- 馬場吉成
- webライター。100kmマグロ担いで走ったり、色々なものを発酵させたり。 日本酒、料理、体力系記事など色々書いてます。製造業を中心に企業向けの記事も色々書いています。 利き酒師で、元機械設計屋で元プロボクサー。ウルトラマラソン走ります。 米の飯と日本酒が有れば大体なんとかなります。
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▼ ライター以外に日本酒と発酵食品をメインにした飲み屋も経営しています。 「酒と醸し料理BY」 http://kamoshi-by.tokyo/
自作オレンジオイル配合洗剤で108の煩悩を消してみた。
オレンジの皮からオレンジオイルを抽出して自家製オレンジオイル配合洗剤が出来ないでしょうか?やってみました。そして煩悩を消し去ってみました。
ガンコな汚れをしっかり落としてくれるオレンジオイル配合洗剤。床や壁、換気扇まわりなど、大掃除の時に大活躍してくれます。オレンジオイルは主にオレンジの皮に含まれていますが、それを抽出出来たら食器洗剤などに混ぜて自家製オレンジオイル配合洗剤が出来ないでしょうか?
ということで作ってみました。
目次
その名は「リモネン」
ガンコな汚れを落としてくれるオレンジオイルの主な成分はリモネンという物質です。
柑橘類の皮に多く含まれ、甘酸っぱい爽やかな香りの素でもあります。発泡スチロールやゴム、プラスチックなどを溶かす作用もあります。このため、洗剤の他、香料や接着剤としても使われています。
理科の実験で、風船にミカンの皮をこすり付けて割るなんて事をやった方もいるかもしれません。あの、ミカンの皮を押しつぶした時に皮の表面からにじみ出してくる液体。あれがリモネンを含んだオレンジオイルです。
コールドプレス法で抽出しているそうです
では、オレンジの皮からオレンジオイルを抽出していきます。こういう物から成分を抽出する方法としては、溶剤抽出法や水蒸気蒸留法など色々あります。
調べたところ、工業的にオレンジオイルを取り出す際には、コールドプレス法というやり方で行われている事が多いようです。低温圧搾。
簡単に言えば生絞りでしょうか。
溶剤抽出や水蒸気蒸留はそれなりの道具が必要ですが、生絞りならばなんとかなりそうです。ということで、白い部分が多く残るように皮をむきました。その数6個。オレンジオイルは皮の表面近くに多く含まれています。
これを絞りやすくするために、フードプロセッサーで細かく砕きます。砕いた物をフキンで包み、あとは雑巾を絞るように渾身の力を込めて絞り上げればオレンジオイルが出てくるはず。
そして出てきた液体がこちら。
おやっ?これは予想外。
いや、出てきた量が少ないというのではなく、黄色いということが。リモネンは本来無色透明な液体なのです。
黄色いにも程がある。
ただ、かなりオレンジの香りが強く、少なからずともリモネンは含まれていそうです。皮の表面の色素などが混じっているのでしょう。そうだ、そうに違いない。
不純物を取り除けば透明なリモネンの部分(?)だけが残るはずです。さて、どうするか。
ペーパーフィルターでろ過してみます。
量が少ないので、フィルターに吸われて少なくなるリスクはありますがやってみます。
色は・・・同じですね。一応フィルターに細かい繊維状の物が多数残っていたので、大きめの不純物は回収できたでしょう。これ以上何かやって更に量を減らすわけにはいかないので、これでよしとします。
手作りは勢いが大切。
次の段階へ進みます。
市販の食器洗剤に混ぜて完成
つづいて、抽出したオレンジオイルを市販の食器洗剤に混ぜます。
オレンジの皮からていねいに抽出した天然オレンジオイルをたっぷり配合した住宅用洗剤「スーパーオレンジ」のUYEKIのホームページを見ると、「天然ヤシ油を主原料とした界面活性剤に、オレンジオイルを配合した洗剤」とあったので、こちらの洗剤に混ぜてみます。
