- 菅原さくら
- 1987年の早生まれ。ライター、編集、雑誌『走るひと』副編集長など。人となりに焦点を当てたインタビューや対談が得意。雑誌やWebメディア、広告・採用、コピー、パンフレットなどさまざまなものを書きます。
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シッターサービス『キッズライン』って実際どう? 100回以上使った私が答えます【サクライク vol.5】
子育てをサポートしてくれるサービスは、忙しい親の強い味方。保育園に入る前、我が家はベビーシッターにずいぶん助けられました。話題のベビーシッターマッチングサービス『キッズライン』を徹底解剖します。
子どもを産んで一番困ったのは、やはり仕事との両立。フリーランスには産休や育休がないうえ、息子は0歳児で保育園に入れなかったため、早急に子どもの預け先を見つける必要がありました。そこで出会ったのが、ベビーシッターマッチングサービスの『キッズライン』です。
▲『キッズライン』のWebサイト
仕事の現場で「ベビーシッターさんに来てもらってるんです」と話すと、たいてい「高くないの?」「どんなひとが来るの?」「知らない人が家に入るとか怖くない?」と聞かれました。
では、その疑問をつぶしていきましょう。今回のサクライクでは、1年間で100回以上使ってわかった“ベビーシッターの魅力”を、ご紹介します。
目次
ずばり、高くないの?
払うお金は、シッターさんの時給&交通費と手数料10%のみ。時給はシッターさんがそれぞれに設定していて、1,000~3,000円などとさまざまですが、おそらく1,500円くらいがボリュームゾーンです。
ただし、0歳児保育はやや高め。保育園や幼稚園での勤務歴が長かったり、英会話やモンテッソーリ教育などの特別なスキルがある方も、高い傾向にあります。また、前日・当日の予約や2人以上の預かりなどにはオプション料金がかかる場合も。でも、予約確定前にきちんと見積りがもらえます。
我が家は0歳児から預けていたので、1,500~1,600円くらいの方を中心にお願いしていました。でも、1,200円の方のときもまったく問題はなかったし、個人の相性もあるので、いちがいに値段だけでは判断できない気がします。それから、入会金や月会費がないのも高ポイントでした。
どうやって予約するの?
Webのマイページやアプリで日時を指定して、対応できるシッターさんを検索するのが基本。お気に入りのシッターさんのスケジュールから、空いている日を狙って予約することもできます。
会員ログインでは顔写真や詳しいプロフィールのほか、実際に依頼したユーザーのレビューが読めるので、判断材料が多いのも◎。子どもの生活習慣や依頼内容などは、事前にアプリのメッセージ機能でやりとりができます。移動中や寝かしつけ中にも、iPhoneからさくっと予約できて、すごく便利です。
毎回、同じシッターさんが来るの?
シッターさんによっては、曜日や時間で定期利用ができます。私は仕事の予定が不規則なので、アポが入るたびに調整する不定期利用に。使い始めから約4ヶ月間で10人以上のシッターさんを頼み、特にいいなと思った3人を“スタメン”に決めて、以降はなるべくそこから予定の合う方にお願いしていました。
なかでも一番親しかった方は、コンスタントに週2くらい予約。もちろんスタメン全員がNGの日もあるので、最終的には20人くらいのシッターさんに来てもらったと思います。おかげで、息子はぜんぜん人見知りがありません!
どんなシッターさんがいるの?
保育学科の学生さんから、4人の子育て経験がある60代主婦まで、年齢や経歴はさまざま。私は年の近い人がよかったので、なるべく20~30代の方にお願いしていました。保育園や幼稚園の勤務経験がある方が多く、私なんかよりよっぽど子どもの扱いに慣れているわけだから、安心です。
預けている間、子どもはどんなふうに過ごすの?
我が家は0~1歳で預けていたため、一緒に遊ぶというよりはまだ保育がメイン。ミルクを飲ませて、おむつを替えて、お昼寝をさせてくれます。とはいえ、音の鳴るおもちゃを持参してくれたり、手遊びをしながら歌いかけたり、いろいろ工夫をして過ごしてくれました。
▲紙粘土や絵の具で手形を取って、季節のかわいい工作にしてくれたことも。
少し動けるようになってからは、カギを預けて、ベビーカーで近所のお散歩にも行ってもらったり。子どもがお昼寝をしているあいだに、シンクに残った洗い物をさっとやってくださる方もいました。
▲子どもがどんなふうに過ごしたかは、細かいレポートが届く。過ごした様子だけでなく、さまざまな時刻まで細かく記入してくれる。
おまけに、保育園と違ってマンツーマンなので、風邪などを一切もらってきません。このすばらしさは、保育園にデビューしたてのご家庭なら痛いほどわかるはず。もし熱があったりしても、病児対応可のシッターさんなら、予定どおりにお世話をしてくれます。急きょ園にお迎えに行く、なんてイベントが発生しないわけです。
知らない人が家に入るとか、怖くないの?
