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家事
津久井 玲子

雨どいにはどんな種類がある?役割や価格の目安も解説

屋根の軒先のすぐ下に取り付けられている雨どい。普段は特に気にも留めない方も多いことでしょう。しかし、雨どいには重要な役割があり、また、その形状や素材にもさまざまな種類があるのです。雨どいの役割や種類、修理価格の目安などもご紹介します。

雨どいの役割

まずは雨どいの構造と、それぞれの部分の役割から見てみましょう。雨どいはさまざまな機能を持つ、複数の部分から成り立っています。

 

まずは屋根の下にぐるりと囲うように取り付けられた部分が「軒どい」。雨どいというと真っ先に頭に浮かぶ部分です。そして、その軒どいによって集められた雨水を、下に排水するための「竪(たて)どい」があり、竪どいに軒どいが集めた雨水を送る「集水器」があります。

 

集水器と竪どいの間に取り付けられているのは、「エルボ」と呼ばれる曲がった配管を使う「呼びどい」です。いくつもの集水器から流れてくる雨水を1本の竪どいに集約することで、屋根から流れ落ちてきた雨水を効率的に排水口に流せるようになっています。

 

こうして雨どいが雨水を排水することで、建物の外壁を保護する塗装が剥げるのを防ぎ、また、建物の基礎が雨水で劣化して傷む危険性を減らすなどの効果があるのです。

 

雨どいが正常に機能しなくなると雨漏れなども発生して建物が傷んでしまいます。時々意識して雨どいの傷みなどをチェックすることも、家を守るために必要なことといえるのです。

 

 

【雨どいの種類】形状

雨どいは家を守るのにとても重要なものですが、どのような種類があるのでしょうか?まずは形状から見ていってみましょう。

 

半円型

ちょっと古めの建物といえばこのタイプ、というくらい広く流通している形状です。形が単純なために価格的にも安めで、コスト面でも選ばれることが多いといえます。さらに、和風の建物だけでなく、洋風の建物でも違和感なくなじみやすいのが特徴です。

 

角型

角型の雨どいには、半円型よりも多くの雨水を流せるメリットがあります。屋根から落ちてくる雨を逃しにくいように、片側がせり上がった形のものも。ゲリラ豪雨や雨の多い地域で人気が高く、プレスの仕方によって強度が高められることもあり、需要が増しています。

 

特殊型

雪国では屋根に積もった雪かきが欠かせません。しかし、通常の雨どいでは雪を落とす時に引っ掛かってしまいます。また、雪が降るたびに雨どいに溜まり、雪解け水の流れを邪魔してしまう危険性もあるのです。

 

そのため、雪国では特殊型の雨どいが使われています。作りも半円型や角型よりも複雑なため、当然のことながら価格は高めです。雪は稀にしか降らなくても雨どいが傷んだことがある、という場合には、この種類の雨どいを検討してみるのもよいでしょう。

 

 

【雨どいの種類】材質

雨どいは雨水から家を守るためのものなので、その材質も水に強い種類が使われています。雨どいにはどのような種類の素材が使われているのかをまとめました。

 

塩化ビニール

雨どいに使われる素材の種類の中でも、最もポピュラーなものといえます。価格は安くて組み立ても簡単、形状やカラーなども多種多様に揃っているため、どんな住宅でも使いやすい点もメリットです。

 

ただし、デメリットもあります。雨だけでなく太陽光でも劣化してしまうため、ほかの種類の素材と比較した場合、破損しやすいのです。ホームセンターなどでも手軽に購入できるため、修理はしやすい素材といえます。

 

そのほかの合成樹脂

塩化ビニールよりも加工に手間がかかるため、若干高めになります。代わりに塩化ビニールの弱点である紫外線への耐性を上げる処理や、強い日差しの熱で変形を防ぐ処理が施されたものなど、より長く使える種類の雨どいが欲しい方向けの素材です。

 

次からご紹介する金属製の雨どいよりは、耐久性が低いのは間違いありません。しかし、値段が高すぎず、それでいて耐久性もそれなりに欲しいという方にはピッタリの種類の素材です。

