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暮らしの工夫
Pacoma編集部

【犬猫の飼い主は必読】ペットの上手なダイエット法

ペットがぽっちゃり太ってきているのに、放ったらかしにしていませんか? 肥満はペットの健康にも悪影響を与えるので軽視してはいけません。そこで肥満を解消するためのダイエットで守るべきルールをプロに教えてもらいました。できるだけ長生きしてもらうために、今すぐ適切な減量を始めましょう!

徳本一義さん

ヘリックス株式会社代表取締役社長、獣医師、MBA。小動物の臨床栄養学に関する専門家。獣医療・教育関連のコンサルティングをはじめ、大学の非常勤講師やペット栄養学会理事なども務める。

ペットの減量成功を握るのは飼い主

© PIXTA

ぽっちゃりと太っている犬や猫は、見ている分にはかわいらしいですよね。

しかし、体脂肪が過剰に蓄積した肥満は、その寿命を縮める可能性もあることをご存じでしょうか?

「呼吸器系や心臓の疾患、関節炎、皮膚病、そして犬なら膵炎、猫は糖尿病など、肥満はさまざまな病気を引き起こす要因になっています」と語るのは獣医師の徳本さん。

ペットを肥満に導いているのは、飼い主やその家族など周辺の人間であることがほとんどです。

「病気による肥満もありますが、多くの場合は食べ過ぎが原因。犬や猫は一般的に加齢や避妊・去勢によってエネルギー消費量は落ちてきますが、摂取エネルギーがそれを上回っていると必然的に太ってきます。肥満になると運動不足に陥りがちなのも負の連鎖です」(徳本さん)

そんな肥満のペットの減量は、飼い主の決意がないと始まりません。

「飼い主自身がペットの太りすぎの責任を痛感して、気持ちや行動を変えることが大切です。そうしないと、ペットのダイエットは絶対に成功しません」(徳本さん)

 

ペットのダイエットを成功させるためのルール5

ここでは、ペットのダイエットをする際におさえておきたい5つのルールをご紹介。

その前に、飼い主が知っておきたい心得を知っておきましょう!

ダイエット成功のための心得

  • 愛犬、愛猫のことをきちんと知る
  • 愛犬、愛猫の普段の様子を観察したり、品種の特徴や歴史などを勉強すること。それに合わせて運動量や遊び方を見直し、効果的な減量計画を立てましょう。

     

  • 家族一丸となり減量に取り組む
  • 目標体重を含め、ダイエット中の食事、運動の状態については飼い主だけでなく、家族など関係者全員に共有すること。特に余分なおやつ、食事は厳禁です!

     

  • かかりつけの病院を上手に利用
  • 無理な減量を避けるために、実践前には体重や体調チェック。ワクチンなどで動物病院に行く際には、獣医師や看護師に適正な体重を聞き、アドバイスを求めてください。

 

ルール1:まずは愛犬・愛猫の肥満度をチェック!

一般的にペットの肥満の定義は、適正体重を15~20%超過していることをいいます。
しかし、犬も猫も体格や体形によって適正体重が違うため、ボディ・コンディショニング・スコアを用いてチェックするのが分かりやすいですよ。

今回はBCS3(理想的体重)、BCS4(太り気味)、BCS5(肥満)をピックアップして紹介。「BCS5と判断された場合は、明らかに太り過ぎ。必ずダイエットしましょうというレベルです」。

 

犬のボディ・コンディショニング・スコア

【BCS5/肥満】
肋骨は厚い脂肪に覆われ、触れない。腰椎や尾根部にも脂肪が。横から見た腹部は張り出して垂れ下がり、上から見た腰のくびれはなく背面は顕著に広がっている。

 

【BCS4/やや肥満】
肋骨は脂肪に覆われ、触ることはやや難しい。上から見たら腰のくびれはあまりなく、横から見る腹部のへこみもほとんどない。背面はわずかに横に広がっている。

 

【BCS3/理想的】
肋骨には薄い脂肪に覆われ、触ることができる。上から見ると、肋骨の後ろに適度な腰のくびれが見られ、骨格を触ることができる。横からは腹部の吊り上がりが見られる。

 

猫のボディ・コンディショニング・スコア

【BCS5/肥満】
肋骨や背骨は非常に厚い脂肪に覆われ、触るのは困難。横から見た腹部の吊り上がりは丸く、上から見て腰のくびれはない。脇腹のひだが目立ち、歩くと盛んに揺れる

 

【BCS4/やや肥満】
肋骨は厚めの脂肪に覆われ、触るのも少し難しい。横から見た腹部の吊り上がりはやや丸くなり、脇腹はかすかに窪んでいる。脇腹のひだは脂肪で垂れ下がり、歩くと揺れる。

 

【BCS3/理想的】
肋骨はわずかな脂肪に覆われているが、容易に触ることができる。上から見ると腰に適度なくびれがある。横から見ると腹部の吊り上がり、脇腹にひだがある。

 

ルール2:適正体重は愛犬・愛猫の1歳のときの体重を目安に

犬や猫のダイエットを行う場合も、人間同様、具体的な目標体重を設定することがまずは大切。
その目標の参考値となるのが、成長期が終わった1歳時の体重です。

「成犬、成猫になった1歳時がBCS3の健全な状態であることが大前提ですが、その数値がそのコの理想体重として一つの目安になります」と徳本さん。

動物病院では必ずといっていいほど体重測定をするため、それを教えてもらうと後々もチェックしやすいですよ。

 

ルール3:食事は減量用の低カロリーフードで。目標体重に合わせてエネルギー管理

目標体重が定まれば、それに合わせた1日の摂取カロリーを確認(上記参照)し、食事量を決めましょう。
食事は低カロリーフード(AAFCO・米国飼料検査官協会による基準では、犬用315kcal/100g、猫用325kcal/100g ※ドライフードの場合)を選んで。

「1日分をきちんと量って、袋などに取り分けておくと食べ過ぎ防止に。どうしてもおやつを与えたいならば、その分、主食を減らして。犬はそれを小分けにして、少量頻回で与えましょう」(徳本さん)

 

ルール4:1週間で現体重の0.5〜2%減ペースを目標に

ダイエット前には、愛犬、愛猫の病気の有無をきちんとチェックを。
それをクリアしたら減量ぺースは、1週間当たり現体重の0.5~2%減を目安に行って。

「無理をしてハイペースで行うと、脱水症状を起こしたり、筋肉も一緒に減ったりするので医学的に正しい減量とはいえません。だからといって、だらだら長く行えばいいわけではなく、何年もかかってしまうと飼い主のモチベーション自体が続かないパターンがほとんど。2~3ヵ月を1クールとして行うのがベターです」(徳本さん)。

 

ルール5:猫は食事管理が中心、犬は運動もしっかりと

ダイエットにもう一つ必要なのは運動。特に犬は散歩が欠かせません。

「走るなど激しい運動の方がエネルギー消費量が多いと思われがちですが、重要なのは移動距離。1日に必要な散歩時間は、約20分~1時間。軽い運動を長く続けた方が効果的なので、1日2回に分けて各20~30分散歩するのもおすすめです。また猫の場合は、避妊・去勢によって運動する気力も量も落ちるため、遊びによる運動不足解消にも限界が。ダイエットはあくまで食事でのコントロールが中心となります」(徳本さん)

 

いかがでしたか?
ルールをしっかり守って、健康的なダイエットをしてくださいね。

 

イラスト・泰間敬視 構成、文・野尻和代