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ガーデニング
Pacoma編集部

失敗しない!長ネギの栽培・育て方【プロ監修】

長ネギ(ユリ科)の栽培・育て方をご紹介。植えつけから追肥、土寄せ、収穫など、長ネギ栽培で失敗しない方法をプロに教えてもらいました。長ネギのプランター栽培方法もあり。【家庭菜園の基本シリーズ】

加藤正明さん

練馬区の農業体験農園「百匁の里」園主。 NHK Eテレ「趣味の園芸 やさいの時間」では、栽培管理や講師を務める。著書に『甘やかさない栽培法で野菜の力を引き出す 加藤流 絶品野菜づくり』(万来舎)がある。

長ネギを栽培する前に知っておくべきこと

長ネギの栽培方法は、一般的な野菜の育て方とはかなり異なるそう。
まず、あえて土が踏み固められている場所を選び、耕さず、土作りをせず、畝も立てずに溝を掘って長ネギの苗を植えつけていきます。
溝は土で埋め戻さずにワラを敷き、成長に合わせて追肥と土寄せを繰り返しながら育ててください。

長ネギの栽培において土作りをしない理由は2つ。
1つ目は土を耕すと溝の壁が崩れやすくなってしまうから。もう1つは、ネギの苗は植えつけ直後はあまり肥料分を必要としないという理由があるためです。
代わりに、月に1回の追肥で肥料分をしっかり補うことが大切なのだとか。

また、苗を植えた溝を土で埋め戻さずにワラを敷くのは、長ネギの根が多くの空気を必要とするためです。
土を厚くかけると根が窒息して育ちが悪くなるので、ワラで通気性を保つのがポイント。ワラを入手できなければ、乾燥させた雑草などで代用しても良いでしょう。

そして、長ネギの栽培で最も大切なのが、月に1回の土寄せ。収穫までに計4回、成長に合わせて少しずつ株の周りに土を寄せ上げることで、白い部分を長く美しく育てることができるんです!
このとき、葉の分かれ目の部分を土に埋めると新しい葉が出にくくなり、生育が悪くなるので気を付けてください。

長ネギの収穫は11月ごろから始められますが、一度に食べきれないなら植えたままにしておいてもOK。
必要な分だけその都度引き抜けば、2月いっぱいまで、おいしく食べられますよ。

【長ネギ栽培データ】

ユリ科 ●栽培スペース(※長さは自由。)幅:1m以上、株の間隔:5〜6㎝ ●適正pH 6.0〜7.0 ●気をつけたい病害虫:さび病、ネギアザミウマ、ハスモンヨトウ、アブラムシなど。 ※肥料は追肥で施すため、土には石灰と堆肥と肥料を入れず、畝も立てずに育てる。溝を掘るため、溝の壁が崩れないよう土がふかふかではない場所を選ぶ。

 

長ネギの栽培カレンダー

長ネギは市販の苗を利用するのが手軽。ポリポットの苗か、掘り上げた苗を入手して。

※寒冷地
植えつけ:5月上旬〜6月中旬 
収穫:10月上旬〜12月上旬

※暖地
植えつけ:6月下旬〜7月下旬
収穫:11月中旬〜2月下旬

※寒冷地・・・北海道、東北、新潟県、富山県、石川県、高冷地
中間地・・・福井県、関東甲信、東海、近畿、中国、九州北部
暖地・・・四国、九州南部、沖縄県

 

【6月中旬〜7月中旬】長ネギの植えつけ・敷きワラ

長ネギの栽培スペースをできれば東西方向に確保し、中央に深さ20〜30㎝、幅15㎝の溝を掘り、南側に土を盛ります。北側の壁から1㎝離して支柱を渡し、ペグなどで土に固定。
壁と支柱の間に5〜6㎝間隔で長ネギの苗を置いてください。

【Point】溝の底に乾燥ワラを敷く


南側に盛り上げた土を、根が隠れる程度に薄くかけて手で押さえ、上からワラを入れて根元を覆います。
植えつけ後の水やりは不要。

1週間後、葉がピンと立っていたら根づいた証拠です。溝に渡していた支柱を外してください。

 

【7月中旬~10月中旬】追肥(1~4回目)

植えつけの1ヵ月後、溝の中に敷いたワラの上に化成肥料(N-P-K=8-8-8)40〜50g/㎡をまきます。
追肥は以後も7月中旬から10月中旬の期間に月1回、同じ量を散布して。

肥料が不足すると太い長ネギに育たないので、忘れずにおこなってくださいね!

 

【7月中旬~10月中旬】土寄せ(1~4回目)

7月中旬から10月中旬の期間に月に1回、収穫までに計4回、追肥と同時に土寄せをするのも栽培ポイント。

1回目は植えつけの1ヵ月後、溝の約半分の深さまで土を入れて。
2回目は、溝が完全に埋まるくらいに寄せます。3回目は高さ30㎝、4回目は高さ40㎝くらいに土を盛り上げましょう。

いずれの場合も、長ネギの葉の分かれ目を埋めないようにしてください。

 

【11月上旬〜2月下旬】収穫

最後の土寄せの約1ヵ月後から、太く育った長ネギから収穫スタート。

白い部分が土で遮光され、緑色の色素が抜けて掘りごろになります。
クワやスコップで土の山を根元まで崩し、手で引き抜いて。

一度に収穫しない場合は、空いた穴を埋め戻してください。

 

【Column】長ネギのプランター栽培のポイント

土寄せの代わりに、土を足す「増し土」で育てます。

深さ40㎝程度の横長プランターの底に、深さ10㎝くらいまで野菜用培養土(元肥入り)を入れてください。
プランターの長い辺の壁に苗を立てかけ、根元に軽く土をかけて。培養土は通気性が良いのでワラは不要。

過度な水やりは避けましょう。1ヵ月後、化成肥料20gを追肥し、10㎝ほど土を足し入れます。月に1回、これを繰り返して。

 

【長ネギレシピ】長ネギのポタージュ

大事に育てた長ネギを美味しくいただくためのレシピをご紹介。
長ネギ+ショウガで体がポカポカになること間違いなしです!

 

    【材料】(2人分)

    • 長ネギ・・・2〜3本
    • ジャガイモ・・・2コ
    • ショウガ・・・1かけ
    • 豆乳(無調整)・・・2カップ
    • 固形コンソメの素・・・1コ
    • オリーブオイル・・・大さじ1/2
    • 水・・・1/2カップ
    • 塩・・・適宜

     

    【作り方】

    1. 長ネギは、白い部分を斜め薄切りにする。ジャガイモは、皮をむいて薄い輪切りにする。ショウガは皮ごと薄切りにする。
    2. 厚手の鍋を弱めの中火にかけて、オリーブオイルとの材料を入れ、ジャガイモが透き通るまで炒める。水と固形コンソメの素を入れ、煮立ったら豆乳を加えて火を止める。
    3. 2をフードプロセッサーにかけて滑らかにし、鍋に戻す。中火にかけ、混ぜながら温める。好みにより塩少々で調味し、椀に盛る。

 

長ネギの栽培方法・育て方はいかがでしたか?
栽培ポイントを覚えて、美味しい長ネギを収穫してくださいね!

 

写真・渡辺七奈/万来舎・丸山滋/八木竜馬
イラスト/服部あさ美
構成、文、料理写真、料理監修/北村文枝