 

ガルバリウム鋼板

屋根にも使われる種類の素材で、雨に強くてサビにくいメリットがありながら、加工も簡単なために金属製の雨どいの中では価格も手ごろです。屋根材にガルバリウム鋼板を使っているなら、雨どいもこの種類を選ぶことで統一感も出せます。

 

台風が多くて強度もある雨どいにしたい場合には、軽くて強度も高いガルバリウム鋼板はピッタリの素材です。雨どいの修理の際に、いっそのこと付け替えてしまうのもよいでしょう。

 

軽くて加工が簡単、さらにそうそうサビることがない。これが銅製の雨どいの一番のメリットです。時間がたつと表面が緑色に変化して、「緑青」と呼ばれる膜のようなものが包み込んでいきます。この緑青の効果で内部の酸化が抑えられるため、耐用年数が圧倒的に長い素材です。

 

デメリットは酸性雨に弱いこと。そのため15~20年で雨どいに穴が開きやすく、近年ではこのデメリットを改善するべく、内側にはステンレス材を取り入れたタイプも出てきました。長期間使えるため元は取れる場合が多いですが、それでも高額な部類の素材です。

 

アルミニウム

アルミニウムはとにかく軽く、軽量素材であるはずの塩化ビニールと比較しても、2割ほど軽い種類の素材です。しかもそうそうサビることもなければ、熱で膨張して雨どいがゆがむといったことも起きにくく、雨どいの素材としても優秀なのは間違いありません。

 

デメリットはその加工の難しさです。長くて接ぎ目の少ない雨どいも作れますが、製品そのものの種類が少ないだけでなく、価格も高めになります。物はよいものの、デザインや価格にこだわりたい方には不向きな素材です。

 

ステンレス

サビにくくて強度も高く、耐用年数も比較的長めの種類の素材です。台風の多い地域でも取り入れやすく、アルミニウム同様に継ぎ目の少ない長い雨どいも作れます。継ぎ目が目立ちにくいようにつなげることができるのも特徴です。

 

アルミニウムよりも価格そのものは安くなりますが、それでも金属のためにそれなりの金額は必要になります。最近では和風建築用素材として加工されたものも出てきているものの、まだまだ流通量そのものは少ない素材です。

 

 

雨どいの修理価格の目安

一般的な一戸建てで雨どいをすべて交換する場合、価格はどのくらいかかるのでしょうか?

 

安価で入手しやすい半円型の雨どいにした場合でも、交換する新しい雨どいの価格が約20万円、足場の設置や工事費で約7万円、廃棄する雨どいの処理代が約3万円で、合計約30万円が相場とする見積もりもあります。

 

家の形や階数などでも変わりますが、それでも約15~50万円ほどは見積もっていた方がよいようです。さらに銅製の雨どいの場合には、現地で建物に合わせて微調整が必要になるといいます。当然その分の手数料が加算されるため、素材選びは慎重にしましょう。

 

一番よいのは、専門業者に見積もりを出してもらうことです。雨どいの素材についても相談できるので、その家に一番適した改修をすることができます。

 

雨どいの修理がタダになることも?

雨どいが修理するほど傷む原因といえば、「雪」と「風」、「経年劣化」です。ただし、経年劣化だけで雨どいが傷むことはまずないので、火災保険の「風災・雪災・ヒョウ災補償」が適用されれば、負担する金額を0円にすることもできます。

 

火災保険に加入している方は、一度保険会社のホームページや保険証券を確認してみましょう。火災保険だから火災だけの保証と思っている方も多いかもしれませんが、「風災・雪災・ヒョウ災補償」も基本対象の火災保険が大半なので、確認してみて損はありません。

 

 

おわりに

雨どいは家を守るためにも欠かせないものです。そのため、環境にあった形状と素材の雨どいを設置することが欠かせません。さまざまな種類の雨どいの中から、予算と相談しつつ一番適した雨どいを選んでください。きっと長く家を守ってくれることでしょう。