- 藤屋翔子
- フリーライター・編集者。編集プロダクションでガーデニング誌やインテリア誌などの編集とライティングを経験。おもに暮らしや手づくりにまつわる記事・コンテンツ制作に携わる。
【プロ監修】パキラの育て方|観賞植物・図鑑
100均でも見ることが多くなった観葉植物・パキラの育て方を、植物のプロに教えてもらいました。置き場所や挿し木、肥料、ハイドロカルチャーなど、初心者向きの情報が満載。落葉や徒長など、困ったときに役立つQ&Aコーナーもあるので、ぜひチェックしてみて。
目次
パキラの特徴
日当たりのよい場所に置けば、すくすくとよく育つパキラ。1か所から手の平を広げるように葉をつけ、すっきりと整った樹形に育つのが特徴です。
幹を編み込みしてあるパキラも表情があって素敵ですよね。
少しの乾燥なら耐えられるので、ちょっと水やりを忘れたとしても心配ご無用。どんなお部屋にも合わせやすく、初心者でも安心して育てられる観葉植物です。
- 難易度 初心者向き
- 耐寒性 やや弱い
- 耐陰性 あり
- 耐暑性 あり
- 乾燥 やや強い
- 樹高 〜2m
パキラの育て方
パキラの育て方で押さえておきたい3つのコツ!
- コツ1 徒長を防ぐため、日当たりのよい窓際で管理!
- コツ2 パキラは寒さが苦手! 冬でも5℃以上をキープして
- コツ3 水やりの加減は季節によって調整!
パキラの育て方【基本編】
- 水やり
- 春〜秋の水やりのタイミングは、「土が中まで乾いたら」が目安。さて、どうやって土の中の状態をチェックすればいいでしょう?
簡単なのは、鉢を持ち上げてチェックすること。水やりをした直後に比べ、土が中まで乾いた鉢はうんと軽くなっているはずです。
冬は根腐れ防止のため、水やりの頻度は少なめに。乾いたかなと思ってから4、5日後くらいで大丈夫です。
ジョウロで水をやる際は株元に与えますが、土全体にまんべんなく水が行き渡るようにいろんな方向から注ぎましょう。鉢底から水が流れ出るまでたっぷりとやり、受け皿にたまった水はかならず捨てること。
また、霧吹きなどでパキラの葉に直接水をかける「霧水」は毎日行うのがおすすめです。葉についたほこりを落として光合成しやすくするのと、エアコンを使う季節は乾燥を防ぐ役目もあります。
正しい水やり方法についてはこちらの記事もチェックしてみてくださいね。
- 土の選び方・肥料
- パキラが好むのは、水はけのよい土。初心者なら、鉢底に入れる赤玉土と市販の観葉植物用の土を用意するといいでしょう。
肥料は4~7月と10月に緩効性の固形肥料を与えます。
- 置き場所・日当たり・温度
- パキラの理想の置き場所は、日当たりのよい窓際。特に生育期にあたる5〜7月は室内でもしっかりと日が当たる場所で管理します。真夏の直射日光は苦手なので、8月の間は明るい日陰くらいの場所がベスト。半日陰でも栽培できますが、あまりに日照が不足すると「徒長」と呼ばれる枝がひょろひょろと長く伸びる現象が起きてしまいます。午前中の光だけでも当たるような場所を探してあげましょう。
また、熱帯原産のパキラは耐寒性があまりなく、冬の寒さには注意が必要です。日当たりのよい窓際に置くのがおすすめですが、屋外の冷えた温度が伝わる夜間は窓から離れた場所に移動しましょう。
パキラの育て方【シーン・トラブル編】
- 剪定
- パキラは生長が早いので、「思ったよりも大きくなってしまった!」なんてこともあります。そんな時や、徒長して株姿が乱れた時は、枝を剪定して新しい枝を育てましょう。
適期は根の動きが活発な5月で、カットする位置は基本的にどこでもOK。
編み込みされた木なら、編み込みが終わったところまで切り戻すのがおすすめ。すぐ下から新芽が出てくるので、整った樹形に育ちます。
- 植え替え時期
