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カルチャー
西方凌

西方凌「キッチンに欲しかったのは厚さ12cmの棚」【理想の家具をDIY】

その男前なDIYerっぷりが反響を呼んだインタビュー記事を受けて、西方凌さん自身がDIYライフをさらに深く語る連載が開始。今回は処女作「ジャストサイズの棚」についての話です。

DIYに魅せられて。西方凌の連載、始まります。

Pacoma読者の皆さま、初めまして。

よしもとクリエイティブエージェンシー所属タレントの西方凌(にしかた・りょう)と申します。おもに主婦、時々テレビのお仕事をさせていただくかたわら、趣味のDIYで家具などを製作しています。

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DIYを始めたのは3年ほど前。

イメージしている家具になかなか出会えず、「売ってないなら作ればいいんだ」と、少ない工具を駆使して、ひとつの棚を作ったのが始まりでした。

イメージしていた通りの家具ができあがった時の満足感。困難な作品を仕上げた時の達成感。ひとつ作り終えるとすぐに次の作品のことを考えてしまうようになり、いつの間にか作品はどんどん増え、同時に工具も増え……、気づけばすっかりDIYに魅せられていました。

そんな私が、Pacomaで自身のDIYを紹介する連載【理想の家具をDIY 西方凌】を始めることになりました。

独学で突き進んできた自分のやり方や作品を紹介することに緊張もありますが、皆さまがよりDIYを楽しんで頂けるような、「そんな考え方もあるのね」と少しでもお役に立てるような、そんな記事ができたらと思っています。どうぞよろしくお願いします。
 

“ジャストサイズ”の棚をDIY

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この棚は、DIYに魅せられるきっかけとなった私の初めての作品です。

キッチンの壁に「コップ1つ分の厚み」の棚が欲しかったのですが、イメージしていた厚さ12cmほどの棚は、なかなか見つかりませんでした。

諦めきれず「ないなら作っちゃえ!」と、製作することに。
 

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自分で作る家具の最大の魅力は「ジャストサイズ」な家具になるところだと、私は思っています。

この隙間に入る棚が欲しいとか、これを飾る棚が欲しいとか。空間に対する家具の大きさはとても大切です。毎日使う物であれば、なおさら無駄をなくしたいですよね。
 
そんな思いから製作することを決めたのですが、当時持っていた工具はノコギリとトンカチくらい。何から始めたらいいのかも分からない……。手探りでDIYを開始しました。
 

頭の中のイメージを描き出す

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私が製作の中で一番はじめにすることは、図面を描くことです。

図面と言っても “メモ” のようなもので、自分が理解できれば大丈夫です。頭の中にある理想の棚を簡単に絵で描き、そこに理想の寸法などを細かく書き込んでいきます。完成した棚にしまいたいグラスのサイズを測り、幅や高さを決めていきます。

デザインが固まってきたら、製作手順を想像して箇条書きにしていきます。頭の中で一枚の板からだんだんと組み立てていき、疑問が出てきたらそれらも書き出して、解決方法を書き込みます。

この棚の場合、扉の重量が不安だったので、ガラスをアクリル板で代用しました。
完璧な物を作ろうと思わないで「本物に似せれば充分」という気楽な気持ちで製作しています。
 
ある程度、図面と頭の中でイメージができたら、必要な材料を購入します。私はいつもネットで木材を購入します。ミリ単位でカットしてくれるオンラインショップが多いので、ノコギリが苦手な方や電ノコを持っていない方にはオススメです。
 
木材を買うときのポイントは、事前にしっかり製図を作っておくこと。そうすれば、カットされた材料を組み立てていくだけで済みます。
 

失敗を嘆かず、生かす

ゆがんだ部分は、飾り金具で隠しても◎

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へたっぴですねー。

電ノコを持っていなかったので、悪戦苦闘しながら切った結果、かなり歪んでいます。

切っても切っても歪んでしまい、ここのパーツだけ買い足した記憶があります。
ようやくギリギリ合格ラインになった切り口は、それでもゆがんでいて、「どうにか誤魔化すことはできないか」と考えた末、飾り金具で隠しちゃうことにしました。

でもそれが、補強にもアクセントにもなってくれ、結果的に失敗を生かすことができたのです。
 

はみ出たボンドをごまかし、お洒落度もあがる「モールディング」

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こちらも、製作の過程で、アクリル板を固定するためにつけたボンドが表から見えてしまったので、上からモールディング(枠の装飾部分)をつけました。

 

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アクリル板に貼り付けてあるだけなので、裏から見るとこんな感じ。

こうした飾り金具やモールディングなどの、ちょっと特殊なパーツや珍しい道具は、お店で見つけることが多いです。

私はよく、用事もないのにホームセンターやDIY専門店に行きます。そこで何に使うか分からないパーツを見つけるとワクワクするんです。「こんなパーツがあるんだ」と知っておくことで、失敗を生かすヒントにもなります。

お店に行く時間がない場合は、工業用の資材を販売しているオンラインショップをのぞくのもおすすめです。
 

本物をよく観察する

よりアンティークに近づけるため、傷をつける

形が完成したら、いよいよ塗装です。

アンティーク風にしたかったので、失敗によってあちこち傷ついたり歪んでしまったことはむしろ好都合。味を出すため、塗装の前にさらに傷をつけます。

nskt160607 ▲家具手前の引っかき傷は、アンティーク風にするため、あえてつけたもの
 

ここで大切なのは、むやみに傷をつけないことです。

時を経てついた傷は、深さや太さ・方向など形が様々。よく使う場所からすり減ったり、角が削れたり。よりリアルにしたいなら、“本物” をよく観察しましょう。 

私が傷を付けるのによく使う方法は、細い釘やビスのギザギザなところで削ったり、ハンマーで叩いてへこませたり、やすりで擦り傷をつけたり、缶などの底を叩きつけて輪っかの傷をつけたり……、その辺にある硬いもので、いろいろな形の傷をつけています。そうすることで、傷がよりリアルになるのです。
 

オイルステイン塗料で塗装する

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いい感じに傷がついたら、塗装します。

使用した塗料は、「ワトコオイル」のウォルナット。キズをつけた部分にも良い感じに染み込んでくれます。オイルステイン塗料はペンキより簡単で、木目も美しく仕上がるので好きです。
 

DIYで生まれるのは、便利なだけでなく特別感のある家具

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「コップ1つ分の厚さ」にこだわったことで、動線の邪魔にならず、好きなグラスを飾りながら収納できる理想の棚になりました。まわりのボックスも、同じ木材と塗料で作り、トーンを統一させました。
 
こうして苦労してできあがった棚は、ただ使い勝手がいいだけでなく、思い入れのある家具として、毎日大活躍してくれています。

「こんな家具が欲しいな」と思ったら、その時がチャンスです! まずはペンを手にとって、イメージを図面にすることから始めてみてください。きっと特別な家具ができあがりますよ。

西方 凌(にしかた・りょう)

1980年生まれ。愛知県出身。短大卒業後、左官職人として働きながら日本テレビ系恋愛トーク番組『恋のから騒ぎ』に出演。第9期生として2002~2003年の全ての回に出演し、「左官屋」の愛称で親しまれた。2004年よりタレントとして活動を開始。CM・PV・雑誌に活躍の場を広げる。2011年によしもとクリエイティブ・エージェンシーに移籍。2012年 5月に、タレントの木村祐一氏と結婚。自身のブログでは、自らが手がける子供服ブランドの情報や、本格的な自宅DIYの様子などを発信している。
西方凌オフィシャルブログ