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藤岡みなみ|眠っていたアンティークの家具

藤岡みなみ|眠っていたアンティークの家具

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藤岡みなみ(ふじおか・みなみ)
藤岡みなみ文筆家。所持品ほぼゼロから100日間暮らす『ふやすミニマリスト』
(幻冬舎文庫)が発売中。
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眠っていたアンティークの家具

2025年の秋、古い蔵を改装した物件で書店をオープンした。

ありがたいことに、お店で使用する家具や什器も、蔵や母屋に保存されていたものを使わせていただけることになった。

桐箪笥やライティングビューロー、壁掛け時計など、古いものだと100年以上前の品もある。

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▲ 古い家具はよみがえるのか

たいてい裏側に「大正貮年拾二月得之(大正2年12月これを得る)」など、購入した日付が墨で書かれている。

その筆跡を見ると、家具に染み込んでいる持ち主の時間を感じてはっとする。

デザインも美しく、強度も申し分ない。

ただ、長年使われずに保管されていたためそれなりに汚れている。

お店の開店に合わせて家具たちの復活大作戦を決行した。

拭いて、拭いて、拭きまくる。

何度拭いても雑巾がずっと真っ黒。

5回拭きあげたところで、やっと汚れが薄くなってきた。

無心で磨いている時間がいい。

他人のものだった道具が、少しずつ自分に近づく気がする。

仕上げに蜜蝋ワックスなどを塗った方がいいのかと思ったが、アンティークに詳しい知人に聞くとそのままでもよいのだという。

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▲ 113年前の引き出し家具

たしかによく拭いた家具たちはもうすでにぴかぴかだ。

表面の傷にも物語を感じる。このままがいい。

壁掛け時計のネジを巻くと、振り子が揺れて針が進んだ。

止まっていた時間がいま、新しく動き始めた。