- 下の葉が落ちてしまった場合は、鉢の中で根がまわりきって根詰まりを起こしている可能性が大。鉢の底穴を見て、根が出ていたら植え替えを行いましょう。
適期は5~7月か10月。特に5月は根の動きが活発なのでおすすめです。ひとまわり大きな鉢と新しい土を用意して、まずは枝を剪定。
鉢から根を出したら、古い土を落として植え替えます。
植え替えについて詳しい方法を知りたい方はこちらの記事を参考にして。
- 増やし方
- パキラの増やし方は、剪定で切った枝を使った挿し木がおすすめです。先端から20cm程度で斜めにカットして、下のほうの葉は取ってしまいます。
さらに、葉から水分が蒸散しすぎないよう、葉は半分くらいにカット。枝の断面を水につけてから土に挿します。
根が生えるまでは、こまめに水やりをしながら明るい日陰で管理しましょう。
- 病害虫
- パキラはとても丈夫なので、病害虫の心配はあまりありません。風通しが悪くなると葉に茶色の斑点が出る「炭そ病」が出ることがあるので、葉があまり混み合わないよう適宜摘み取ってください。
虫は、真夏に発生しやすいハダニだけ注意が必要。ハダニは葉の裏に寄生しますが、湿り気が苦手なので毎日の霧水を葉の裏にもかけることで予防できます。
もしハダニを発見したら、その葉を切り取って広がるのを阻止しましょう。
- 冬越し
- パキラは熱帯原産の植物。冬でも5℃以下にならないよう、室内の日当たりのよい窓際で管理しましょう。
夜間に冷え込むと室内でも5℃を下回ることがあるので夕方過ぎたら窓から離れた位置に移動してあげてください。
また、水やりの頻度は少なめに。エアコンの風で空気が乾燥している場合は、霧水をしっかり与えてください。
プロが答える! 初心者のためのQ&Aコーナー
Q.ハイドロカルチャーでのパキラの育て方のコツは?
土を使わず、底穴のない鉢でも栽培できる「ハイドロカルチャー」。なにやら難しそうですが、日本語にすると水耕栽培。土の代わりにハイドロボールやジェリーボール、カラーサンドなどの資材に植える栽培方法です。
栽培のコツは、植えつけの際に根腐れ防止剤を入れておくこと、直射日光を避けて管理すること。底穴から水が抜けない分、水やりの頻度は少なめです。鉢の底に水がなくなってから2、3日後にやるくらいがベスト。
ガラス容器を使えば、おしゃれで資材の様子もよく見えるので一石二鳥ですね。
Q.室内で育てているのですが、葉が茶色になって落葉します。原因と対策を教えて!
パキラの葉が茶色く枯れるのは、根腐れか根詰まりが原因と考えられます。自然に枯れたというより、根に問題があると考えましょう。
根腐れは水のやりすぎによって起こるので、水やりをいったん休んで置き場所を見直します。
もし幹の根元がやわらかくなっていたら、根腐れがかなり進行しているサイン。残念ですがその木は諦め、健康な枝が残っていれば挿し木をして新しい木として育てましょう。
根詰まりの場合は、「植え替え」の項目を参考に植え替えをします。
植物が枯れる原因とその対策についてさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事もチェックしてみてくださいね。
Q.パキラを室内で育てていますが、ひょろっと細長くなってしまいます。原因と対策は?
これが徒長という現象です。日照不足が原因なので、置き場所を見直してあげましょう。室内でも、窓際など日が当たる場所が理想です。
あまりに株姿が乱れている場合は、すべての枝を切り戻してあげると新しい芽が出てまた整った株に生長します。
(写真 木村 武司)
監修「グリーンインテリア」
今回監修していただいたのは、観葉植物専門店「グリーンインテリア」。
常時200種類以上1000鉢以上ものグリーンを揃える店内はさながらジャングル!
知識豊富なスタッフばかりだから、栽培トラブルや植え替えなども気軽に相談できます。