手肌にやさしいSARAYAのヤシノミ洗剤です。手絞りオレンジオイルとヤシノミ洗剤。大掃除の水仕事による手荒れもこれで少しは解消されるでしょうか。
さて、肝心の混ぜる量ですが、色々調べてみるとオレンジオイルと大体同じ量の洗剤を混ぜればよいようです。あとは水で薄めます。
本来、洗剤に含まれる界面活性剤の量によって混ぜる量も変わるらしいのですが、肝心のオレンジオイルがどの程度の純度か分からないので、皮から絞った液と同僚のヤシノミ洗剤をいれました。
水で薄めて手作りオレンジオイル配合洗剤完成です。
少し白く濁ったような黄色い液体ができました。では実際にこれで汚れを落としていきます。ガンコな汚れも綺麗に落としてくれる・・・はずです。
市販品と比べてみよう
汚れ落としのテストとしてこちらを用意しました。
UYEKIのスーパーオレンジ。そしてホームセンターで売っていた壁材の端材と油性マジックです。
いきなり家の壁や床を油性マジックで汚して消すなんて実験をすると、汚れがちゃんと消えたとしても家庭内に不穏な空気が残ってしまいそうなので、安全策として適当な板で実験します。
こういう実験は段取り大事。あと家族の理解。
ではまず、出来上がった手作りオレンジオイル配合洗剤の洗浄力の確認です。そのままのヤシノミ洗剤と比べます。油性マジックで板に書いた文字を消してみます。
本来ヤシノミ洗剤は台所用。無香料、無着色でヤシノミ由来の植物性。その用途は食器だけでなく、野菜などにも使用可能です。高い生分解性と洗浄力がありますが、壁の油性マジックの汚れを落とすことは想定外。どの程度落ちるのか?
用途外の使用ですが、少量を直接かけてそれをキッチンペーパーでふき取ります。
ある程度は煩悩という汚れ(ヨゴレ?ケガレ?)が消えました。
では手作りオレンジオイル配合洗剤ではどうか。
同様に油性マジックでかかれた文字を消していきます。
2、3回スプレーしてキッチンペーパーでふき取ります。
多少薄く残りましたが、概ね消えました。
オレンジオイルパワーは備わっているようです。これなら市販品にも対抗できるかもしれません。
いよいよ市販品と対決
では市販品のオレンジオイル配合洗剤からいきます。
汚れ(煩悩)の数を108に増やしました。これを消していきます。
今年の煩悩今年のうちに。
全体に軽く吹きかけてキッチンペーパーでふき取ります。
出だしから見事な洗浄力!
汚れのついたキッチンペーパーを変え、追加で吹きかけることなく煩悩はどんどん消えていきます。
108の煩悩は綺麗に消えました。
煩悩からの解脱。
じゃなくて掃除完了。実に見事な洗浄力です。
続いて、手作り品でも108の煩悩に挑みます。
全体に吹きかけます。
いざ、ふき取り!
少しずつ消えていくもののやや苦戦か!
落ち切らない!追加吹きかけ!
まだ、まだ!さらに追加吹きかけだ!
ここまでか!
かなり善戦しましたが、全体的に薄く残ってしまいました。何度もかけてふき取っていけばいずれか完全に消しさる事が出来るかもしれません。しかし、その頃には大掃除シーズンが終わっていそうです。
手作り品、市販品には洗浄力及ばず。煩悩がモヤッと残ってしまいました。
残念。
市販品は素晴らしい
市販品に洗浄力で負けてしまいましたが、実は手作り品はもう一つ圧倒的に負けている点があります。
それは価格です。
- 市販品:100ml 約190円(ホームセンターでの購入価格より)
- 手作り品:100ml約410円(スーパーでの購入価格より)
今回手作り品はオレンジ6個と洗剤や水を足して100ml程度の量ができました。同じ100mlあたりで比べると、その価格は市販品の2倍ほどになってしまいます。しかも洗浄力でも負ける。
市販品は凄いです。素早く汚れを落としたい方は売っているオレンジオイル配合洗剤買ってきましょう。ガンコな汚れもよく落ちます。
どうしても自分で作ってみたいという方は、リモネンの液体がアロマオイルなどの形で市販されているので、それを使うといいでしょう。洗浄力はともかく香りはいいです。
UYEKI スーパーオレンジ(住居用)
SARAYA ヤシノミ洗剤