内部分の煙突掃除の時に、床を汚さないために敷く古新聞か養生シート。また、それらのシートを固定するための養生テープ。

 

煙突掃除専用のブラシは煙突内部を傷めないようにするため、多少値段が高めでも適度な柔らかさを持ったものがおすすめです。また、煙突はてっぺん部分の部品は直径が異なるため、ブラシはそれぞれ適したものを用意する必要があります。

 

 

薪ストーブの煙突掃除のやり方

薪ストーブから突き出た煙突には、まっすぐ天井に伸びて屋根の上に出ている屋根出しタイプと、煙突が途中で曲がって壁から外に出ている壁出しタイプがあります。それぞれの掃除方法をご紹介します。

 

屋根出しタイプの煙突掃除の方法

このタイプの煙突は屋根から直接突き出しているため、屋根に登って行う必要があります。まずは薪ストーブ本体から出ている煙突部分を外し、残っている煙突の先にゴミ袋などをしっかりと結びつけるか、養生テープなどで固定しておきましょう。

 

薪ストーブ本体の周囲には、煙突掃除で出る煤汚れなどが飛び散った時のために、養生シートなどを敷いて固定しておくのを忘れないようにしてください。

 

次に脚立やはしごの折りたたみ部分の向きを間違えないように正しく立て、屋根に登ってロープや安全ベルトなどで体を固定します。ヘルメットも着用して、頭を保護するのを忘れないことも大切です。

 

まずは煙突トップに付いている、排気口から始めましょう。排気口にこびり付いた汚れを、煙突掃除専用ブラシで丁寧に落としてキレイにしてください。

 

続いて煙突掃除専用ブラシに柄をつなぎ、煙突の中で2~3回上下させて、取り付けておいたゴミ袋に煙突内部の汚れを落としていきます。室内の煙突部分が取り外せない場合は必ず薪ストーブの扉を閉めて、汚れが周囲に飛び散らないようにしましょう。

 

ペンライトなどで煙突内部の汚れが落とせたことを確認したら、外した室内部分の煙突を外に持ち出します。中の汚れをキレイに落としたら、薪ストーブ本体に元通りに取り付けて完了です。

 

壁出しタイプの煙突掃除の方法

このタイプの煙突は、薪ストーブの横の壁から外に突き出しているのが特徴です。外に出てすぐの曲がり角には掃除口が付いています。

 

まずは掃除口を外し、ゴミ袋を養生テープなどを使って固定してください。その時、煙突掃除専用ブラシを入れるための隙間を作っておくのがポイントです。

 

掃除口から煙突掃除専用ブラシを回しながら差し込み、煙突トップまで丁寧に煤をこすり落とします。この作業を数回繰り返して煤が落ちてこなくなったら、外側部分の煙突内部の掃除は完了です。ただし、まだこの時点ではゴミ袋を取らないでください。

 

外の次は室内部分です。室内部分の煙突を取り外して外に持ち出し、中の汚れを全て落とします。壁を貫通している部分は、室内側から煙突掃除専用ブラシを差し込み、外の掃除口に向けて煤を押し出すようにしてください。

 

煤をすべて取り除いたら薪ストーブ本体に室内部分の煙突を取り付けて、外のゴミ袋を回収したら掃除口を閉じます。最後に屋根に登って排気口を確認し、異常がなければ完了です。

 

薪ストーブを使う前に確認したいこと

薪ストーブの煙突トップには、防鳥網が付いています。この防鳥網で、鳥が煙突に巣を作るのを防いでいるのです。この防鳥網が汚れたままでも、もちろん煙突は正常に機能しません。煤やタールが付いているようなら、丁寧に落としてキレイにしましょう。

 

また、防鳥網が破損していた場合、放置していると鳥が巣を作り、煙突をふさいでしまうことがあります。気付かないまま薪ストーブを使うと、当然のことながら排煙障害などの危険があることはいうまでもありません。

 

そのため、防鳥網が破れていたら交換しておくことは当然ですが、シーズン前に鳥が巣を作っていないか確認しておくと安心です。最低でも下から見上げて、異物のようなものが煙突をふさいでいないか確認しましょう。

 

 

薪ストーブの煙突掃除、業者に依頼するとどのくらい?

薪ストーブの煙突掃除を業者に依頼した場合、一概にいくらといえる相場はありません。理由としては、煙突掃除だけなのか、薪ストーブ本体のメンテナンスも込みなのかなどから始まり、交通費や部品の交換が必要だった場合などのサービス料も異なるためです。

 

このほかにも、薪ストーブの購入先の業者がアフターケアをやっていないケースや、専門業者が少なくて頼める先がないケースもあるといいます。

 

しかし薪ストーブの煙突掃除は、屋根に登るだけでも危険な作業であることは事実です。専門業者に頼めればいうことはありません。薪ストーブの使用状況にもよりますが、安い場合は1万円台から、高くついた場合には5万円ほどになることもあります。

 

薪代も考えると、薪ストーブの維持費は結構な額になることは事実です。薪ストーブを設置する前に、近所にメンテナンスを引き受けてくれる先があるかや、薪代も含めて維持費がいくらくらいになるかを計算しておくなどするとよいでしょう。

 

 

おわりに

薪ストーブは自然の火を眺めながらくつろげる、家電品にはないぬくもりがあります。しかしそれも正しい使い方を守るとともに、煙突掃除などのメンテナンスも欠かさない上でのことです。

 

特に煙突掃除はおざなりになりやすい傾向があります。また、正しく掃除できていないことも多々あるとされ、その危険性も認知度は低いのが実情です。薪ストーブを安心して楽しむためにも、煙突掃除を欠かさないようにしましょう。