- 藤岡みなみ
- ふじおか・みなみ/文筆家。暮らしの中の異文化をテーマにした『パンダのうんこはいい匂い』(左右社)が発売中。
藤岡みなみ|思い立ったがDIY吉日 <vol.25>
タレントの藤岡みなみさんが、モノづくりに対してのあれこれをつづるコラム連載!題字ももちろん本人。可愛くもシュールな世界観には、思わず引き込まれちゃいます。今回は、消しゴムはんこのDIYです。
没頭! 消しゴムはんこの秋。
―消しゴムはんこを彫ることにした。
私も心頭滅却して何かを彫りたい。仏像彫刻師のドキュメンタリーを見ていて思った。木の塊から魂を掘り出すその姿は神々しかった。
影響されやすい私は、さっそく消しゴムはんこを彫ることにした。いきなりスケールが下がったが、私は真剣である。何を彫ろう。
そうだ、ハロウィンが近いからハロウィンの絵にしよう。仏像から遠ざかり急にポップになったが、彫ることに没頭できさえすればそれでいい。
心頭滅却3点セット。
―無心になる没頭感。
土台に下書きをし、字の彫刻刀で丁寧になぞっていく。むむ、結構難しい。手が滑って削り過ぎたら取り返しがつかない。仏像より断然簡単だろうとナメていた。
特にカーブの部分が難しい。絵を正確に再現しようとするとかなりの集中力がいる。でも、この無心になる感じが気持ちいい。
私はDIYに「没頭」を求めているところがある。
線に味がある……気がする!
―味とは自然と出るもの。
完成するにはしたが、全然自信がない。かぼちゃやオバケの曲線が表現できていない気がする。
インクをつけておそるおそる押してみると、えっ、いい感じ!
心配していた部分がなんか全て味わいになっていた。
味ってきっと、わざと出そうと思っても出ないけれど、必死になると自然と出るものなのだろう。
自分の個性に悩むことがあったら、また消しゴムはんこを彫ろう、ガタガタのかぼちゃの絵を見ながらそう思ったのだった。
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藤岡みなみ
ふじおか・みなみ/1988年、兵庫県出身。テレビ番組・CMに出演からラジオパーソナリティ、エッセイストなど、幅広く活動。バンド「藤岡みなみ&ザ・モローンズ」ではボーカルを務める。
ブログ:藤岡みなみ 熊猫百貨店
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