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気をつけたい!ペットの夏バテ・熱中症対策
夏の蒸し暑さは大切な家族の一員であるペットにカラダに負担を与えてしまいます。 夏バテや熱中症のリスクは人間と同様だといえるでしょう。 そんな時期を健やかに乗り切るための対策方法を紹介します。
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獣医師 寺田勝先生
『てらだ動物病院』院長。都市銀行勤務後、獣医を志し、200年に開院。「病気を診るのではなく、患者さんを診る」をモットーに、ペットと家族にとって最善の治療を常に考えながら診療にあたる。
まずはしっかり暑さ対策。異変があれば動物病院へ
犬や猫は全身が毛に覆われ、体温調整に関わるエクリン汗腺もほとんどありません。
それゆえ体に熱がこもりやすく、夏場は体調不良に陥ることも。
「特に暑さに弱いのは犬。パンティング(開口呼吸)で放熱をしますが、高温多湿な環境ではうまく体温を下げることができず、熱中症になってしまうこともあります。また逆に、猫は砂漠に住むリビアヤマネコを祖先にもち、自らの体を舐めて体温を下げるので、比較的暑さには強い方。でも、蒸し暑い室内に長時間閉じ込められると、熱中症リスクが高まります」と語るのは寺田さん。
最初は呼吸が荒いなどの軽症でも、何も処置をせずに放っておくと重篤な症状、病気を引き起こすこともあります。
「意識の混濁や痙攣の症状が出るまで放置するのは危険。多臓器不全を引き起こし、最悪の場合は死に至ることも。特に、もともと心臓や腎臓、呼吸器系が弱かったり、肥満の犬、猫にとっては 深刻なダメージとなります」(寺田さん)
熱中症は取り返しのつかない状態になる前に、まずは予防をしっかりすること。そしてSOSサインを見逃さないよう、普段からペットの様子を観察することが大切です。
こんな症状に注意!ペットの熱中症レベル
- Level1 呼吸が荒く、よだれが多い
- Level2 ぐったりして、食欲がない
- Level3 下痢、嘔吐、ふらつきがある
- Level4 意識障害や痙攣がある
気温が高いとき、運動直後や興奮時以外であれば夏バテ気味。ただし、猫の場合はかなり重篤な状態なのですぐに病院で受診するようにしたい。
お腹を床につけて、ぐったりとしている。いつもは完食している食事を残す、あるいはまったく食べようとしないならば明らかに熱中症。
熱中症が進行すると出やすいのが、下痢や嘔吐といった胃腸系の不調。続くと脱水症状を引き起こすので、できるだけ早めに病院へ行きましょう。
ここまでくるとかなり重症なのですぐに病院へ。血尿、血便、チアノーゼ(歯茎などの粘膜が青紫色になる)などの症状を伴うこともあります。
夏を健やかに乗り切る4つのポイント
夏の暑さは犬や猫にとって想像以上にカラダに負荷を与えてしまいます。
そんな夏の季節を乗り切るために飼い主として気をつけるべき4つのポイントを紹介します。
1.水分を摂取できるよう工夫する
体温を下げるには水分が不可欠です。
特に夏はその必要性が増すのでしっかりと補給を。
「夏はいつもより少し多めに与えても。ただし、心臓が弱い場合は注意が必要。ちなみに、水は常温の水道水で十分です。もしペットが水を飲みたがらない場合は、フードをウェットに切り替えたり、ドライフードを水でふやかしたり、自然に水分摂取できるように工夫を」(寺田さん)
2.快適な室温をキープする
犬や猫にとって心地よい気温は23~28℃、湿度は40~60%(種類により変わります)。
室内で一緒に過ごすときや、留守番させるときも、この条件を目安にエアコンの室温設定をしましょう。
「冷気は下にたまるので、扇風機を併用しながら空気を撹拌させて。また、自分で快適な場所へ移動できるように、エアコンの効いた部屋以外へ往来自由な状況にしておくこともお忘れなく」(寺田さん)
3.犬の散歩は涼しい時間に
夏場の愛犬との散歩は、時間帯やコースを見直す必要があります。
特に避けなくてはならないのは、昼間の暑い時間帯。
「夏場は地面がかなり高温になるため、体高が低い犬は熱気をじかに感じることになります。早朝や夜など、涼しい時間帯に行ってください。運動内容も、激しいことは控えるのがベター。散歩後はきちんと水分補給し、クールダウンさせましょう」(寺田さん)
4.サマーカットで体温調整
人間より約1.5~2℃体温が高い犬と猫。しかも全身毛に覆われ、汗もかかないため、夏は体に熱がこもりやすいのです。
「それを軽減するのがサマーカット。特に長毛種にはおすすめ」とのこと。また、熱中症気味で少し体温が高いときの緊急処置は、「人間と同様、首のまわりや脇の下、脚の付け根の静脈を保冷剤などで冷やすのも有効です」(寺田さん)
ぜひ覚えておきたいポイントです。
夏の暑さがツライのは人間もペットも同じです。
大切な家族の一員のためにしっかりと対策をしてあげてくださいね。
イラスト・船越谷香 構成、文・野尻和代