
- 柴﨑 光一
- 建築・インテリア学科卒の元造園士。植物が大好き過ぎて、大自然のカナダで植物と戯れながら、 観葉植物・庭木・草花を使ったガーデニングの世界を開拓しています。日本での建築とカナダでの造園の経験に加え、趣味のさまざまな植物やコケの収集、植物アート作りを生かして、 みなさんにガーデニングの魅力をお届けします!
チョコレートのような甘さのある香りがする花。みなさんはどんな花の種類を浮かべますか?実は秋にピンクの花を咲かせるコスモスの仲間が魅力的な香りを放ちますよ。今回は一度は育ててみたいチョコレートコスモスの育て方や種類、花言葉を紹介します。
目次
チョコレートコスモスは私たちが普段見かけるコスモス(オオハルシャギク)の仲間です。見た目はコスモスと違って、花がとてもシック色合い。大人の雰囲気があり、赤ワインのようなバーガンディーカラーが特徴的ですよ。
この色を持つチョコレートコスモスの種の名前は「コスモス・アトロサンギネウス」で原種になります。幅広く流通していますが、育て方がちょっと難しいので、枯らさないよう注意が必要かもしれません。
初心者の方は真っ赤に咲くチョコレートコスモス「ノエル・ルージュ」を育てるのがおすすめ。育て方が比較的簡単な園芸品種で、丈夫に品種改良もされています。
・分類:キク科コスモス属
・学名:Cosmos atrosanguineas
・英名:Chocolate Cosmos
・和名:チョコレートコスモス
・原産:メキシコ
・草花:多年草(宿根草)
・草丈:30〜70cmほど
・開花:5〜11月
・花色:黒紫、赤、ピンク
・耐寒性:やや弱い
・耐暑性:やや弱い
一般的なコスモスと違って、一年草と多年草の違いがあります。またチョコレートコスモスは多年草の中でも宿根草(しゅっこんそう)に分類。冬の時期は地上部は枯れますが、暖かくなると新芽を高く出しますよ。
極度な寒さや暑さには弱いので、夏越し、冬越しには注意が必要です。日除カバーや屋内への移動、マルチングなど対策をして育てると良く、また翌年にも開花しますよ。
・短日植物:日の当たる時間が減ると開花する
・高温多湿に弱い:蒸れるとうどんこ病を発生させやすい
キクやコスモスが分類するキク科の植物は、短日植物が多くチョコレートコスモスも同様です。葉に当たる光の時間や量が減ることで、開花を促進し咲き始めます。夜にも光が当たっていると咲きにくくなるので注意。
チョコレートコスモスの花言葉は「恋の終わり」「恋の思い出」「移り変わらなぬ気持ち」
少し切ない雰囲気を感じさせる言葉が並びますが、チョコレートコスモスの甘い香りから連想されたような感じもあります。甘い香りは永久にずっとは残りませんが、花からにおう香りは、いつも変わらずと同じ。一途な思いも感じられる面がありますね。
チョコレートコスモスは高温多湿にとても弱い花。梅雨から真夏には特に注意が必要で、風通しが悪いとうどんこ病にかかりやすいですよ。また真夏日は半日陰で管理し、強い直射日光にも気をつけましょう。
チョコレートコスモスの用土は、排水性と保水性に優れたものが好ましいです。市販で売っている草花用の培養土を使うのであれば、ゼオライト(軽石)を2割ほど混ぜて、さらに水はけをよくしましょう。
生長期の4月から11月の水やりは、表面が乾いたらたっぷりと与えます。休眠期に入る12月から3月は極力控えますが、球根を乾燥させてしまうと枯死の原因に。なるべく手で土中の乾燥具合を確かめながら与えましょう。
新芽が出て少し大きくなった5月から、休眠期に入る直前の10月まで肥料を与えます。しかし、夏場の7月、8月は、暑さで弱るので避けましょう。
鉢植えで育てる場合は、幼苗のうちは毎年植えると生育が良いです。球根が拳よりも大きくなって20cm以上の鉢(6号サイズ)を超えるようであれば、3年ごとに植え替えを切り替えましょう。適期は4〜5月なので、新芽が大きくなったときが目安ですよ。
風通しの悪さや直射日光の当たり過ぎだと、高温多湿・乾燥状態になり、うどんこ病が発症しやすくなるので注意。株が蒸れたり、乾燥し過ぎたりすると多発しやすいので気をつけましょう。また、乾燥がひどいとアブラムシも発生しやすくなります。
夏場は、木陰や風通しの良い涼しい場所で管理しますが、冬場は防寒対策をして冬を乗り切ります。地植えの場合はウッドチップやワラ、腐葉土などでマルチングをし、鉢植えは凍らない場所で管理しましょう。
チョコレートコスモスの種類はオオハルシャギク(Cosmos bipinnatus Cav. )とキバナコスモス(Cosmos sulphureus Cav.)の3種です。この3種を使って品種改良が行われたものは、育て方も簡単で初心者でも育てやすいですよ。
○コスモス・アトロサンギネウス
チョコレートコスモスの原種で、100年ほど前に絶滅が報告されたようです。しかし、近年の調査で生存が確認されていますが、栽培や交配が難しいとされています。現在出回るこの品種は、挿し木や分球されたものが多いです。
○ノエル・ルージュ
キバナコスモスとの交配によって生まれた園芸品種。ビビットな赤色の花を咲かせ、病気や高温多湿にも強く丈夫に育ちます。初心者でも育てやすい品種でおすすめ。
○ショコラ
原種のコスモス・アトロサンギネウスに最も近い花姿で、上品なワインカラーの花を咲かせます。暑さや寒さに強く、育て方はシンプルで育てやすいです。
香りがとても魅力的なチョコレートコスモス。花は上品な色で気品な立ち姿なので、庭の大きなアクセントなりつつ、香りも楽しめる庭になるでしょう。枯らしてしまうのが心配な方は、ぜひ育て方が簡単な品種を選び、個性あるガーデニングを作ってみましょう。