私は100回以上も利用して、イヤな思いをしたことは一度もありません。でも、こればっかりは人にもよるだろうから、なんとも言えない、というのが正直なところ。
たとえば子どもが部屋を汚して、さっとタオルで拭いてくれたとき「え? 勝手にタオルの棚あけたってこと? この調子で寝室とかも見てるんじゃないでしょうね」なんて思ってしまうひとには、シッター活用は向いてないかも……。シッターさんとの相性もありますが、ご自身の性格にもよりけり、かと思います。
シッターさんはどんなことを考えているの?
インタビューしてみました! お話を聞いたのは、シッター歴8年の大久保さん。息子が0歳児のとき週2回はお世話になっていた、我が家の“エース”です。
――まずは、ベビーシッターになった経緯を教えてください。
15年ほど保育園やインターナショナルのプレスクールに勤務したのち、ベビーシッターになりました。キッズラインには、2年前から登録しています。
保育園での保育は、子どもの個性を充分に伸ばしてあげられないことが少なくありません。集団生活だから仕方ないとはいえ、もっと一人ひとりの希望に寄り添ってあげたい。だから、子どものリズムに合わせて、その興味や関心を最大限に引き出してあげられる、1対1のベビーシッターに転職したんです。
▲妙にえらそうな息子に、にこにことランチを食べさせてくれる大久保さん。
▲食事が済んだら、大久保さんが持ってきてくれたビニール風船で遊ぶことに。家にはないおもちゃに、息子、釘付け!
――どんなことに心がけて、シッティングをしていますか?
まずは、ケガがないように。それから、子どものリアクションをよく見て、なんでも柔軟に動くようにしています。音楽が好きそうなら歌をたくさん歌ったり、細かい作業が好きならブロックを持参してみたり。ごはんよりも遊びを優先したがるときは、順序を入れ替えたりもします。
その子が興味を持って取り組めることに、心ゆくまで時間を使えるのが、保育園との違いです。保護者さまからの依頼があれば、水族館や動物園などにお出かけすることもできます。
▲外から何かのアナウンスが聞こえてきて、ベランダを指さして「あったー!」と言う息子。大久保さんも「あったねー!」と答えてくれています。何もないのに、話を合わせてくれるやさしさ。
――保護者とのコミュニケーションで、気をつけていることはありますか。
こちらの経験や知識はいったん置いておいて、ご家庭のやり方に合わせることです。おうちに訪問する以上、家々のルールに則って過ごさなければ、保護者さまも気持ちよく頼めない。
「お散歩は絶対に1時間行ってほしい」「おしっこのおむつを替えるときも、濡らしたコットンで拭いてほしい」など、細かなご要望もしっかりと伺います。なにかご相談を受ければ、こちらからアドバイスすることもありますが、押しつけがましくならないように気をつけていますね。
▲細かい作業が好きな息子。小さなチューブのフタをうまく締めることができてうれしそう。そして大久保さん、隣で盛り上げ上手です。
定期的に遊んでもらっていたからか、息子も大久保さんにはとりわけなついています。撮影するために私が側にいても、大久保さんとキャッキャッしている様子から、その関係性が伝わるのではないでしょうか。
今年の4月からは保育園に入り、なかなかお願いする機会もなくなってしまったけれど「久々に伺うときは、どれくらい成長しているのかワクワクします!」とのこと。まるで自分の子どものように、かわいがってくれています。
シッターさんのおかげで、私も息子も楽しく過ごせた1年間
生後3週間から保育園に入れるまで、キッズラインには丸1年間お世話になりました。もちろん経済的にはしんどかったけれど、結果として、息子はなんだか得をしたような気もしています。
何人もの手で保育をしてもらって、いろんな人がいることや、いろんな遊びがあることを知って、きっと経験値が上がったはず。私がたった一人で向き合って、イライラしながら育てるよりも、ずっといい。もちろん私も、やりたい仕事を思いきりできて、いつも楽しくいられました。
我が家のように保育園に入れなかったときは、投資と割り切って、シッターさんを活用するのもおすすめ。待機児童施策の一環として、シッターサービスに使えるバウチャーがもらえたらいいのに、と思います。もちろん、短時間の利用もできるので、夫婦のお出かけに使うのもいいですね。