- 津久井 玲子
- 自分が仕事の中で勉強したことを、わかりやすさ、伝わりやすさに気をつけて書いています。読んでくださった方にとっても、読んでよかった、勉強になったと思える記事を目指しています。
窓用の遮光シートって?選び方や貼り方のコツをご紹介
「窓から入ってくる光がまぶしい」「光と一緒に入ってくる熱で暑くなる」そんな時には、遮光シートを窓に貼れば問題を解決できます。遮光シートは誰でも窓に貼ることができますが、いろいろと注意点もあるのです。遮光シートについて詳しくご紹介します。
遮光シートって何?
遮光シートは窓から入ってくる強い光を遮るものです。日差しとともに入ってくる熱も遮るものは「遮熱フィルム」、窓ガラスの断熱効果も上げるものは「断熱フィルム」が適切とされますが、さまざまな呼び方がされているのも間違いありません。
ではそのようにさまざまな呼び名を持つ遮光シートには、どのような効果と種類があるのでしょうか?
遮光シートは、基本的に目に見える光(可視光線)を40~80%ほどカットしてくれます。そのため、夏の強い日差しがまぶしい部屋の窓や、西日が差し込んでまぶしい窓に貼ることで、強い光を和らげることができるのです。
太陽光を和らげるということは、日差しの持つ熱も和らげることができるということになります。通常の光をおさえる遮光シートでも熱の軽減効果がありますが、さらに断熱機能を付加した遮光シートなら、外から熱が入ってくることも中の熱が逃げることも防ぐのです。
このほかにも遮光シートには、紫外線をカットする効果を持つものもあります。このような遮光シートを貼ることで、家具や壁などが紫外線で傷むのを防ぐことができるのです。蛍光灯の紫外線が外に漏れるのを抑える種類もあり、寄ってくる虫を減らす効果があります。
また遮光シートを貼ることで、地震などでガラスが割れた際に、飛び散るのをおさえる効果もあるのです。ただし、防犯用のシートよりも性能は低いので、あくまでおさえるレベルと意識しておきましょう。
代わりに、遮光シートでプライベートを守ることは可能です。遮光シートの中には、高い反射力で昼間は外見が鏡のようになり、室内の様子を隠すものもあるのです。中から見える景色は損なわれないので、人通りの多い道に面した窓に貼ると安心できます。
窓の種類も重要
遮光シートはどの窓にも貼ることができるのでしょうか?答えは「否」です。貼りたい窓が遮光シートを貼れる種類なのかどうか、まずはチェックしてみましょう。
遮光シートを使える窓
一般的に広く使われている、ツルツルとした表面の1枚ガラスの窓ならば、まず問題なく遮光シートが使えます。フロートガラスやノーマルガラスと呼ばれる種類で、よく見る透明な窓ガラスです。
稀に遮光シートが貼れないものもあるので、遮光シートの注意書きと、窓ガラスにそのガラスに関する書き込みのあるシールが貼られるなどしていないか、きちんとチェックしてから貼るようにしましょう。
通常のガラスと異なり、製造過程で熱処理を加えて強度を上げた強化ガラスも、遮光シートを使えます。「TP」「TEMP」「TEMPREX」「TEMPER」などの刻印や、シールで「強化ガラス」と貼られていることもあるので確認してください。
事前に確認が必要な窓
ガラスの中に針金が入った、一般的に「防火ガラス」とも呼ばれる窓ガラスは要注意です。遮光シートを貼ると中の針金が伸びてしまい、その変化に耐えられずに窓ガラスが割れる「熱割れ」という現象が起きることがあります。
同じように熱割れの危険があるのが熱反射ガラスです。この窓ガラスは一般的なフロートガラスの表面を、遮光シートと同じように日光を反射する金属酸化物の膜で覆ってあります。そのため、通常は遮光シートは必要としません。
複層ガラスの窓ガラスも熱割れに注意が必要です。2枚のガラスの間に空気やガスを入れたもので、使うガラスの種類や内部のガスの性質によって特徴も変わります。そのため、遮光シートを貼る前にチェックが必要です。
通常の遮光シートは使えない窓
曇りガラス(型板ガラス)やすりガラスは、表面に凹凸があるため通常の遮光シートを貼ることはできません。同じように、羽状に作られたガラス製のルーバー窓や、ガラスブロックを積み重ねて作った窓も、遮光シートを貼るのには不向きです。
持ち家の窓ガラスを選ぶ時には、あらかじめ遮光シートなどを使うことも考えて選ぶか、熱反射ガラスのように、はじめから求める機能を持った窓ガラスを選ぶかするとよいでしょう。
遮光シートの選び方
遮光シートはどのように選べばよいのでしょうか?一番よいのは、どのような目的で遮光シートを貼るかを考えることです。
もし、まぶしさを改善したいのであれば、「可視光線透過率」で選ぶとよいでしょう。要は、どのくらい日光を通すかを数値化したものです。表示が80%となっている場合、入ってくる光の量を20%カットして、80%は通すという意味になります。
つまり、数値が低くなるほど多くの光をカットするということです。あまり数値が低すぎると、ほとんど光を通さなくなってしまうため、部屋の中が暗くなってしまいます。購入時には注意してください。
また、機能面で選ぶことも大切です。夏の暑さを防ぎ、冬は室内の温度を保ちたい、というのであれば、断熱効果のあるものを選ぶ必要があります。家具や壁はもちろん、自分自身も日焼けしたくない、というのであれば、紫外線をカットする遮光シートが必要です。
外から家の中を見られたくないのであれば、ミラータイプやすりガラスタイプの遮光シートを選びましょう。人目を気にする必要がないのであれば、もちろん透明の遮光シートでも大丈夫です。
窓を飾るために遮光シートを使う方法もあります。デザインも豊富に揃っているので、部屋の雰囲気に合わせて遮光シートを選んでもよいでしょう。
遮光シートを窓に貼る方法とキレイに貼るコツ
遮光シートを貼ることは誰でもできます。窓は窓枠にはめたままよりも、外して作業する方がやりやすいのでおすすめです。
窓枠にはめたまま作業をする時には、窓の周辺をビニールシートなどで広く養生する必要があります。周辺の家具を移動したり、壁や床も養生する必要があったりと、作業量はかなりのものです。窓を外してお風呂場などで作業する方が、後片付けなども楽になります。
用意するもの
まずは貼り付ける遮光シートを用意します。そのほかに、遮光シートを測るためのメジャー、切るためのカッターナイフ、仕上げで使うヘラも必要です。そして、窓掃除をするための霧吹き、中性洗剤、スクイージー、スポンジやペーパータオルなども用意しましょう。
特に掃除道具は遮光シートを貼り付ける時にも必要です。掃除が終わったからと片付けないようにしてください。
窓を掃除する
遮光シートを貼る前に、シートを貼り付ける窓の内側の面をキレイに掃除します。水に2~3%の中性洗剤を入れた洗剤液を吹き付け、スクイージーで汚れを丁寧に落としてください。忘れがちですが、窓ガラスの枠のサッシもキレイにしましょう。
掃除でしっかり汚れを落とすことが仕上がりに直結します。手を抜かないよう汚れを落とすことが、最初のコツです。
遮光シートを貼る
遮光シートを貼る前に、窓ガラス全体に洗剤液をたっぷりと吹きかけます。洗剤液の膜を均一に作ることが大切なので、「多すぎるかな?」と思うくらいたっぷりと吹きかけることが、キレイに貼り付けるコツです。
遮光シートの裏面に付いている保護フィルム(セパレーター)を慎重にはがしながら、遮光シートの接着面にもたっぷりと洗剤液をスプレーします。この時2人で作業をすると失敗しにくく楽です。接着面にゴミが付くと仕上がりが悪くなるので、十分に注意してください。
洗剤液を付けた面を下にして、遮光シートをガラス面に接着します。手で持つ場所は皮脂が付いてしまうので、遮光シートをあえて大きめにカットしておくとよいでしょう。手で持った部分はサッシの上になるように位置を合わせ、遮光シート全体をガラスに貼ります。
遮光シートをガラス面に貼ったら、シートの表面全体にも洗剤液を吹きかけていきましょう。遮光シートがずれないように片側を押さえ、スクイージーを窓の中心からやさしく、上下左右に滑らせます。
この時、スクイージーは必ず中心から上下へ、中心から左右へと動かすのがキレイに仕上げるコツです。余分な洗剤液はスポンジやペーパータオルなどで拭きとりながら作業します。スクイージーの滑り具合が悪いようなら洗剤液を吹きかけ、何回も作業を繰り返してください。
仕上げ
遮光シートの余分な部分をカットします。先に遮光シートの四隅の部分を落としておき、窓枠にそって遮光シートにヘラでスジを付けてください。仕上げの水抜き作業のために、フィルムの端が2~3mmほどすき間ができるように切るとやりやすいです。
遮光シートのカットが終わったらもう1度、洗剤液を吹きかけて水抜きをします。水抜きで出てきた洗剤液は、スポンジやペーパータオルなどですべて吸い取りましょう。
ゴミなどが入っていないか確認したら、直射日光が当たらない風通しのよい場所で乾かします。温度変化の少ない日陰を選ぶようにしてください。完全に乾いたことを確認したら、窓を元の場所に取り付けて完了です。
おわりに
遮光シートは窓に貼り付けるだけで、取り入れる日光を調節できるだけでなく、室内の温度管理や紫外線対策、プライバシーの保護など、さまざまな効果を付加できる便利なアイテムです。窓ガラスを飾る柄ものもあるため、部屋の雰囲気づくりにも使えます。
普段から強い日差しに悩んでいる方や、光熱費をもっと下げたいと考えている方には、特にピッタリのアイテムです。遮光シートを窓に貼って、より快適な生活空間を作ってください。